【R18】猫は異世界で昼寝した

nekomata-nyan

文字の大きさ
230 / 230

230 最終話 お父さんのカラーじゃない

しおりを挟む
※最終話です。長らくご愛読ありがとうございました。特にずっと「しおり」を付し、追ってくださった方、「エール」の手間をかけてくださった方。深く感謝申し上げます。
次は前に記した通り、「なろう」に投稿した『勇者二世嫁探しの旅』という作品を、年末から投稿しようと思っています。よろしければお読みください。
 猫又にゃん 拝

◇  ◇ ◇

 
 シュンヤーダ公国、領主の館。普段留守がちな領主の代行として、領地経営の腕を振るっているのは、元アルス王国王女、エリーナだった。
 彼女の侍女カエデは、パソコンの表計算ソフトを使い、税務計算に余念がない。

「エリーナ様、本年度の締め、終わりました」
 カエデは、ほっと息をつぎ、肩をとんとんとたたく。

「ご苦労でした。どんな感じですか?」
 エリーナは、カエデの背後に回り、彼女の肩をもんでやる。
「エリーナ様、おそれ多いです!」
 カエデはびっくりして立ち上がった。
「いえいえ、カエデの労力に、わたくしは何も報えません。
肩をもむぐらい、させてください」

「おそれいります……。あ~、気持ちいい」
 カエデはイスに座り直し、エリーナのマッサージサービスを受けた。正直言えば、俊也のサービスを受けたら、肩こりなどあっという間に解消するのだが、エリーナの気持ちは、何よりありがたい。

「で、税収の方は?」
「昨年度の1.2倍増、といったところでしょうか。
アルスの税率と比べて半分なのに。
猫又様の魔法、大したものですね」
 俊也は農学の知識を身につけ、土や植物属性の魔法で、ナビス平原を肥沃の地に改良した。
 自然とミストからの移民が年々激増し、人口は増える一方。ナビス平原の豊な恵みは、ミストへの食糧輸出を差し引いても、人々の糊口を養って余りあるほどだ。

「見回り、完了しました!」
 元イスタルト王妃、ブリジッドとクレデリカが転移してきた。続いてマサラとエンランが、領主執務室へ帰ってきた。
ブリジッドとクレデリカは、ナビスの館を生活拠点としている。
 二人はどちらかといえばアウトドア派。ナビスの民が安心して生活できるよう、山間部から降りてくる魔物や野獣を狩っている。
 どちらかといえばインドア派のカトリーヌ、アニータ、スザンナは、ショッピングモールに付随した館で暮らしている。
 後宮というでっかい籠の中で「飼われ」ていた王妃たちは、いずれも生き生きと働き、嬉々として俊也の精をいただき……。超充実の日々を送っていた。

「みなさん、ご苦労様でした。
そろそろ旦那様がお帰りになるころかと。
お着替えをなさっては?」
 エリーナは領主代行として気を使う。
「ジーンズじゃ、まずいですよね? 
フレデリカさん、どんなお洋服にします?」
「こないだ、カナさんと琴音さんが、プレゼントしてくれたドレス!」
「あのヤラシーやつですか! 
外で着る気になれませんが、そうしましょう!」
 カナと琴音は、念願のブティックを開いている。もちろんルマンダがデザインしたものだ。
 ルマンダは嫁用に、販売用とは一味も二味も違った服をデザインする。

 ミスト産の絹をぜいたくに使い……、後はお察し。ファッションショーでぎりぎり可とされるような逸品だとだけ記しておく。

 それはどんな感じですと? YOU-TUBEで検索してみてください。記者はびっくりしました。
 あんなのドレスじゃねぇ~~~!

 ブリジッドとクレデリカが自室へ帰ったところ、俊也が転移してきた。

猫又ではなく俊也である点に注目!
 興津根様は、試しに俊也の中に入ってみました。すると、女とは全然違った快感が得られることに気づいたのです!

 基本的に女体の方がいい。だが、発射後の征服感と爽快感!
 実にいい!

 というわけで、人間と化け猫、キツネの神様が合体した超・超生物が爆誕した。
興津根様はベテラン嫁に憑依することで、転移魔法もばっちり習得している。邪魔な俊也の意識を眠らせ、人間形態のまま、転移させることが可能となった。

「旦那様……、目がうつろですね。
興津根様、ブリジッドさんとクレデリカさんが、待ちわびています。
わたくしどもは、ひと眠りした後でいいですから」
 領主代行として、どこまでも気を使うエリーナだった。


 俊也は湖の館へ転移して、ほっと一息。この三日間は各地で生活している、元イスタルト王妃たちのケアで疲労困憊。新人さんだけではなく、現地駐留嫁たちのケアも忘れてはいけない。

 数が数だから、「お仕事」を終えた後、おちおち昼寝もできない。
 それほど未亡人たちの、要求は苛烈だ。エッチのたび、魔力上昇が実感できる。美容効果も信じられないほど。
なにより、前イスタリア王とは比較にならない性的技巧、ならびに一突きごとの充実感。

未亡人たちが夢中になるのも、やむなしである。

 現時点で俊也の仕事は、嫁たちへのご奉仕だけ。「だけ」とはいうものの、一人たりともおろそかにはできない。

 現実のハーレム王は、相当つらいものがあるのです。

 はい……。

 なんかトラブルでも、起こらないかな? お勤め頻度が減っても、ブーイングが出ないような……。

 事なかれ平和主義の俊也も、ついつい不穏な考えに流れてしまう。


「旦那様、相談があるんだけど」
 クレオが俊也帰宅の知らせを、ルラから念話で受け、館へ転移で帰ってきた。

彼女はエジパトから呼び出され、里帰りしていた。その結果、とある問題を抱えることとなった。
 
「エジパトに呼ばれたんだろ?
何か問題でも?」
 俊也は深刻な表情のクレオが、心配になってそう聞いた。

「国境で小競り合い続けてたラムダムと、パランピアが、本格的に開戦した。
それだけなら対岸の火事なんだけど、エジパトの有力首長が何人か、両国に取り込まれて……。
下手したら、内乱になるかもしれない。
パトラン族は中立を保つつもりだけど、どうしよう?」

「それは大変だ!
ルラ、暇な嫁、全員集合! 
エジパトへ跳ぶぞ!」

 ルラは苦笑して、俊也の依頼に添った。各地に散らばっていた嫁たちが、次々と帰ってくる。


『お母さん。どうしてお父さん、あんなに張り切ってるの?
お父さんのカラーじゃないでしょ?』
 ルラの膝で抱かれていたうみたんが、念話で母親に聞く。

『お父さんは、暇だと忙しくなるからよ』

『どういうこと?』
『お父さんの体は一つ。
そういうことよ』

『よくわかんない』

『わかんなくてもいいのよ。
あなたはお父さんの娘だから』

『ふ~ん……。
大人の複雑な事情?』

『大人の単純な事情』

 大人の単純な事情に基づき、集合した嫁各位に、檄を飛ばす俊也だった。


 一応、おしまい。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

A・l・m
2023.10.12 A・l・m

……危ない、トップだけ流し読みしたからびーえるかと誤解した……。

……いや、たとえ令嬢って書いてあっても、異世界だと男かも知れんな……。

2023.10.13 nekomata-nyan

初のご感想、ありがとうございます。
BLですと?
猫又は大の女好きです!

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。