【R18】猫は異世界で昼寝した

nekomata-nyan

文字の大きさ
146 / 230

146 いっぺんやってみる?

しおりを挟む
 俊也とミネットは、肩を並べ近所のコンビニを目指す。不良君たちは自転車を押し、後に続く。
ちゃんと縦並びで。ミネットにつられたのか、ハーゲンダッ×につられたのか不明。単なる好奇心かもしれない。

「俊也さんとミネットさん、どんな関係? 恋人同士に見えるけど」
 ミネットにいたぶられた不良君Aが聞く。
「恋人というか、嫁だよ」
 俊也は気持ちよく答える。

「高校生くらいに見えるけど」
「見た目はね。実年齢は俺より年上」
「マジ?」
「マジだよ。君たちは高校生?」

「一応は。
ミネットさんは、マジでどこから来たの?」
 不良君Aは重ねて聞く。

「イスタルトという国だよ」
 俊也が答える。

「聞いたことないんだけど」
「今はシュンヤーダ王国の住人」
「それも聞いたことない…って、どっかで聞いたような……」

「アワワ……、ヤバい! 逃げよう!」
「本物の魔法の国だよ! 殺されるぞ!」
 不良君BとCは、一連の騒動を知っていた。

魔法のデモンストレーションの映像も見ている。自衛隊の演習場で、十トントラックが五台、一瞬で破壊されていた。

「殺したりなんかしないよ。手だしされなければ」
 自転車に乗りかけた不良君BとCは、逃亡を思いとどまった。好奇心の方が勝ったからだ。
ニュースなんて見ないAは、状況がイマイチ飲み込めない。

「自転車だから、この近所に住んでるんだろ? 
田んぼの中にある元ラブホ、知ってるだろ?」
 不良君たちはうなずく。知っているも何も、振り返ったら三階建の建物が見える。

「今はシュンヤーダ王国の大使館だ。
敷地内には入らないことだね。
魔法の結界が張ってあるから、ヤバいことになる」
 俊也には空き巣犯を、結果的に殺した苦い経験がある。
無用の摩擦を避けるため、大使館や魔導師の存在を隠すつもりはなかった。
ミネットに魔法を許可したのも、その方針の一環である。単にザマーイベントを楽しみたかっただけではない。

「魔法使いの人、何人いるの?…いるのですか?」
 不良君Bが聞く。

「今のところ十数人だよ。
この近所で見かける外人顔は、多分魔法使いだ。
そう思った方が安全だね。
東洋系の子も二人いるけど、異様に美人の子は危険だと思っていい。
オトモダチにもその噂流しておいて」

「はい!」
 三人は声をそろえて応える。こんな美味しいネタ、黙っている手はない。

「ついでに。
大使館周辺を見学するのは、お勧めできない。
急に土砂降りになったり、突風が吹くと思う。
こしょこしょ」
 俊也はミネットの耳元でささやく。

「局所的豪雨!」
 ミネットが魔法発動。五メートルほど先に、どばっと雨が降り出した。道幅だけ、十メートルほどの範囲で。
それはきわめて高度な魔法だ。つまり、ミネットはすでに上級魔導師レベルに達している。威力だけは。
多少はみ出している点、彼女の腕ではまだ仕方ない。

「ちょっぴり涼しくなったかな?」
 俊也は不良君たちを振り返って言う。九月中旬。残暑はまだ厳しかった。

「ドウシテ、ミミニアナアケルノ?」 (※イス)
 ミネットが後ろを振り返って聞く。
「どうして耳に穴開けるの?」
 俊也が通訳。

「それは、まあ、おしゃれ?」
 不良君Aが答える。

「イタクナイノ?」(※イス)
「痛くないのか、だって」

「そりゃ痛いけど」
 不良君Aは答える。

「オシャレニミエナイ。ヒョットシテ、イタイノスキ?」(※イス)
「おしゃれに見えないらしいよ。痛いのが好きなのか、だって」

「いや~、そう言われても……」
 不良君Aは、返事に困る。

「マホウデ、アナアケヨウカ? イタクナイトオモウ」(※イス)
「魔法で穴をあけてやろうか、だって。痛くないらしいよ」

「マジで?」

「ワタシ、マダミジュク。シッパイシテモミミチギレルテイド。
ヒールデ、ナオシテアゲル」(※イス)
「ミネットの魔法の威力はすごいけど、まだコントロールが未熟なんだ。
顔が半分ぐらい飛ぶかもしれない。いっぺんやってみる?」
 俊也は悪乗りで超意訳。

「ひえ~~~!」
 不良君Aは自転車に飛び乗り、去って行った。

「君たちは?」
 俊也はさらに悪乗り。

「親からもらった大事な体です! 遠慮します!」
 不良君B・Cも風のごとく去った。

 よっし! ハーゲンダッ×代、節約できた。あっ、ピアス代……。
まあいいか。親からもらった大事な体だ。

「俊也さん、あの人たちどうしたの?」
 ミネットがきょとんとして聞く。
「アイスおごってもらうの、畏れ多いそうだ。
謙虚さは日本人の美徳なんだ」
 俊也は澄まして答えた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生?したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

処理中です...