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175 猫獣人VS狼獣人

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時間をちょっぴりさかのぼる。俊也は二階の寝室へ入るなり、即猫又形態に変身した。

「どうです? 魔力がないなんて言わせませんよ」
 フラワーがクールに言う。

あれ? 反応が薄い。

「そうか! 獣人だったんだ! 
すごい魔力だ! 
実は私もなんだけど、狼の形にはなれないの。
変身! 
トー!」
 ぼふん。クレオの体がナゾ煙に包まれ、犬耳少女に変わる。
スカートがやたらふくらんだから、多分尻尾も生えているのだろう。

「この姿なら戦闘力十倍。
かっこ当社比。
窮屈だから、服は脱がせてもらう」
 クレオは、いそいそと服を脱ぎ、全裸になる。レジ形態とは違い、体は薄く犬毛に包まれている。
狼云々と言ったから正確には狼毛。

これは負けられない! フラワーはナイトにチュッ。

レジ形態、推参!

「あは、いい、いいよ! 
たくましい!」

「ちゃんとこれは、入れられるか?」
 レジはパオーンをフリフリ。

「もちろん! 
試したことないけど、あそこの形は人間のときと一緒。
あんた、強い?」
 犬耳少女は、目をキラキラさせて言う。

「もちろん! 戦闘もセックスもどんとこいだ!」

「ステキー!」
 二匹のケモノは、がっちりかみ合った。ぐわしっ、ぎゅっ、どたん、ばたん……。がばっ、ぺろぺろ、くにゅくにゅ、ずこん、ばこん!
プロレスのように絡み合い、むさぼりあい、そうこうあれこれしているうちに、十分後デコとボコもがっちりかみ合った。

フラワーはあきれながらも、超興奮できた。

参加する気になれないが。


 激しい戦闘が終わり、レジはナイト2形態に、クレオは人間形態に帰った。

そうか、いっちゃうと変身が解けるのか。見届けたフラワーは一つ発見する。

クレオは多分初めてだろうが、完全にセックスのウマがあったのだろう。明らかにいっていた。

避妊魔法を施した後、いつものようにナイト形態に帰り、すっきりした顔で寝ている。

「もう大丈夫?」
 フラワーは大股を開いたまま、放心状態のクレオに言った。

「ふあ~……。セックスって、すごいね。
あんなに気持ちのいいものだとは」
 クレオは足を閉じたが、裸体を隠す気はないらしい。
ぼんやり天井を見上げていた。

「あなた、いつから変身するようになったの?」

「パトラン一族直系の、十人に一人ぐらいは、生まれつき変身できるんです。
今、女は私だけだけど。
俊也さんは?」
 クレオがけだるそうな声で聞く。

 フラワーの父親シャイン侯爵は、イスタルト一の情報通だ。その父親も、俊也以外の獣人化現象は、伝説の類いではないかと言っていた。
 ということは、南大陸でも獣人化は一般的でないと想像される。

 ならば……、ひょっとして俊也と同じ原理で獣人化したのでは? 
フラワーは、自分の推理を確認することにした。
「俊也は三年ぐらい前。もしかして、あなたの先祖に転移魔法を使える人がいたとか?」

「やっぱり俊也さんもですか?」
 クレオは身を起こす。

引き締まった体に、中ぶりのおっぱいが乗ってる感じ。
ブルーの雰囲気と、よく似ている。

レジとセックスを重ねたら、ブルーを超える戦士になるかもしれない。
俊也とセックスを重ねたら、魔力も当然上がるはず。

つまり、オールマイティーの力を持つ、館最強の嫁となる可能性を持っている。

この子、絶対いただく!
 フラワーは、腹を固めた。
「そうよ。転移魔法の事故で、俊也は妖怪猫とミックスしてしまった」
 フラワーは、極秘情報を明かす。

 クレオは、だよね、顔でうなずく。

 そして、パトラン一族に伝わる伝承を語り始めた。

「五代前にさかのぼります。
先祖にクレオという名の、天才女魔導師がいたそうです。
クレオは中央大陸へ修行に出ました。
今のナームの最北部に、神とあがめられる狼がいたそうです。
クレオはその狼と戦いたい、そう思って狼を探しました。
ところが、寒さに慣れてないクレオは、崖で足を踏み外し、大怪我を負いました。
怪我と寒さのため、クレオは治癒魔法も使えません。
パトランという名の狼が、クレオを見つけました。
もちろんクレオが探していた狼です。
パトランはクレオの傷をなめ、怪我を回復させました。
クレオを住み家の洞窟へ招き、毛皮と体温でクレオを温めました。
パトランは言葉を使えません。
だけど、念話でクレオと意思を通わせることはできました。
クレオは五年間、その地でパトランと暮らしました。
友情以上の感情が、湧いたんでしょうね。
クレオが村に買物へ出たとき、故郷に戦乱が起こっていることを知りました。
クレオはパトランに懇願しました。
いっしょに故郷へ帰ってくれ。
パトランは応じました。
クレオとパトランは、転移魔法で故郷へ帰りました。
もちろん一緒に跳んだんです。
その結果は、この私でおわかりですね? 
クレオは後悔しませんでした。
ですが、転移魔法は危険だと知って、誰にも伝えず亡くなりました。
クレオとパトランのミックスは、超人的な力を持ちました。
部族間の戦乱を収め、エジパト首長連合を成立させたのは、クレオの力です。
クレオはパトランが、納得できる強い男の種を得て、私たちパトラン一族の始祖となったのです。
代を重ねるごとに、ミックスの能力は衰えましたが、それでも獣人化できる者の力は突出しています。
『化け物』と敬意を持って呼ばれる程度には。
さきほど化け物と呼んだのは、侮辱したつもりはないのです。
俊也さんの活躍に、最大の敬意を示したつもりです」

 おおよそフラワーが推理した通りだった。
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