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69 ブラコンお兄ちゃんをいたぶる
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日本では日曜。俊也の家族が、そろって別荘に来ていた。
俊也の父親は釣り好きだった。館の前の湖では、でっかいマスに似た魚が釣れる。
俊也がたま~に釣りをするだけだから、すれてない魚は、ルアーで釣ったら入れ食いとなってしまう。
それでは興ざめなので、のんびり餌釣りに挑戦。
湖畔の広場では、嫁たちがテントの陰で休んだり、バーベキューの支度をしている。
「のどかだよね~。楽園って、こういうところを言うのかも」
俊也の隣で、釣りを眺めていたカナが、大きく背を伸ばしながら言う。
「そうでもないよ。館に満ち溢れてる魔力につられて、魔物がよく迷い込んでくる。
魔物は森林や山から、普通出てこない。魔力が大好きだから」
俊也は竿を上げ、餌を確認。餌のイクラはついていなかった。
新しい餌に変えようとしたところ……、
「率直に聞くけど、魔力って何?」
と、カナが真顔で聞く。
「わかんない。
動植物の生体エネルギー?
精神や魂と呼ばれるもの?
惑星自体のエネルギー?
どれも当たってそうだし、それだけじゃない気もする。
ただ、一つだけ言えるのは、木や草、水が多い場所には、天然の魔力が濃い、らしい。
今の体の俺は、魔力不感症だから、そんなに感じないけど、街と違っていることはわかる」
「私もここで暮らしたら、少しは長生きできるかな?」
「そうかもしれないね」
俊也は落としたウキに集中するふりをする。
一番触れたくない話題だ。
「ねえ、考えたんだけど、子供ができたら、こっちで暮らしていい?」
「俺もいつ言いだそうかと思ってた。絶対そうした方がいい」
「うん……」
カナは想像がついていた。自分はこの世界で暮らしても、早く老けるはず。
俊也の血を引く子供は、相当成長が遅いだろう。妊娠後の嫁たちのお腹を見ればわかる。
妊娠がわかってから一年以上たつのに、それとわかるほどふくらんでいるのは、ルマンダだけだった。
胎児のうちは魔力が少ないから、高い魔力の母親でも、平均三年程度で出産できるらしい。
やっぱり俊也の血は特別なのだ。
「ルマンダさん、男の子なんだって?」
「そうなんだよ……、って、誰に聞いた?」
俊也は、やや慌てた。自分の特殊能力が、ばれているかもしれない。つまり、透視能力。
この世界には、もちろんエコーなんて存在しない。
「ルラさんが教えてくれたよ~。透視能力があるんだってね。
透視できる範囲は思うまま。
たとえば、下着まで、そして裸。
日本へ帰ったとき、見てるの?」
やっぱりばれてたか。ルラに日本語教えるんじゃなかった。
ていうか、それ以前に話すんじゃなかった。
ルラ、エレン、フラワーの三人は、日本語での日常会話が、普通にできるようになっている。
「おっ、と思った女性はたまに。
ほんとに、おっ、だけだから」
「で?」
「おお~って思う。どうもごめんなさい」
俊也は深く頭を下げる。
カナは吹き出してしまった。多分家族は見てないだろう。自分も含め。
「朝陽ちゃんのおっぱい、なかなか有望だよ。
この前お風呂一緒に入ったとき、お、って思った。
ブラもつけ始めたんだよ」
「かんべんして。あいつのは見ない。
ところで、あいつのカレシって知ってる?」
「どのカレシのことかな?
アツシ君、カケル君?
ショウ君、この前さよならしたらしい。
よかったね。
他には……、私が印象に残ってない程度だから、大した付き合いじゃないかもね」
俊也はがっくり。そんなにもてるんだ……。
「朝陽ちゃんは、お兄ちゃんに似て頭がいい。
お兄ちゃんに全然似ないで社交的だしかわいい。
朝陽ちゃん自身、うまく定義できないみたい。
どの程度がカレシなの?
そんなこと聞かれた。
お兄ちゃんより好きかなって思える人?
そう答えたら、なんと言ったと思う?」
「フッ……。わかってるさ。
そんな男、存在しない、だろ?」
「多すぎて定義にならない、だそうよ。お気の毒です。お兄ちゃん」
俊也は湖に飛び込みたくなった。ただし、カナに「お兄ちゃん」と呼ばれたことは、感慨深かった。
ずいぶん久しぶりで、懐かしかった。今では濃厚接触者そのものだから。
「カナちゃんは、どうなの?」
「私ね……。どうだろう?」
カナはそう言い残し、テントの方へ走って行った。
入れ替わるように朝陽が隣にすわった。
「嫁に、なんか魔法かけた? やけにニヤケていたよ。
ていうか、やった~! って顔?」
俊也にとって、女心はいまだに謎だった。
俊也の父親は釣り好きだった。館の前の湖では、でっかいマスに似た魚が釣れる。
俊也がたま~に釣りをするだけだから、すれてない魚は、ルアーで釣ったら入れ食いとなってしまう。
それでは興ざめなので、のんびり餌釣りに挑戦。
湖畔の広場では、嫁たちがテントの陰で休んだり、バーベキューの支度をしている。
「のどかだよね~。楽園って、こういうところを言うのかも」
俊也の隣で、釣りを眺めていたカナが、大きく背を伸ばしながら言う。
「そうでもないよ。館に満ち溢れてる魔力につられて、魔物がよく迷い込んでくる。
魔物は森林や山から、普通出てこない。魔力が大好きだから」
俊也は竿を上げ、餌を確認。餌のイクラはついていなかった。
新しい餌に変えようとしたところ……、
「率直に聞くけど、魔力って何?」
と、カナが真顔で聞く。
「わかんない。
動植物の生体エネルギー?
精神や魂と呼ばれるもの?
惑星自体のエネルギー?
どれも当たってそうだし、それだけじゃない気もする。
ただ、一つだけ言えるのは、木や草、水が多い場所には、天然の魔力が濃い、らしい。
今の体の俺は、魔力不感症だから、そんなに感じないけど、街と違っていることはわかる」
「私もここで暮らしたら、少しは長生きできるかな?」
「そうかもしれないね」
俊也は落としたウキに集中するふりをする。
一番触れたくない話題だ。
「ねえ、考えたんだけど、子供ができたら、こっちで暮らしていい?」
「俺もいつ言いだそうかと思ってた。絶対そうした方がいい」
「うん……」
カナは想像がついていた。自分はこの世界で暮らしても、早く老けるはず。
俊也の血を引く子供は、相当成長が遅いだろう。妊娠後の嫁たちのお腹を見ればわかる。
妊娠がわかってから一年以上たつのに、それとわかるほどふくらんでいるのは、ルマンダだけだった。
胎児のうちは魔力が少ないから、高い魔力の母親でも、平均三年程度で出産できるらしい。
やっぱり俊也の血は特別なのだ。
「ルマンダさん、男の子なんだって?」
「そうなんだよ……、って、誰に聞いた?」
俊也は、やや慌てた。自分の特殊能力が、ばれているかもしれない。つまり、透視能力。
この世界には、もちろんエコーなんて存在しない。
「ルラさんが教えてくれたよ~。透視能力があるんだってね。
透視できる範囲は思うまま。
たとえば、下着まで、そして裸。
日本へ帰ったとき、見てるの?」
やっぱりばれてたか。ルラに日本語教えるんじゃなかった。
ていうか、それ以前に話すんじゃなかった。
ルラ、エレン、フラワーの三人は、日本語での日常会話が、普通にできるようになっている。
「おっ、と思った女性はたまに。
ほんとに、おっ、だけだから」
「で?」
「おお~って思う。どうもごめんなさい」
俊也は深く頭を下げる。
カナは吹き出してしまった。多分家族は見てないだろう。自分も含め。
「朝陽ちゃんのおっぱい、なかなか有望だよ。
この前お風呂一緒に入ったとき、お、って思った。
ブラもつけ始めたんだよ」
「かんべんして。あいつのは見ない。
ところで、あいつのカレシって知ってる?」
「どのカレシのことかな?
アツシ君、カケル君?
ショウ君、この前さよならしたらしい。
よかったね。
他には……、私が印象に残ってない程度だから、大した付き合いじゃないかもね」
俊也はがっくり。そんなにもてるんだ……。
「朝陽ちゃんは、お兄ちゃんに似て頭がいい。
お兄ちゃんに全然似ないで社交的だしかわいい。
朝陽ちゃん自身、うまく定義できないみたい。
どの程度がカレシなの?
そんなこと聞かれた。
お兄ちゃんより好きかなって思える人?
そう答えたら、なんと言ったと思う?」
「フッ……。わかってるさ。
そんな男、存在しない、だろ?」
「多すぎて定義にならない、だそうよ。お気の毒です。お兄ちゃん」
俊也は湖に飛び込みたくなった。ただし、カナに「お兄ちゃん」と呼ばれたことは、感慨深かった。
ずいぶん久しぶりで、懐かしかった。今では濃厚接触者そのものだから。
「カナちゃんは、どうなの?」
「私ね……。どうだろう?」
カナはそう言い残し、テントの方へ走って行った。
入れ替わるように朝陽が隣にすわった。
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