【R18】猫は異世界で昼寝した

nekomata-nyan

文字の大きさ
75 / 230

75 ルマンダ画伯の評価

しおりを挟む
 俊也はカナにたっぷりと埋め合わせしてもらい、夕方銀座にでかけた。

もちろん、初対面JKに対し、おもいきりエッチな施術を施した「埋め合わせ」だ。「きわどい」という形容では、とても追いつかないような濃厚接触。

しかも、嫁の目の前で。

心ならずも、俊也とカナは猛烈に刺激されていた。

都合三発にわたる「埋め合わせ」だった。考えてみたら、「埋め合わせ」なんとなく卑猥な響きが……。


それでも俊也の心は弾んでいる。今日会うのは、有能美人秘書、という感じの静香さん。
成熟した色香を、知性と教養でコーティングしてみました、的な?

俊也に、ほとんど、下心はないが、気分が弾むのもやむなし。

でしょ?

今日早じまいし、画廊の静香さんが夕食をごちそうしてくれるという。


俊也はルマンダや嫁から、許可をもらっている。あの絵、全部売っていいと。まだ日本での資金はかなり残っている。

売り急ぐつもりはないが、全部売らないでは、今後の信用問題となる。とりあえず反響を聞いてから、考えるつもりだ。


「今晩は」

「いらっしゃいませ。ずいぶん早かったですね」
 この店の実質的経営者、朝日野静香が笑顔で迎えてくれた。

 静香のお色気は、どの嫁たちとも違っている。うまく言えないが、どこか醒めたものが感じられる。

 肉体的には、成熟しきっている。だけど、そんな自分を突き放しているような……。
彼女は自分が超魅力的な女であることを知っている。だが、積極的にその魅力を生かす気がないというか、そんな気がした。

どんな事情があるのかわからないが、女の魅力を「飼殺してきた」というのが、俊也の直感だった。

 
「やっぱり気になっちゃいまして。どうですか、反響?」
 俊也は無難な話題を振った。

「コロ〇で困ってたんだけど、店を再開してから大変だったのよ。
ルラちゃんを是非売ってほしいって。
十分看板娘として働いてもらった。ほら、あの通り」
 静香が目で示した先を追ったら、上品な紳士と淑女が、ルラの絵に見入っていた。

「あの~、古めかしい服装と、新しいの、どっちが好評ですか? 
聞いてほしいと頼まれたので」
 俊也は内心ほっとしながら、そう聞いた。思った通りあの絵は受け入れられた!

「そうね……。やっぱり年齢によって違うみたい」
 でしょうね、と俊也は納得。


「朝日野さん、やっぱり売ってもらえないんですか?」
 ルラの絵に見入っていた男性が、声をかけてきた。

「交渉しようと思ってます。その作品、ずいぶんお気に入りのようですが、残念ながらそれはお売りできません。
まことに申し訳ございません」
 その作品は、俊也が静香に売ったものだった。

俊也は感激。本当に大事にしてくれている。

「そうですか……。他の作品は? 
ずいぶん多彩なモデルですね? 
どの作品も引かれるな~」

「今回個展を開いたのは、真に絵がお好きなお客様に、作者を知ってほしかったからです。
販売の方は、鋭意努力して交渉します」
 静香は見事に流す。

「あの~、お客様は、どの絵がお好きでしょう? 
ずいぶん絵がお好きなようですから、できれば教えていただけないでしょうか? 
感想も含めて」
 俊也は我慢できずにそう話しかけた。

その客は一瞬意外な顔をしたが、すぐ笑顔になった。

「本当にいいんですか? うちの主人が語り始めたら、もうとまらなくなりますよ」
 男性客と、連れだって絵を見ていた女性が言う。

やっぱり夫婦か……。二人とも、五十前後だろうか? セレブ感がすっかり板についていると俊也は感じた。

「望むところです。勉強させて下さい」

「そうですか。いいでしょう」
 男性客は破顔一笑。大歓迎だったようだ。


「まず、この絵です。朝日野さんにはずいぶんご迷惑をかけましたが、時間が許せば会いに来ていました。
そうなんですよ。会いに来てたんです。

この絵に限らず、この作者、ルマンダさんの絵は、みんな生きてるんですよ。
僕はこの絵のモデルが、今絵から抜け出して、目の前に現われても驚きません。

みんなそうです。
そして、深い愛情を感じます。
見守るような、尽くすような、そんなルマンダさんの気持ちがわかります。
ルラさんというそうですね。この絵のモデル。
この人は、ルマンダさんにとって特別な人です。絶対間違いありません。

そして僕は思うんですよ。
同じルラさんがモデルのあの絵。
全然印象が違います。

あの絵には、ルラさんの憂いが一切消えている。
服装が全然違うから? 
絶対そうじゃありません。

どこか人を拒絶するような、威厳が影をひそめています。
非常に悔しいですが、だれか愛する人ができたんでしょう。
ひょっとしたら、その人との子を、お腹に宿しているかもしれない。
エレンさん、フラワーさん、そして作者のルマンダさん。

これは母親の目です。
慈しみの目です。
男として、本当に悔しい。誰が射止めたんでしょうね」
 
以下、その男性は、滔々(とうとう)と絵を語ってくれた。

俊也はこそばゆいやら嬉しいやら。

俊也は決心した。金額は問わない。静香さんに売った絵以外で、この人に買ってもらおう。

それにしても、この人何者? 正確に絵の本質を見ている気がする。


「あなた、もう閉店時間よ。いいかげんになさったら」
 夫人が穏やかに苦言を呈した。

「もう一つだけお聞きします。
古風な服のルラさん以外なら、どの人を心の恋人に選びますか?」
 俊也はそう聞いた。

「迷いますね。一生をかけても答えは出ないかもしれない。
強いて言えば……、この素晴らしい作品を生んでくれた、ルマンダさんです」

「ずいぶん申し訳ありませんでした。
巨乳美女がお好きだったんですね。
朝日野さん、どうか主人の恋を実現させて下さい」
 夫人が皮肉交じりのジョークで、和やかに場を締めてくれた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

転生?したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

処理中です...