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81 ライダー一号、出撃!
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目的地のホーカツ高原は、エレンの父親ダイニー侯爵領内にある。侯爵直々の採掘許可証は、出発前に手に入れている。
つまり、無税で何でも採り放題。
馬車で十日目、一行は最後の補給基地となるシルバーストーンの街に到着。早速徒歩で高原を上る。
ここからホーカツ高原へ、馬車では行けない。
俊也はしみじみ思う。日本では山奥のポツンと一軒家でさえ、一応車は通る。電気も届く。
日本はなんてありがたい国だと思う。
馬車と馬は宿屋に預け、以降は徒歩と荷物運搬用のロバだけとなる。
高級宿を選んだのは、馬と馬車をきちんと管理してもらえそうだから。
シャイン侯爵にならい、ダイニー侯爵にも授けてもらった、天下御免のプレートをここでも役立てた。
馬車三台は俊也苦心の力作であり、王都から連れてきた馬は、どれも素直で頑丈な名馬ぞろい。
盗難にあったら大損害だ。
ちなみに、普段馬は、ふもとの牧場に預けている。
十五頭中二頭だけの牡馬(ぼば)は、連れてきた牝馬や、地元の牝馬(ひんば)にせっせと種付けをした。
馬の優劣は、その血統によるところが大きい。見るからに名馬の、王都から来た牡馬は、けっこうな種付け料を俊也にもたらした。
調教を終えた子馬たちは、妊婦を除く嫁たちの愛馬として、来春から役立ってもらう予定だ。今の馬は現役を引退し、繁殖に回す。
目指せ×台ファーム。
競馬がないのは残念だが、唯一の交通手段である馬も、相当な財産である。
一行は四時間ほど山道を登り続けた。みなさん、レジエッチの恩恵で、それほど疲労は見られない。もちろん俊也はグロッキー寸前。レジに変身したらなんでもないのだが、獣人スタイルを他人に見られたくない。
「俊也さん、そろそろショッ×ーの皆さんが現われても、よいころでは?」
ブルーは、最近仮面ラ×ダーにはまっている。それも一号が大のお気に入り。
ストーリーもいたって単純だし。
俊也は超アクティブなブルーに、サ×クロン号をプレゼントしてもいいかな、と思い始めている。かなり怖いけど。「バイク買って」の請求が激しいのだ。
それまでに興味が、他に移ってくれればいいのだが。
ブルーは、とにかく昭和ヒーローにかぶれやすい。
そうだ、キューティー×ニーなんてどうだろう? あのコスチュームにかぶれてくれるなら大歓迎。万難を排し手に入れる。
もっとも、部外秘キャラとなるだろうが。
「一号がそんなこと言うと、決まって……」
俊也がジョーク混じりに、クレームをつけようとしたところ、出ましたよ。
怪人や戦闘員じゃないけど。相手は魔物、人里離れた山。
「ラ×ダー一号、出撃!」
俊也は一号の鎖を解き放つ。キー、キー、と飛び跳ねながら、一号が元気よく飛び出す。
彼女には、ラ×ダーと戦闘員の区別がつかないようだ。もう貴族の娘とは思えない。
「皆さんは一号を応援しましょう!」
俊也はメンバーに声をかける。
「一号、がんばれ~!」
黄色い声援が送られる。一号は必殺ラ×ダーキックやパンチで、戦闘員のダークウルフを次々と襲う。
襲撃されたのは、多分採掘者グループだろう。体を食いちぎられた人間や、ロバの死体複数。
生存者は不明だった。
ダークウルフの皆さんは賢明だった。
こんな怪物にかなうわけがない。五六頭倒されたところで、尻尾を丸め逃避した。
あ~あ、剣を使えばいいのに。高級毛皮が台無しだ。
おっと、そんな感慨にふけっている場合じゃない。生存者はいるだろうか?
生存者は二名の男女。木に登って難を逃れたのだろう。不幸中の幸い、イヌ科は木に登れない。
俊也の目からは、小学生高学年程度に見える。
狼に襲撃された採掘者グループは、二組の家族で構成されていたそうだ。
男の子の名前はブレイブ、女の子はニーナ。家族や身近な者を一挙に失い、虚脱した二人から聞き出せた情報は、それだけだった。
俊也は、何の力もなさそうなこの二人が、なぜ危険な採掘に同行したのか、わからなかった。
アンに小声で聞くと、アンは小声で応えた。
「この二人だけでは、きっと生きていけないから」
俊也は黙ってうなずくしかなかった。
つまり、無税で何でも採り放題。
馬車で十日目、一行は最後の補給基地となるシルバーストーンの街に到着。早速徒歩で高原を上る。
ここからホーカツ高原へ、馬車では行けない。
俊也はしみじみ思う。日本では山奥のポツンと一軒家でさえ、一応車は通る。電気も届く。
日本はなんてありがたい国だと思う。
馬車と馬は宿屋に預け、以降は徒歩と荷物運搬用のロバだけとなる。
高級宿を選んだのは、馬と馬車をきちんと管理してもらえそうだから。
シャイン侯爵にならい、ダイニー侯爵にも授けてもらった、天下御免のプレートをここでも役立てた。
馬車三台は俊也苦心の力作であり、王都から連れてきた馬は、どれも素直で頑丈な名馬ぞろい。
盗難にあったら大損害だ。
ちなみに、普段馬は、ふもとの牧場に預けている。
十五頭中二頭だけの牡馬(ぼば)は、連れてきた牝馬や、地元の牝馬(ひんば)にせっせと種付けをした。
馬の優劣は、その血統によるところが大きい。見るからに名馬の、王都から来た牡馬は、けっこうな種付け料を俊也にもたらした。
調教を終えた子馬たちは、妊婦を除く嫁たちの愛馬として、来春から役立ってもらう予定だ。今の馬は現役を引退し、繁殖に回す。
目指せ×台ファーム。
競馬がないのは残念だが、唯一の交通手段である馬も、相当な財産である。
一行は四時間ほど山道を登り続けた。みなさん、レジエッチの恩恵で、それほど疲労は見られない。もちろん俊也はグロッキー寸前。レジに変身したらなんでもないのだが、獣人スタイルを他人に見られたくない。
「俊也さん、そろそろショッ×ーの皆さんが現われても、よいころでは?」
ブルーは、最近仮面ラ×ダーにはまっている。それも一号が大のお気に入り。
ストーリーもいたって単純だし。
俊也は超アクティブなブルーに、サ×クロン号をプレゼントしてもいいかな、と思い始めている。かなり怖いけど。「バイク買って」の請求が激しいのだ。
それまでに興味が、他に移ってくれればいいのだが。
ブルーは、とにかく昭和ヒーローにかぶれやすい。
そうだ、キューティー×ニーなんてどうだろう? あのコスチュームにかぶれてくれるなら大歓迎。万難を排し手に入れる。
もっとも、部外秘キャラとなるだろうが。
「一号がそんなこと言うと、決まって……」
俊也がジョーク混じりに、クレームをつけようとしたところ、出ましたよ。
怪人や戦闘員じゃないけど。相手は魔物、人里離れた山。
「ラ×ダー一号、出撃!」
俊也は一号の鎖を解き放つ。キー、キー、と飛び跳ねながら、一号が元気よく飛び出す。
彼女には、ラ×ダーと戦闘員の区別がつかないようだ。もう貴族の娘とは思えない。
「皆さんは一号を応援しましょう!」
俊也はメンバーに声をかける。
「一号、がんばれ~!」
黄色い声援が送られる。一号は必殺ラ×ダーキックやパンチで、戦闘員のダークウルフを次々と襲う。
襲撃されたのは、多分採掘者グループだろう。体を食いちぎられた人間や、ロバの死体複数。
生存者は不明だった。
ダークウルフの皆さんは賢明だった。
こんな怪物にかなうわけがない。五六頭倒されたところで、尻尾を丸め逃避した。
あ~あ、剣を使えばいいのに。高級毛皮が台無しだ。
おっと、そんな感慨にふけっている場合じゃない。生存者はいるだろうか?
生存者は二名の男女。木に登って難を逃れたのだろう。不幸中の幸い、イヌ科は木に登れない。
俊也の目からは、小学生高学年程度に見える。
狼に襲撃された採掘者グループは、二組の家族で構成されていたそうだ。
男の子の名前はブレイブ、女の子はニーナ。家族や身近な者を一挙に失い、虚脱した二人から聞き出せた情報は、それだけだった。
俊也は、何の力もなさそうなこの二人が、なぜ危険な採掘に同行したのか、わからなかった。
アンに小声で聞くと、アンは小声で応えた。
「この二人だけでは、きっと生きていけないから」
俊也は黙ってうなずくしかなかった。
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