【R18】猫は異世界で昼寝した

nekomata-nyan

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121 安心してください 見てませんよ!

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 俊也の妹、朝陽が通う小学校。

俊也は保護者として、夏休み中のプール監視当番を務めていた。
夕方にフミ母娘との、デートが予定されているから引き受けた。

なんでも大使館に、案内してくれるらしい。
 
やっぱり小学生だよな。つるん、ぺたんがほとんどだ。

いや、もちろん透視なんてしないけどね……。

朝陽のやつ、なんかでかくなってる。おっぱい。

こら、そこのガキ! 朝陽様に気安く触るんじゃね~! 

男子生徒が、ふざけて朝陽の足をすくった。朝陽はバランスを崩し水面に倒れた。

すぐ起き上がり、男子生徒を追いかける。そしてヘッドロックをかけた。

おい、朝陽、それはむしろご褒美だ!

おっぱい当たってるぞ……。いや、お子ちゃまのやってることだから……。

それにしても……、朝陽、男となれなれし過ぎねえ? 
ていうか、あいつの周りに、取り巻きができてる感じ? 

俊也がじりじりしながら「監視」していたところ、もう一人の監視当番の女性が、
「十分休憩! 上がりなさい!」
と、大声を出した。まだ三十に届いてないと俊也は思う。

誰かのお姉さん? お母さん、じゃないよね?

「こら! 上がりなさい! 岡田君、江藤君、プールから追い出すわよ!」
 
プールで粘っていた男子児童二人が、しぶしぶプールから上がった。

「すみません。先生ですか?」
 
俊也はそう声をかけた。

「朝陽ちゃんのお兄さんですか? 担任の阿部です」
 その女性は笑顔で応えた。

俊也は知らなかったが、学校側の当番と、保護者側の当番二人で監督するシステムだった。

「似てますか?」
俊也は思わず聞いた。

「目もとがそっくり。外に出ても平気なんですか?」
「平気ですけど。何か?」
「いえ、なんでもありません」
 
あ~、そうか。

俊也はその先生の、言いたいことに気づいた。

俊也は「引きこもりのニート」と、世間に公表されていた。

「明るくて、活動的な引きこもりもいていい。そう思いませんか?」
「そうです、かね? 
ハハハ、そうですよね。世の中色々ですから」
阿部先生は、心配していたのだ。クラスで一番の人気者、朝陽唯一の問題点を。

「阿部先生、だまされちゃダメですよ。
お兄ちゃん、こう見えて、ひどい女たらしなんですから。
幼女から熟女まで見境なし」
 朝陽が駆け寄り、そう言って素早く逃げた。

中(あ)たらずといえども遠からず。

俊也は苦笑するしかなかった。夕方、中一の女の子と、その母親、人妻熟女とのデートなのだから。

「あの~……」
 阿部先生は、俊也を「要注意人物」の目で見た。

「小学生は範囲外です!」
 俊也は自己弁護した。マサラとエンランは、三十歳余裕オーバーだからいいんだよ! 
フミちゃんより、ずっと大人体型だし。

自分自身に対しても自己弁護した。


 俊也の任務、ほぼ完了。後は朝陽に昼飯をおごるだけ。

だけど……、

「朝陽殿、聞いていいかな?」
「ん? いいけど」

「君は妹だからよしとしよう。
だけど、この子は?」

「友達のなっちゃん。お兄ちゃんの女性遍歴に、興味があるんだって」

「そうなんですよ、お兄さん! お昼おごってもらうついでに聞かせて下さい。
お兄さんの武勇伝」
 俊也の両腕には、妹と彼女の友達が、軽く腕をからめていた。

おごるの確定ですか? さすが朝陽のご学友。すがすがしいまでに厚かましい。

「ん、ん~!」
 
後方から、わざとらしい咳ばらい。

「阿部先生、先生もお昼ご飯?」
 朝陽が気づいて、先生に駆け寄った。

「青形さん、範囲を逸脱しているのでは?」
 阿部先生は、眉を吊り上げて俊也をにらむ。

「阿部先生も、お兄さんがお気に入り? 
そうじゃないかと思ったんだ。
プールで仲良くお話してたし。
先生もおごってもらったら?」
 なっちゃんこと、木戸菜摘が笑顔で声をかけた。

「よろしければどうぞ。監視の意味で」
 俊也は苦笑してそう誘った。

「代金は自分で払います。
だけど、お言葉どおり、がっちり監視はさせていただきます」

 こうして、昼食のメンバーが一人増えた。
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