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82 ちょっぴりほわほわだよ
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生存者の家族たちの埋葬を済ませ、別の穴にダークウルフの死体を、まとめて放り込み埋めた。
怪物(ブルー)が本気で暴れたら、ダークウルフ程度の防御力では、毛皮を採取できるはずもない。
この子たちを置いていくわけにもいかず、早めのキャンプを張ることにした。
ローランが清浄魔法で、二人と一号をきれいに。はっきり言って二人は臭かった。ライダー一号は、無傷ながら血まみれだった。
夕食を与えられ、落ち着いてきた二人は、ぽつりぽつりと事情を話し始めた。
二人は兄妹ではなかったが、ふもとの村で家族のように育ってきたという。
一家の仕事は牧畜中心だった。だが、飼っていた馬や羊、鶏などは、最近このあたりで異常繁殖している、ダークウルフの大きな群れに食い殺された。
二人の家族は、一挙に全財産に等しい家畜を失った。
ブレイブの父親は、以前小さなグループで、採掘の仕事をしていた。そのため、彼は採掘権を持っていた。
もちろん税を払う必要があるが、生きる方法は、魔石の採掘しかないと考えた。
そこで隣家と協力し合い、ホーカツ高原で、魔石を採取しようと話はまとまった。
問題は、まだ幼いブレイブとニーナだ。二人の戦闘力では、全然戦力にならない。
しかし、二人を置いていって、自分たちにもしものことがあれば、村の誰にも頼れそうにない。
村人のほとんどは、同じように家畜を失っていたから。
追い払おうとして、殺された壮年の男性も、五人殺されてしまった。
二人は戦闘で足手まといにはなるが、労働力としては使える。
死ぬならば、いっそ一家全員で。二人は連れていかれることになった。
行きは二日間かけ、大きな危険にもあわず高原へ到着した。
ところが、有力な採掘現場は、すでに大きなグループが縄張りとしている。
建前としては、採掘権さえあれば、見つけた者勝ちだ。ダイニー侯爵は、どんな組織にも個人の所有を認めていない。
だが、こんな山奥に、十分な管理が行き届くはずもない。現実は「力こそ正義」の勝手な解釈が普通だった。
二組の家族ができることは、「外れ魔石」しか出ないポイントを探索することと、下に運ぶ手間に比べたら、捨てたほうがましな「クズ魔石」を拾い集めることだけだった。
その話を聞いたとたん、一行は色めき立った。俊也は一通り話を聞こうと、一同をなだめた。
後の話は簡単だった。両家合わせ十人が、持てるだけの外れとクズの魔石を運び、もう一息のところでオオカミに襲撃された。
話が終わり、俊也たちは外れとクズを見せてもらった。想像通り、全部雷属性の魔石だった。大きな魔石はないが、クズ魔石でも燃費が悪くなるだけで、発電能力自体は変わらない。
これだけあれば、五年は楽に冬が越せる。
俊也の方針は決まった。まず、明日は引き返し、二人を宿に預ける。
次はふもとの周辺で、ダークウルフの討伐を行い、絶対数を減らす。
数が増えすぎ、生態系のバランスが崩れ、オオカミは村を襲ったのだろう。
二人を宿へ送る前に、二人の家があるロンの村の様子も見たいし、二人も荷物があるだろう。
この二人とは、すでに関わってしまった。俊也はこの二人を、とりあえず館に住まわせると決めた。
魔法練習場として、ほぼ平坦にしてしまった土地に、来年の春には牧場と厩舎、世話係の宿舎を作る。
村人と話し合い、生活の目途が立たない者は、館周辺に移住させてもいい。
少なくともこの二人からは、移住して馬の世話係をしたいという返事を受けている。
この二人にとってブルーは英雄だったから。二人はブルー以外、みんな弱いと判定しているらしい点が、多少ひっかかったが。
そして問題の高原だが……。また「ゴローコー」になるしかないかな。そんなことが頭をよぎり、俊也は苦笑してしまった。
その夜のテント内。アイテムボックスの類いは残念ながら存在しないので、荷物は限定される。ましてや、拾った二人を野宿させるわけにいかない。ブルーのテントに二人を泊めることに。よって、俊也のテントは定員ぎりぎり。今夜の添い寝当番、マサラ・エンランコンビに、イザベルが加わった。
三人用のテントなので、四人はさすがにムリ。そこで俊也は猫又ナイトに変身している。
「ナイト様、ごめんなさいね。
パフパフ、やってあげたいんだけど」
マサラが胸にナイトを抱きしめながら言う。俊也は例の『ドラゴンなんちゃら』というゲームで、マサラとエンランを遊ばせている時ちょっと困った。
主人公がバニーのおねえさんに連れられ、画面が暗転。
ぱふぱふ、ぱふぱふ。
「ぱふぱふって、なんですか?」
「ないと、どうして頬を赤らめてるんですか?」
マサラとエンランに問い詰められた。ちなみに、『ないと』は、二人が主人公に付けた名前だ。
「あ~、あれは謎だね」
俊也はごまかした。
「もしかしてエッチ!」
「そうだよ! 絶対浮気だ!」
マサラとエンランは憤った。
「いやいやいや! あれはそこまでいってない。
おっぱい押し付けるだけだと思う!」
年齢制限なしのゲームだけど、やってないよね?
バニースーツも脱いでないよね?
いや、生乳かもしれないけど……。
そんな思いがあるので、俊也はついむきになって抗弁した。
「あのエッチな衣装の人、どうして旅人に、おっぱい押し付けるんですか?」
「お金?」
マサラとエンランの追及はやまない。
「いや~、純情そうな少年だから、からかってやれ?
そんな感じだと思うよ」
どうして俺がかばわなければならない! 俊也は不条理を嘆きながら、言い訳を重ねた。
「おっぱいのでかい人、いいよね……」
「だよね~~~」
マサラとエンランの追及は、変な方向へ曲がった。
「いやいやいや! 二人のおっぱいもなかなかだから!」
「ぱふぱふ、じゃないよね?」
「すかすか?」
エンランとマサラはいじけた。
「いやいやいや! ほわほわだから!」
俊也はエンランとマサラの、かろうじて存在するおっぱいの谷間に頬を埋めた。
そして、猫又形態でマサラの胸の谷間に、頭を埋める現在につながる。
ちょっぴりほわほわだよ……。すかすかではないよ……。
怪物(ブルー)が本気で暴れたら、ダークウルフ程度の防御力では、毛皮を採取できるはずもない。
この子たちを置いていくわけにもいかず、早めのキャンプを張ることにした。
ローランが清浄魔法で、二人と一号をきれいに。はっきり言って二人は臭かった。ライダー一号は、無傷ながら血まみれだった。
夕食を与えられ、落ち着いてきた二人は、ぽつりぽつりと事情を話し始めた。
二人は兄妹ではなかったが、ふもとの村で家族のように育ってきたという。
一家の仕事は牧畜中心だった。だが、飼っていた馬や羊、鶏などは、最近このあたりで異常繁殖している、ダークウルフの大きな群れに食い殺された。
二人の家族は、一挙に全財産に等しい家畜を失った。
ブレイブの父親は、以前小さなグループで、採掘の仕事をしていた。そのため、彼は採掘権を持っていた。
もちろん税を払う必要があるが、生きる方法は、魔石の採掘しかないと考えた。
そこで隣家と協力し合い、ホーカツ高原で、魔石を採取しようと話はまとまった。
問題は、まだ幼いブレイブとニーナだ。二人の戦闘力では、全然戦力にならない。
しかし、二人を置いていって、自分たちにもしものことがあれば、村の誰にも頼れそうにない。
村人のほとんどは、同じように家畜を失っていたから。
追い払おうとして、殺された壮年の男性も、五人殺されてしまった。
二人は戦闘で足手まといにはなるが、労働力としては使える。
死ぬならば、いっそ一家全員で。二人は連れていかれることになった。
行きは二日間かけ、大きな危険にもあわず高原へ到着した。
ところが、有力な採掘現場は、すでに大きなグループが縄張りとしている。
建前としては、採掘権さえあれば、見つけた者勝ちだ。ダイニー侯爵は、どんな組織にも個人の所有を認めていない。
だが、こんな山奥に、十分な管理が行き届くはずもない。現実は「力こそ正義」の勝手な解釈が普通だった。
二組の家族ができることは、「外れ魔石」しか出ないポイントを探索することと、下に運ぶ手間に比べたら、捨てたほうがましな「クズ魔石」を拾い集めることだけだった。
その話を聞いたとたん、一行は色めき立った。俊也は一通り話を聞こうと、一同をなだめた。
後の話は簡単だった。両家合わせ十人が、持てるだけの外れとクズの魔石を運び、もう一息のところでオオカミに襲撃された。
話が終わり、俊也たちは外れとクズを見せてもらった。想像通り、全部雷属性の魔石だった。大きな魔石はないが、クズ魔石でも燃費が悪くなるだけで、発電能力自体は変わらない。
これだけあれば、五年は楽に冬が越せる。
俊也の方針は決まった。まず、明日は引き返し、二人を宿に預ける。
次はふもとの周辺で、ダークウルフの討伐を行い、絶対数を減らす。
数が増えすぎ、生態系のバランスが崩れ、オオカミは村を襲ったのだろう。
二人を宿へ送る前に、二人の家があるロンの村の様子も見たいし、二人も荷物があるだろう。
この二人とは、すでに関わってしまった。俊也はこの二人を、とりあえず館に住まわせると決めた。
魔法練習場として、ほぼ平坦にしてしまった土地に、来年の春には牧場と厩舎、世話係の宿舎を作る。
村人と話し合い、生活の目途が立たない者は、館周辺に移住させてもいい。
少なくともこの二人からは、移住して馬の世話係をしたいという返事を受けている。
この二人にとってブルーは英雄だったから。二人はブルー以外、みんな弱いと判定しているらしい点が、多少ひっかかったが。
そして問題の高原だが……。また「ゴローコー」になるしかないかな。そんなことが頭をよぎり、俊也は苦笑してしまった。
その夜のテント内。アイテムボックスの類いは残念ながら存在しないので、荷物は限定される。ましてや、拾った二人を野宿させるわけにいかない。ブルーのテントに二人を泊めることに。よって、俊也のテントは定員ぎりぎり。今夜の添い寝当番、マサラ・エンランコンビに、イザベルが加わった。
三人用のテントなので、四人はさすがにムリ。そこで俊也は猫又ナイトに変身している。
「ナイト様、ごめんなさいね。
パフパフ、やってあげたいんだけど」
マサラが胸にナイトを抱きしめながら言う。俊也は例の『ドラゴンなんちゃら』というゲームで、マサラとエンランを遊ばせている時ちょっと困った。
主人公がバニーのおねえさんに連れられ、画面が暗転。
ぱふぱふ、ぱふぱふ。
「ぱふぱふって、なんですか?」
「ないと、どうして頬を赤らめてるんですか?」
マサラとエンランに問い詰められた。ちなみに、『ないと』は、二人が主人公に付けた名前だ。
「あ~、あれは謎だね」
俊也はごまかした。
「もしかしてエッチ!」
「そうだよ! 絶対浮気だ!」
マサラとエンランは憤った。
「いやいやいや! あれはそこまでいってない。
おっぱい押し付けるだけだと思う!」
年齢制限なしのゲームだけど、やってないよね?
バニースーツも脱いでないよね?
いや、生乳かもしれないけど……。
そんな思いがあるので、俊也はついむきになって抗弁した。
「あのエッチな衣装の人、どうして旅人に、おっぱい押し付けるんですか?」
「お金?」
マサラとエンランの追及はやまない。
「いや~、純情そうな少年だから、からかってやれ?
そんな感じだと思うよ」
どうして俺がかばわなければならない! 俊也は不条理を嘆きながら、言い訳を重ねた。
「おっぱいのでかい人、いいよね……」
「だよね~~~」
マサラとエンランの追及は、変な方向へ曲がった。
「いやいやいや! 二人のおっぱいもなかなかだから!」
「ぱふぱふ、じゃないよね?」
「すかすか?」
エンランとマサラはいじけた。
「いやいやいや! ほわほわだから!」
俊也はエンランとマサラの、かろうじて存在するおっぱいの谷間に頬を埋めた。
そして、猫又形態でマサラの胸の谷間に、頭を埋める現在につながる。
ちょっぴりほわほわだよ……。すかすかではないよ……。
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