【R18】猫は異世界で昼寝した

nekomata-nyan

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174 恐るべし コンビニスイーツ

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 俊也は大使館経由で館に帰った。一つわかったことがある。
転移したら酔いはきれいに醒めてしまう。

案外重要かもしれない。

転移魔法については、よくわからないことが多々ある。ただ、非生物が混じっても全く問題がないことはわかっている。

俊也は服装を一応整え、一階へ降りた。


「お待たせしました」
 リビングでは三幹部が、使節団の相手をしていた。

「いやいや。突然おじゃまして申し訳ない」
 フィード伯爵は、握手を求めた。俊也は応える。

「で、ご用件はなんでしょうか?」
「気が向いたら、この二人の面倒をみて下さい」
 フィードは、さらっと言う。

「この二人」実は俊也を見て拍子抜けしていた。

『フツー……』
ヒーローオーラが、全然感じられない。

「本当にあなたが、化け物魔導師なのですか?」
 クレオが脱力した顔で聞く。全然強そうに見えないし、何より全く魔力が感じられない。

「ずいぶん言ってくれるわね。『化け物』であることは否定できないけど」
 エレンがカチンときて言う。

「まあまあ。お見受けしたところ、あなたは南大陸系の方だと思いますが」
 ルラがとりなし、クレオに聞く。相当の魔力を持っている。

「ちょっとショックで、失礼な言い方をしてしまいました。
私も『化け物』と呼ばれ続けていましたので。
クレオ・パトランと申します。
最強の魔導師殿の種をいただきたく、やってまいりましたが」
 クレオは、ふてくされ気味に言う。

「夫が気に入らないなら帰ってよ。
セックスの相手は十分すぎるほどいるから」
 エレンは、いっそう頭にきた。

「どうどうどう。
パトランといえば、エジパトの、パトラン一族の出ですか?」
 ルラが冷静に聞く。

「そうです」
 クレオはそっぽを向いて応える。

「夫の実力を疑っているようですね。
まずは夫の実力を見ていただきましょうか。
フラワー、クレオさんを二階へ案内して。
俊也、いいからレジで、一発かましてやれ!」
 ルラも実は頭にきていた。

「俊也から逃げてもいいですよ。
逃げられるものならね。
あなたの貞操、いただきます。
どうぞ二階へ」
 フラワーはいつも以上にクールに言う。それは逆に激おこの証。

「私の貞操、奪えるなら奪ってみな!」
 憤然としてクレオは席を立った。


三人が二階へ上がるのを見送り、フィードはこう言った。
「まず一人は、受け入れていただいたようですな。
紹介が遅れました。
こちらの令嬢はフレア・ユース。
ギースの領事を務める、ユース伯爵の次女です。
おわかりだと思いますが、魔力は大したことありません。
ただ、容貌も魔力量も、先の研修生より上だとは思いますが。
どうしますか?」

 どうしますか、だって……。ルラは内心笑う。わざと下手に出ているが、自信満々、といったところ? まあ、確かに自信が持てるだろうね。この子なら。性格は知らないけど。

「容貌は俊也のストライクゾーンです。
今夜はお預かりします。
手は出させませんので」
 ルラはすまして応えた。

「そうですか。今夜はカントの街で泊まります。
明日の朝、また参ります。
あ、そうそう。
カントのなんでも屋で、くっきーを試しました。あれはどのように作るのですか?」

「さあ? 俊也がどこからか持ち帰っております。
ルマンダ、フィード伯爵に、クッキーの詰め合わせを」

「できたらあめちゃんも」
 フィードは追加オーダー。

「ルマンダ、キャンディー袋ごと」
 ルラの命に、ルマンダが「はい」と返事を返す。

「見なれない袋や包装は、むやみに捨てないでください。
嫌なにおいがしますが、必ず焼却してください。
外で焼いたら気になりません。
自然分解しないから、焼く必要があるんです」
 そう言って、ルラはルマンダが持ってきたクッキーの缶を開ける。

「これ、つぶしたら楽しいですよ」
 プチ。ルラは緩衝用のプチプチシートを取り出し、一つつぶす。

「ほほう…。拝見」
 フィードはプチプチシートを受け取る。

プチ、プチ……。

なるほど、案外楽しいかも。

「これは衝撃を吸収するためですか?」
 そうです、とルラは答える。

「何でできているのでしょう?」
「石油を原料に、カガクギジュツと呼ばれる、特殊な魔法で作ります。
あ、これは食べられません。
湿気を防ぐためのものです。中身は消石灰」
 ルラは乾燥剤を見せ、缶に返す。

「どうぞ、召し上がってください。
フレアさんも」
 ルラが勧める。

「では……」
 フィードがクッキーを一枚取る。フレアも缶に手をのばす。二人は一口かじる。

「うまい」
「おいし~! こんなにおいしいもの、毎日食べられるんですか!」
 フレアは興奮を隠さず言う。

「あんまり食べたら太りますよ。
だけど、もっと美味しいものもあります。
ルマンダ、ダブルシュークリームを」
「はい」
 フレアを餌付けしてしまわないだろうか? ルラはそう思ったが、俊也がバカにされるのは我慢できない。

この娘、明日までに太らせてやる!

フィードは、ダブルシュークリームを一口食べて思う。

わしも館で暮らしたい!

 フィードは完全に甘党だった
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