夢追い人~異世界に飛ばされた残念な男は気ままに暮らす~

夜夢

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第1章 異世界らしい。

06 パーティー結成

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    なんてこった、全っ然記憶にねぇぇ…。酒に呑まれるなんて…情けねぇ…。

「どうしたのかしら、マナトさん…。」

「昨夜の事思い出してるとか…?いやぁ…凄かったもんねぇ~あの一気♪」

    どんな無茶な飲み方したんだ…誰か説明プリーズ!!

「こほん…。さて、お前達。昨夜で随分打ち解けたが、俺に何か用があるのか?」

    確かに話は聞いたし、代金の立て替えで恩は売ったが、そんなに仲良くなるフラグがあったか?

    冒険者達は声を合わせて言った。

「「「「私達とパーティー組んで♪」」」」

「は?」

「あの、出来たら私達と一緒にクエストをこなしてみませんか?と。」

「いや、それは良いんだけど…。俺、正直足手纏いだぜ?戦闘経験とかスライム一匹倒した位だし。」

「構いませんよ。ただ、私達と一緒に冒険して欲しいなって思っただけなので…ダメ…ですか?」

「う~ん…。本当に邪魔になるけど良いか?」

「大丈夫!前衛の私が守るからっ♪安心して一緒に行こっ?ね?」

「分かった。アイシャ、カトラ、ジルコ、リーリア。迷惑かけるかもしれないけど、宜しく頼むよ。 

「「「「やったぁ♪」」」」

    愛斗は4人を伴い、冒険者ギルドへと向かった。

「私、簡単な討伐クエスト探して来るね~。」

「じゃあ、俺は…」

「マ~ナ~トく~ん♪」

「んなっ!て…リリィ姉か、どうしたの?」

「どうしたの?じゃないわよ。ほら、武器。丁度良いのが見つかったわよ。」

    リリィは愛斗に鞘に入った刀を手渡した。

「…リリィ姉。流石にこれは…。」

「何?刀ってこれじゃないの?」

「いや、確かに刀だけどさ!こんな刀使えるかよ!?何だよこれ!目立ち過ぎだろ!せめて鞘を普通のにしてくれよ!?」

    リリィから受け取った刀は名刀千鳥と言うらしい。しかし、鞘は…ピンクで赤いハートマークがぎっしりと並んでいた。

「なんで~?可愛いじゃん!」

「女が持てばな!?俺がこんなの持てるかっ!」

「なら、鞘だけ作り直すのら~。」

    その声は…ノーラ!

「おふぅ…。ノーラ…頼めるか?それと図面出来た?」

「出来たのら♪見て見て♪」

    ノーラは愛斗に図面を渡した。

「ふむふむ…地上5階、地下1階。隣接する工房が2か。良いぞ~。これで行こう!幾ら掛かる?」

「ふえ?う~ん。材料は魔法で出すから…人件費位かなぁ…工房の炉は前のから移すし。そんなに掛からないのら♪」

    魔法…便利なんだなぁ…。これを日本で作ったら……十億できかないかもなぁ。魔法凄ぇ…。

「じゃあ…取り敢えず金貨三万枚の手形を渡しておくよ。足りなかったら言ってくれ。」

「分かったのらっ♪ふふふ~、後…はいこれ。」

    ノーラは包みを1つ手渡した。

「これは?」

「開けてみるのらっ♪」

    愛斗は受け取った包みを開いてみた。

「こ、これは…防具か!」

「そうなのら!マナトお兄ちゃんには絶対死んで欲しくないからノーラ頑張ったのらっ♪先ずは…物理全反射の胸当てと~…」

    ちょっと待て。何だって?

「攻撃魔法反射のマント!」

    は?

「更に!身体能力向上の腰ベルトに、絶対壊れないブーツ。後は…状態異常を完璧に防ぐ額当てなのらっ!」

    はは、はははは。

「なぁ…ノーラさんや。」

「なになに~?」

「愛してるぜ。俺達の住む家…早く作ってくれよ?」

    キュゥゥゥゥゥン!

「ち、超突貫で終わらすのらっ!こうしちゃ居られないのらぁぁぁぁっ!」

    ノーラは何処かへ走っていった。

「あ…鞘。ま、仕方ないか。」

「あ、マナト、待って。」

「なに、リリィ姉?」

「はい、これ。」

    ?鞄?

「腰ベルトに下げて使ってね。容量無限の収納鞄よ。」

「は?よ、容量無限!?」

「そ、昔使ってた奴だけどね。良かったら使って?」

「こんな…良いのか?」

「うん、現役に使って貰った方が良いもの。飾っておいてもしょうがないし。」

「分かった、大切に使うよ。ありがとな、リリィ姉!」 

    キュゥゥゥゥゥン!

「う、うんっ!じ、じゃあ…クエスト頑張ってねっ!」

    リリィはふらふら~っと歩いていった。そして、アイシャは一連の流れを見て驚嘆していた。

「ぎ、ギルマスと伝説の名工からプレゼントって…!ま、マナトさん?アナタ、一体何者なの!?」

「それは…後で話すよ。さ、クエスト行くんだろう?俺にとっちゃ初めてのクエストだ。皆、宜しく頼むよ。」

「「「「は、はいっ!」」」」

     カトラが続いてクエストについて説明を始めた。

「先ず、今回のクエストは町の近くで暴れているモンスターの退治ね。倒したらカードに討伐記録が残るから、討伐証明部位の狩り取りは必要ないの。討伐した種類と数で報酬が決まるからガンガン倒しましょ♪」

    愛斗がカトラに聞いた。

「町の近くには何が出るんだ?」

「良く見るのは…スライム、ワーウルフ、スモールボア。夜はスケルトンとゾンビね。」

    うん、夜は町から出ない。今決めた。

    ジルコが言った。

「じゃあ…行きますか!3泊4日魔物狩りツアー♪」

    は?さ、3泊4日!?

「ひ、日帰りじゃねぇの??」

「愛斗さん、町の周辺とはこの領地一帯の事なのです。そして…ここからでは東西南北、何処を目指しても半日以上は掛かりますよ?」

「ま、マジで?ね、寝る場所は?」

「じゃ~ん!野営セット~♪5人だから3人用と2人用を買っちゃいました♪あ、私達も制限はありますが収納鞄持っていますので。」

「ふむ、見張りは要らないのか?」

「そこはほら…リーリアの魔物避けの結界魔法があるから、心配無いわよ。朝までゆ~っくり寝てても大丈夫♪」

    リーリアは少し照れていた。

「へ~。便利なんだなぁ。じゃあ先ず、何処から行く?」

    アイシャが考える。

「う~ん…マナトさんが初めてだし、比較的弱いモンスターが出る南の草原から行こうかなと。で、マナトさんのレベルが上がったら西の森、北の山、東の廃墟と回りましょう。皆良いかな?」

「「「意義なし!」」」

    何処もヤバそうな雰囲気がする。南の草原って…俺が居た場所かな?あそこならまぁ大丈夫か。

「良し、じゃあ行きますか。」

「「「「お~!」」」」

    愛斗は皆と一緒に町を出る。

「お、ボウズ。冒険者になったか?」

「あ、町に来た時の。その節は。」

「何、構わんよ。今日は討伐クエストか?」

「え、えぇ。3泊4日らしいです。」

「いきなり野営か。まぁ、そっちの嬢ちゃん達は良く見る顔だし…。頑張れよ、ボウズ!」

「ありがとうございます。行ってきます。」

    愛斗達は街道を南下し、草原へと向かっていた。

「そう言えば皆の事、まだ余り知らないんだよな。良かったら聞かせてくれる?」

「あ、そうでしたね。では私から。私はアイシャ。歳は13歳。職業は剣士レベル1。肉体レベルは15です。主に前衛で、チームのリーダーでもあります。宜しくお願いします。」

    おいおい…マジか…。歳下か。まぁ若いなぁとは思ったが。

「次は私ね。私はカトラ。歳は同じく13。職業はシーフレベル1。肉体レベルは14。戦闘スタイルは中衛かな。主に投擲なんかで敵を倒すよ。宜しくねっ。」

    こいつも歳下か。冒険者ってのは若いのしかいないのか?

「次だな。私はジルコだ。歳は15。職業は戦士レベル1だ。肉体レベルは18。戦闘スタイルは前衛で敵の攻撃を誘う役だ。」

    ふむ…タンクか?傷だらけだったのも頷けるな。ジルコも二つ下か。

「最後は私ですね。私はリーリア。歳は12。職業はプリーストレベル1です。肉体レベルは13です。戦闘スタイルは後衛で魔法による支援、回復です。腕力は…期待しないで下さいね…。」

    やはり一番下か。見た目はノーラと良い勝負だな。そして、最後に愛斗が自己紹介をした。

「改めて、マナト・シーナだ。歳は17。職業は夢追い人レベル4。肉体レベルは1だ。戦闘スタイル?は取り敢えず前衛かな?スキルが無いから肉体言語しか攻撃手段は無いが、宜しく頼…む?皆どうしたの?」

    皆は唖然としていた。いち早くアイシャが復活し、愛斗に言った。

「ゆ、ゆゆゆ夢追い人って!!だ、大体が後世に名を残す人達が持つ職業じゃない!?じ、実在したのね…?」

「成る程ぉ~。ギルマスが目を付けた理由が分かったわ。これは…囲う気ね。」

「超レア職業じゃねぇか…。こりゃあ…先が楽しみだ。」

「ふわぁ~。マナトお兄ちゃん、凄い人だったんだぁ…。」

    ピクッ。

「り、リーリア。今…何て?」

「ふえ?す、凄い人?」

「違う、その前だ!」

「ふわわ、ま、マナト…お兄ちゃん?」

    ふおぉぉぉぉぉぉぉっ!!これか!これが原因か!

「リーリア。」

「は、はい!」

「屋敷が出来たら一緒に住もう。」

「ひゃはっ!?な、なななな何で!?う、嬉しいけど!」

「理由は…愛しているからだ(妹として)。それ以外に表す言葉が浮かばん…。一緒に暮らしてくれるか?」

「は、はい…っ♪」

「「「ず、ズルいぃっ!私もっ!」」」

「ん?仲間なんだから当然だろ?今建てている屋敷はバカデカイからな。見て腰を抜かすなよ?はははははっ。」

    カトラの目が光った。

「因みにどれ位大きいの?」

「確か、地下1階、地上5階。敷地に工房が2棟だったかな。更に、図面には中庭と噴水、馬車庫、訓練場、花壇に菜園があったな。ははは、城かっつーのなぁ…ん?どうしたの?」

「け、結婚してぇぇぇぇぇっ♪」

「は、はぁぁぁ?」

「「「抜け駆け禁止ぃっ!!」」」

「あ、すいません、取り乱しました。でも…皆…ハッキリ言おう…。せ~の…」

「「「「それはお城だ!」」」」

    うん、薄々気付いてた。ノーラの奴め。こんなに頑張ってくれるなんて…可愛い奴だ。

    こうして、愛斗は初クエストへと向かうのであった。
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