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174 恐るべし コンビニスイーツ
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俊也は大使館経由で館に帰った。一つわかったことがある。
転移したら酔いはきれいに醒めてしまう。
案外重要かもしれない。
転移魔法については、よくわからないことが多々ある。ただ、非生物が混じっても全く問題がないことはわかっている。
俊也は服装を一応整え、一階へ降りた。
「お待たせしました」
リビングでは三幹部が、使節団の相手をしていた。
「いやいや。突然おじゃまして申し訳ない」
フィード伯爵は、握手を求めた。俊也は応える。
「で、ご用件はなんでしょうか?」
「気が向いたら、この二人の面倒をみて下さい」
フィードは、さらっと言う。
「この二人」実は俊也を見て拍子抜けしていた。
『フツー……』
ヒーローオーラが、全然感じられない。
「本当にあなたが、化け物魔導師なのですか?」
クレオが脱力した顔で聞く。全然強そうに見えないし、何より全く魔力が感じられない。
「ずいぶん言ってくれるわね。『化け物』であることは否定できないけど」
エレンがカチンときて言う。
「まあまあ。お見受けしたところ、あなたは南大陸系の方だと思いますが」
ルラがとりなし、クレオに聞く。相当の魔力を持っている。
「ちょっとショックで、失礼な言い方をしてしまいました。
私も『化け物』と呼ばれ続けていましたので。
クレオ・パトランと申します。
最強の魔導師殿の種をいただきたく、やってまいりましたが」
クレオは、ふてくされ気味に言う。
「夫が気に入らないなら帰ってよ。
セックスの相手は十分すぎるほどいるから」
エレンは、いっそう頭にきた。
「どうどうどう。
パトランといえば、エジパトの、パトラン一族の出ですか?」
ルラが冷静に聞く。
「そうです」
クレオはそっぽを向いて応える。
「夫の実力を疑っているようですね。
まずは夫の実力を見ていただきましょうか。
フラワー、クレオさんを二階へ案内して。
俊也、いいからレジで、一発かましてやれ!」
ルラも実は頭にきていた。
「俊也から逃げてもいいですよ。
逃げられるものならね。
あなたの貞操、いただきます。
どうぞ二階へ」
フラワーはいつも以上にクールに言う。それは逆に激おこの証。
「私の貞操、奪えるなら奪ってみな!」
憤然としてクレオは席を立った。
三人が二階へ上がるのを見送り、フィードはこう言った。
「まず一人は、受け入れていただいたようですな。
紹介が遅れました。
こちらの令嬢はフレア・ユース。
ギースの領事を務める、ユース伯爵の次女です。
おわかりだと思いますが、魔力は大したことありません。
ただ、容貌も魔力量も、先の研修生より上だとは思いますが。
どうしますか?」
どうしますか、だって……。ルラは内心笑う。わざと下手に出ているが、自信満々、といったところ? まあ、確かに自信が持てるだろうね。この子なら。性格は知らないけど。
「容貌は俊也のストライクゾーンです。
今夜はお預かりします。
手は出させませんので」
ルラはすまして応えた。
「そうですか。今夜はカントの街で泊まります。
明日の朝、また参ります。
あ、そうそう。
カントのなんでも屋で、くっきーを試しました。あれはどのように作るのですか?」
「さあ? 俊也がどこからか持ち帰っております。
ルマンダ、フィード伯爵に、クッキーの詰め合わせを」
「できたらあめちゃんも」
フィードは追加オーダー。
「ルマンダ、キャンディー袋ごと」
ルラの命に、ルマンダが「はい」と返事を返す。
「見なれない袋や包装は、むやみに捨てないでください。
嫌なにおいがしますが、必ず焼却してください。
外で焼いたら気になりません。
自然分解しないから、焼く必要があるんです」
そう言って、ルラはルマンダが持ってきたクッキーの缶を開ける。
「これ、つぶしたら楽しいですよ」
プチ。ルラは緩衝用のプチプチシートを取り出し、一つつぶす。
「ほほう…。拝見」
フィードはプチプチシートを受け取る。
プチ、プチ……。
なるほど、案外楽しいかも。
「これは衝撃を吸収するためですか?」
そうです、とルラは答える。
「何でできているのでしょう?」
「石油を原料に、カガクギジュツと呼ばれる、特殊な魔法で作ります。
あ、これは食べられません。
湿気を防ぐためのものです。中身は消石灰」
ルラは乾燥剤を見せ、缶に返す。
「どうぞ、召し上がってください。
フレアさんも」
ルラが勧める。
「では……」
フィードがクッキーを一枚取る。フレアも缶に手をのばす。二人は一口かじる。
「うまい」
「おいし~! こんなにおいしいもの、毎日食べられるんですか!」
フレアは興奮を隠さず言う。
「あんまり食べたら太りますよ。
だけど、もっと美味しいものもあります。
ルマンダ、ダブルシュークリームを」
「はい」
フレアを餌付けしてしまわないだろうか? ルラはそう思ったが、俊也がバカにされるのは我慢できない。
この娘、明日までに太らせてやる!
フィードは、ダブルシュークリームを一口食べて思う。
わしも館で暮らしたい!
フィードは完全に甘党だった
転移したら酔いはきれいに醒めてしまう。
案外重要かもしれない。
転移魔法については、よくわからないことが多々ある。ただ、非生物が混じっても全く問題がないことはわかっている。
俊也は服装を一応整え、一階へ降りた。
「お待たせしました」
リビングでは三幹部が、使節団の相手をしていた。
「いやいや。突然おじゃまして申し訳ない」
フィード伯爵は、握手を求めた。俊也は応える。
「で、ご用件はなんでしょうか?」
「気が向いたら、この二人の面倒をみて下さい」
フィードは、さらっと言う。
「この二人」実は俊也を見て拍子抜けしていた。
『フツー……』
ヒーローオーラが、全然感じられない。
「本当にあなたが、化け物魔導師なのですか?」
クレオが脱力した顔で聞く。全然強そうに見えないし、何より全く魔力が感じられない。
「ずいぶん言ってくれるわね。『化け物』であることは否定できないけど」
エレンがカチンときて言う。
「まあまあ。お見受けしたところ、あなたは南大陸系の方だと思いますが」
ルラがとりなし、クレオに聞く。相当の魔力を持っている。
「ちょっとショックで、失礼な言い方をしてしまいました。
私も『化け物』と呼ばれ続けていましたので。
クレオ・パトランと申します。
最強の魔導師殿の種をいただきたく、やってまいりましたが」
クレオは、ふてくされ気味に言う。
「夫が気に入らないなら帰ってよ。
セックスの相手は十分すぎるほどいるから」
エレンは、いっそう頭にきた。
「どうどうどう。
パトランといえば、エジパトの、パトラン一族の出ですか?」
ルラが冷静に聞く。
「そうです」
クレオはそっぽを向いて応える。
「夫の実力を疑っているようですね。
まずは夫の実力を見ていただきましょうか。
フラワー、クレオさんを二階へ案内して。
俊也、いいからレジで、一発かましてやれ!」
ルラも実は頭にきていた。
「俊也から逃げてもいいですよ。
逃げられるものならね。
あなたの貞操、いただきます。
どうぞ二階へ」
フラワーはいつも以上にクールに言う。それは逆に激おこの証。
「私の貞操、奪えるなら奪ってみな!」
憤然としてクレオは席を立った。
三人が二階へ上がるのを見送り、フィードはこう言った。
「まず一人は、受け入れていただいたようですな。
紹介が遅れました。
こちらの令嬢はフレア・ユース。
ギースの領事を務める、ユース伯爵の次女です。
おわかりだと思いますが、魔力は大したことありません。
ただ、容貌も魔力量も、先の研修生より上だとは思いますが。
どうしますか?」
どうしますか、だって……。ルラは内心笑う。わざと下手に出ているが、自信満々、といったところ? まあ、確かに自信が持てるだろうね。この子なら。性格は知らないけど。
「容貌は俊也のストライクゾーンです。
今夜はお預かりします。
手は出させませんので」
ルラはすまして応えた。
「そうですか。今夜はカントの街で泊まります。
明日の朝、また参ります。
あ、そうそう。
カントのなんでも屋で、くっきーを試しました。あれはどのように作るのですか?」
「さあ? 俊也がどこからか持ち帰っております。
ルマンダ、フィード伯爵に、クッキーの詰め合わせを」
「できたらあめちゃんも」
フィードは追加オーダー。
「ルマンダ、キャンディー袋ごと」
ルラの命に、ルマンダが「はい」と返事を返す。
「見なれない袋や包装は、むやみに捨てないでください。
嫌なにおいがしますが、必ず焼却してください。
外で焼いたら気になりません。
自然分解しないから、焼く必要があるんです」
そう言って、ルラはルマンダが持ってきたクッキーの缶を開ける。
「これ、つぶしたら楽しいですよ」
プチ。ルラは緩衝用のプチプチシートを取り出し、一つつぶす。
「ほほう…。拝見」
フィードはプチプチシートを受け取る。
プチ、プチ……。
なるほど、案外楽しいかも。
「これは衝撃を吸収するためですか?」
そうです、とルラは答える。
「何でできているのでしょう?」
「石油を原料に、カガクギジュツと呼ばれる、特殊な魔法で作ります。
あ、これは食べられません。
湿気を防ぐためのものです。中身は消石灰」
ルラは乾燥剤を見せ、缶に返す。
「どうぞ、召し上がってください。
フレアさんも」
ルラが勧める。
「では……」
フィードがクッキーを一枚取る。フレアも缶に手をのばす。二人は一口かじる。
「うまい」
「おいし~! こんなにおいしいもの、毎日食べられるんですか!」
フレアは興奮を隠さず言う。
「あんまり食べたら太りますよ。
だけど、もっと美味しいものもあります。
ルマンダ、ダブルシュークリームを」
「はい」
フレアを餌付けしてしまわないだろうか? ルラはそう思ったが、俊也がバカにされるのは我慢できない。
この娘、明日までに太らせてやる!
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