【R18】猫は異世界で昼寝した

nekomata-nyan

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58 ローランの講義

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 ローランの新人魔法講義をのぞくと、

「お二人とも、俊也さんのお情けを頂いて、内心とまどっていると思います。急に魔力量が増え、どう扱っていいのかわからない。

セックスの機会を一度に抑えているのは、まず魔法の基礎を徹底的に鍛えるためです。
今後セックスするたび、あなた方は急に、恐ろしいほどの力を持ってしまいます。

数で喩えたら、十の四倍は四十。四十の四倍は百六十。百六十の四倍は六百四十。
魔力量はなんとなく程度でしか計測できませんが、今上げた数値は古参嫁の実感です。

基礎ができていなければ、思わぬ事故に直結します。
早くセックスローテーションに加わりたいなら、基礎力を身につけることです」

 ローランの言葉通り、俊也は二人を一度抱いた。これもローランの言葉通り、「もっと新人を味わいた~い!」という、俊也の願望を無視し、一度ずつにとどめていた。

俊也はアンリの時、これまでに一番の苦労をした。極度に緊張したら、アンリは石化してしまう。

石化解除のために、色々な工夫をしなければならなかった。おかげで俊也のナンパ能力は、2ランク上がった。

そんなのどうでもいいよ、と思われたならその通り。ローランの講義に話を戻そう。

「ルラさんたちと相談しました。今館の戦力は、非常にバランスがとれていますが、強いて言えば、武器を使った近接戦要員が、レジさんとブルーさんだけだということです。

ルマンダさんは妊娠していますから、前衛には置けません。
また、レジさんの存在は、なるべく見せたくない。

そこで提案です。
アンリさんに、その接近戦の、エキスパートになっていただきたい。
潜在能力的にも、一番向いていると判断しました。

中級程度まで魔法を覚えたら、ブルーさんに師事していただきたい。いかがですか?」
 
 ローランはアンリに振る。

「私もそれが最善だと思います。でも~…」

「レジさんが怖い? わかります。私も基礎体力をつけるために、レジさんに二度抱かれました。
あの方は、騎乗位以外危険です。

俊也さん形態の方が多いから、レジさんが夢中になったら、力加減を間違えることがあります。
もちろん、ワイルドな趣があって、とってもいいんですよ。

ですが、俊也さん形態の方が、安心だということは認めます。愛撫も優しい、しかも濃い」

「そうなんですよ。でも、騎乗位、頑張ってみます。防御力がついたら、レジさんでも普通に対応できると聞きました」
 ローランは笑顔でうなずく。

「アンさんです。SAの戦力として、もう一つ不安なのは、特殊工作要員の不足です。
得意なのは、フラワーさんだけですし、しかも今妊娠中です。
トラップ敷設、トラップ発見・解除、魅了、恐慌、その特殊魔法は、使い方によって、相当以上に有効な武器となります。
あなたに向いていると判断しましたが、どうですか?」

「なるほど~、やってみます。フラワーさんに師事しろということですね? 
セックスのお相手は、俊也さん形態中心」
 アンが応える。

「その通りです。早速初等魔法の実践に移ります。アンリさんは、おさらいのつもりで……」
 
 てな感じ。メンバー自体が強力で、新人もこのまま順調に成長すれば、既存メンバー並みの戦力となるだろう。しかもSAに油断はない。家族計画以外には。

どこかのおバカが、突撃してくれなければ、山場のない中途半端な物語となってしまう。

乞う! 濃い目のやられキャラ!
 


 三幹部は……、

「退屈! ルラ、どうにかならない?」
 魔法の指導からも締め出され、暇を持て余しているエレンは、ルラにぼやく。

「俊也がダメって言うんだもん」
 ルラもうんざり顔で応える。

「仕方ないでしょ? 妊娠初期は流産しやすいそうだし」
 フラワーがなだめる。

「もう~! 爆裂熱球!」
 どか~ん! エレンが上級攻撃魔法を放つ。

「降雨!」
 ルラも魔法を放ち、エレンの魔法で立ちこめた砂塵を鎮める。

「乾風!」
 フラワーは、「降雨」魔法でぬかるんだ地面を乾かす。

「ちょっとすっきり。後四五発いくよ!」
 エレンは魔法訓練場に向け、ヤバい魔法を連発した。ルラとフラワーも、さっきの手順通り魔法を放つ。

 散歩代わりに、練習場で魔法を放つことは、三人にとって欠かせないガス抜きだ。ストレスや、たまりすぎた魔力を発散する意味で。
 
 湖のそばの魔法練習場は、すでに山の形をとどめていなかった。深刻な自然破壊については、目をつぶるしかなかった。


 館から、魔法講座班がやってきた。

「また派手にぶっ放してますね。
みなさん、これが上級魔法のもたらす結果です。
その気になったら、カント程度の町、一瞬で廃墟にしてしまいます。

幹部のお三方は、魔法操作にも長けているから、平気で上級魔法を放っていますが、少し扱いを間違えたら、とんでもないことになります。
基本が大切なこと、おわかりですね?」
 講師のローランが教訓を垂れる。

「私では、どうあがいても無理ですよ」
 アンリが、あきれ返った顔で言う。

「認識が甘いですよ!
俊也さんの力は強大です。
まあ、アンリさんはレジさん中心ですが」
 アンリさん、庶民出身としては、多分突出した魔力レベルだろう。だが、貴族とは比べるべくもない。しかしながら、上位魔法を放てる程度の実力はつくはず。上位魔法を誤ったら大惨事を引き起こす。

 温厚なローランが、厳しい言い方を選んだのはその意味からだ。

「質問! 私の勘では、館周辺の山々、水や植物属性の魔石が豊富だと思います。
あの崩したところ、探してもいいですか?」
 アンはこの館へ来て以来、うずうずしていた。あの魔法訓練場、ほぼ間違いなくお宝の山…元山のはず。

「マジで! 探してみよう!」
 エレンの瞳の中に¥マークが浮かんだ。

「三幹部の方は控えてください。
転んだりしたら大変です。
皆さん、私が大きい岩石は砕きます。
さっそく探しましょう!」
 エレンの意気込みを、あっけなく鎮火させるローランだった。
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