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173 野郎だけとの飲み会? しゅ、俊也君、どうしたんですか!
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一週間後、ミスト第二次魔法研修団は、ミストを旅立った。
正式な研修生候補者は、フレアただ一人だった。
王がフレアを選んだ理由は、フレアの美貌なら、受け入れられるかもしれないと思ったからだ。
思いがけない付録も付いた。変わり者の俊也が、超気に入りそうな変わり者クレオ。
王は「有事にはミストに協力する」という確約をとりつけ、クレオを丁重にもてなした。
クレオはOK、フレアは帰れ。そんな女の自尊心を踏みにじるようなことを、俊也はまず言わないだろう。
フィードの報告から、ロン王は俊也の性格をおおよそ見抜いている。フレアもついでになんとかなりそう。
ロン王はほくそ笑んだ。俊也との絆をうまく保つ限り、ミスト王国は安泰だ。
俊也は日本で、皇都大ドローン同好会三人をねぎらっていた。一人はバイトが抜けられなくて不参加。
会場は某有名な焼き鳥チェーン店。
「青形、結局カノジョ、何人いるの?」
酔いが深まった太田が聞く。
「いっぱい。人のカノジョなんてどうでもいいだろ?」
俊也はお茶を濁す。
「な、な、隣のボックスのおねえさんたち、いい感じだと思わねえ?」
カンちゃんこと、河合寛治がチャラオの片鱗を示す。
「ドローン、後二、三機改造して。
ズーム機能は普通でいいけど、ペインティングは例の塗料で頼む」
俊也は無視して、用件を切り出す。
ナーム戦でドローンを十分活用できなかったが、使い方によっては、大きな武器になると、俊也は思っている。
ドローンの音は隠せないが、魔石塗料で迷彩はきちんと機能した。
あんな機械を向こうで公にできないので、市販機に迷彩をほどこしてもらうつもりだ。
「カナちゃん、卒業だろ? これ渡してもらえない?」
ユウこと小林雄一が、おずおずとラッピングした小箱を俊也に渡そうとする。
「ねえねえ、おねえさん、いっしょに飲まない? 四人ずつだからさ、二人ずつ席代わろうよ。
飲み代、この男が全部払うって」
カンちゃんは、暴走を始めた。カンちゃんが言う「この男」とは、無論俊也を指す。
「おごり? いいよ。みんなもいいよね?」
ショートヘアの女が、他の三人に確認する。多分みんな二十代半ばだと思われる。
カンちゃんがロックオンするだけあって、なかなかつぶはそろっている。
「青形、別に変な意味で取らないでくれ。
ビキニ姿を見せていただいたお礼だから」
ユウは小箱を俊也の前に置く。
「変な意味にしかとれないだろ?
それに、お前たちはおごるけど……」
酔っ払いのコミュニケーションはかくのごとし。たいていの場合、人の話無視の、しっちゃかめっちゃかになる。
俊也のスマホに、静香から連絡が入った。
『館に急なお客さんが来たみたいよ。
ミストの偉いさんが、二人娘さんを連れてきたって』
もう? だけど、無視はできない。
「了解。タクシーで帰る」
俊也は電話を切って、三人にこう告げた。
「嫁から帰れコールが入った。支払いはこれで。
足りなかったら太田が払う。
借金まだ返してもらってないから、七万までは大丈夫だ。
ドローン代は、前と同じユウの口座に振り込んでおく。
足りなかったら連絡して。余ったらサークルに寄付する」
俊也は財布から四万出してテーブルに置いた。少ないとは言わせないぞ。
ナンパの手助けする義理はない。
「青形、卒業祝いを!」
ユウは小箱を捧げる。
「俺、二千円しか持ってないぞ!」
太田は泣きそうになる。
「ねえねえ、スポンサー帰るみたいだけど、不足分は割り勘で……」
カンちゃんは、イズムを曲げなかった。
正式な研修生候補者は、フレアただ一人だった。
王がフレアを選んだ理由は、フレアの美貌なら、受け入れられるかもしれないと思ったからだ。
思いがけない付録も付いた。変わり者の俊也が、超気に入りそうな変わり者クレオ。
王は「有事にはミストに協力する」という確約をとりつけ、クレオを丁重にもてなした。
クレオはOK、フレアは帰れ。そんな女の自尊心を踏みにじるようなことを、俊也はまず言わないだろう。
フィードの報告から、ロン王は俊也の性格をおおよそ見抜いている。フレアもついでになんとかなりそう。
ロン王はほくそ笑んだ。俊也との絆をうまく保つ限り、ミスト王国は安泰だ。
俊也は日本で、皇都大ドローン同好会三人をねぎらっていた。一人はバイトが抜けられなくて不参加。
会場は某有名な焼き鳥チェーン店。
「青形、結局カノジョ、何人いるの?」
酔いが深まった太田が聞く。
「いっぱい。人のカノジョなんてどうでもいいだろ?」
俊也はお茶を濁す。
「な、な、隣のボックスのおねえさんたち、いい感じだと思わねえ?」
カンちゃんこと、河合寛治がチャラオの片鱗を示す。
「ドローン、後二、三機改造して。
ズーム機能は普通でいいけど、ペインティングは例の塗料で頼む」
俊也は無視して、用件を切り出す。
ナーム戦でドローンを十分活用できなかったが、使い方によっては、大きな武器になると、俊也は思っている。
ドローンの音は隠せないが、魔石塗料で迷彩はきちんと機能した。
あんな機械を向こうで公にできないので、市販機に迷彩をほどこしてもらうつもりだ。
「カナちゃん、卒業だろ? これ渡してもらえない?」
ユウこと小林雄一が、おずおずとラッピングした小箱を俊也に渡そうとする。
「ねえねえ、おねえさん、いっしょに飲まない? 四人ずつだからさ、二人ずつ席代わろうよ。
飲み代、この男が全部払うって」
カンちゃんは、暴走を始めた。カンちゃんが言う「この男」とは、無論俊也を指す。
「おごり? いいよ。みんなもいいよね?」
ショートヘアの女が、他の三人に確認する。多分みんな二十代半ばだと思われる。
カンちゃんがロックオンするだけあって、なかなかつぶはそろっている。
「青形、別に変な意味で取らないでくれ。
ビキニ姿を見せていただいたお礼だから」
ユウは小箱を俊也の前に置く。
「変な意味にしかとれないだろ?
それに、お前たちはおごるけど……」
酔っ払いのコミュニケーションはかくのごとし。たいていの場合、人の話無視の、しっちゃかめっちゃかになる。
俊也のスマホに、静香から連絡が入った。
『館に急なお客さんが来たみたいよ。
ミストの偉いさんが、二人娘さんを連れてきたって』
もう? だけど、無視はできない。
「了解。タクシーで帰る」
俊也は電話を切って、三人にこう告げた。
「嫁から帰れコールが入った。支払いはこれで。
足りなかったら太田が払う。
借金まだ返してもらってないから、七万までは大丈夫だ。
ドローン代は、前と同じユウの口座に振り込んでおく。
足りなかったら連絡して。余ったらサークルに寄付する」
俊也は財布から四万出してテーブルに置いた。少ないとは言わせないぞ。
ナンパの手助けする義理はない。
「青形、卒業祝いを!」
ユウは小箱を捧げる。
「俺、二千円しか持ってないぞ!」
太田は泣きそうになる。
「ねえねえ、スポンサー帰るみたいだけど、不足分は割り勘で……」
カンちゃんは、イズムを曲げなかった。
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