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87 ユリの花三輪

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 俊也とアンを収容した馬車が、やっと落ち着きを取り戻した。

今夜の添い寝当番だったエンランとマサラが、馬車に乗り込む。

あら、まあ……。全裸のアンが虚脱し、半分口を開いていた。

目がうつろだった。もちろんナイトは、アンの股間に頭を埋め、熟睡している。

アンの焦点が定まった。

「イマイチ不満があるのよね。アフターが全然ないの。
変身するの、なんとかならないかな……」
 アンがぼそっと言いながら、下着を身につけ始める。

「アンさん、俊也さんが初めてだったと言ってませんでした? 
アフターの価値を主張するなんて変です!」
 ビフォアだけのエンランが憤る。

「ん? ああ、そう聞こえるよね。
違うのよ。私、娼館の二階によく泊まってたこと、知ってるでしょ? 
あの隠し部屋、後から作ったから、壁が極端に薄いの。
お客の中には、極端に早い人もいるわけ。
店のお姉さん、みんな優しいから文句を言わない。
それどころか、時間までサービスで触らせるわけさ。
元気な人は再戦を挑むけど、虚弱な人もいるでしょ? 
アフターのお姉さんたちの声、なんか本気なのよ。
まあ、あの店、一晩二人までしか客を取らせないからだと思うけど」

「要するに、アフターがいいと、極端な耳年増は知っていたわけですか?」
 察しのいいマサラが確認する。

「そうなの。俊也さんのセックスは、もちろんすごいのよ。
だけど、女は興奮がなかなか冷めないの。
俊也さんときたら、バキュンバキュン、変身! 
清浄魔法! 
おやすみ、でしょ? 
そこだけが物足りないの。
それで相談なんだけど」

「つまり、アフターを我々になんとかせよと?」
 エンランが目を輝かせて聞く。このごろ俊也さんは、ちょっと触るだけだし……。

「そ。あんたたち、ベテランでしょ? よろしく」
 アンは両手を伸ばし、二人を招いた。

ハハ、半分百合族だと見抜かれてたか…。

だって俊也さん、火をつけただけで寝ちゃうだもん! 

百合のベテラン、二人にとって、戦いがいのある相手。

二人はうなずき合い、ナイトを端にどけた。セックスを終えた後、ナイトを起こす手段は、鼻をくっつける以外にない。

あははは、百合の花三輪満開や~! 

熟睡中のただ猫ナイトをよそに、タコのアンと青い二人が全裸で絡み合う。

青い二人は、アンの魔性の技におののく。

すごい! 俊也さん、こんな人に入れて、あれだけ馬車を揺らせる。

快感耐性でも持っているのだろうか?

貴族の子女のたしなみとして、青い二人も十分性教育を受けている。

若い男の人は早い、それは常識だそうな。早くてもバカにしてはいけませんよ、と、彼女たちは教わってきた。

挿入不可の彼女たちは、ルマンダのテクニックを実地で学んできた。

アンさんは、ルマンダさんと別種の、エッチスキルを持っているのではないか?

これは病みつきになりそう!


キーボードをたたきながら「あほちゃうかいな……。もっと描きたいのに」と、自虐的につぶやく記者だった。
さすがにマサラとエンランには遠慮してしまう。

記者は思う。コナ×君とラ×ちゃんが、セックスに及んだら、どう評価されるのか? 

マサラとエンランは、「体は子供、頭脳とメンタルは大人」なんだけど。

三十歳オーバーですよ?
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