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第6章 強くなる!
03 人間界
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ユーキが人間界から姿を消した後、マイン王国は戦の準備を始めていた。
「数日後条約が破棄される。戦の準備は進んでおるか?大臣?」
「はっ!近隣諸国は条約が延長されると思い込み、軍備を整えている気配はありません。対して、我が国は秘密裏に軍備を進め、いつでも戦に向える準備があります。」
「うむ。そう言えば勇者はどうなった?」
「それが…探してはいるのですが全く見つからず…。もしかしたら何処か遠く離れた国で生まれたのやもしれません。」
「ふむ…。我らの邪魔にならぬなら良い。そのまま準備を進めよ。全てを我が手中に収めるのだ!国を大きくするまたとない機会だ、抜かるなよ?」
「はっ!」
大臣は下がり、戦の準備を進めた。
「くくくっ、もうすぐだ…。この辺一帯は我が国となるだろう!くははっ、はあっはっはっは!」
王は高らかに笑った。
マイン王国の王は強欲だった。自分の国が安定しているにも関わらず、更に欲深く富を得ようとした。首都の民らは戦を察知し、我先にと首都から離れ始めていた。民達は揃ってガラテアへと移動を開始した。
「ミーアさん、最近移民が増えてません?」
「もうすぐ不可侵条約が終わるでしょ?どうやらうちの国は他国を侵略しようと計画してるみたい。それを察知した民が此方に避難してきているって事よ。」
ガラテアはマイン王国ではあるが、冒険者が幅を利かせている街である。冒険者ギルドは時に王国以上の力を発揮する。冒険者は戦争に荷担しない。それが冒険者の掟の一つだからである。マイン王国に居た冒険者達は全てガラテアに移動を終えていた。今マイン王国で一番安全な街であると言えよう。
「あのクズ王にも困ったもんだね。黙って条約更新すれば良いものを…。余程平和が嫌いと見える。あんな王に従う兵も兵だけどさ。」
「ですね。マナトさんを追放した国なんて滅びれば良いんです!そしたら…マナトさんも戻ってくるかも…。」
「…どうだろうね。今頃どっかでヨロシクやってるんじゃない?」
「マナトさんはそんな事しません!」
「あ、でも…私着替え見られた事ある。」
「私は脱衣場で裸見られましたね。」
「私はその…トイレを…。」
「は?わ、私…何も無かったんだけど…?」
他の3人は顔を見合わせて言った。
「「「おっきかったなぁ~♪」」」
「な、何が!?うぅ~っ!」
3人は醜態を晒しながらもしっかりマナトの反応を見ていた。
「「「あ~…早く帰って来てくれないかなぁ~…。」」」
ミーアは言った。
「アンタ達、全員アイツに惚れてんの?」
「そりゃあ恩人ですし…。それに格好良くなかったですか?」
「ん~…。私が見た姿は情けない姿だけだったからねぇ…。ま、アンタが有名になれば会えるでしょ。ほら、クエスト行ってきな。もうすぐAランクでしょ?」
「「「「はいっ!」」」」
アイシャ達は頑張っていた。屋敷に近付かなくなったのではなく、必死に自分達の力と技を磨いていたのだ。こんなに短期間でAランクに上がりそうなパーティーは前代未聞だとギルドでも話題になっていた。
「いつかまたパーティーを組む時足を引っ張りたく無いですから!ミーアさん、屋敷の管理、頼みます!」
「はぁいはい、全く…必死すぎだねぇ。」
ミーアはアイシャ達に頼まれ屋敷の維持管理をしていた。最初は宿代が浮くからと引き受けたが…。
「広すぎて疲れんのよねぇ…。魔法だって万能じゃないんだからね。」
ミーアはアイシャ達の背に向かって呟いていた。
それから1ヶ月後、条約は破棄された。マイン王国は自由交易都市を占拠し、自領であると近隣に宣言した。
これに他の3国も黙っておらず、それぞれ自由交易都市に兵を送ったが、急造の兵ではまるで相手にならず、都市を奪うには到らなかった。マイン国王は拠点を交易都市に移し、次なる行動に出た。
「各国に使者を送れ。降伏するならば我が属国として扱う。反抗するならば…蹂躙だ。そう伝えて参れ。」
「「「はっ!!」」」
予め準備していたマイン王国は強かった。対し、他の3国はこれからも条約が続くと楽観し、軍備には全く力を入れていなかった。
1週間後…。
「国王、3国から下ると返事がございました。」
「うむ、では…3国の国王は斬首。この都市を新たな首都とし、統治する。逆らう者は殺せ。」
「はっ!!」
それから、街の中央広場にて3人の王の処刑が敢行された。
「いつまでも平和惚けしている王など必要無い。これからのマイン王国は巨大軍事国家となる。従わぬ者はこのように殺す。これは見せしめだ。賢い者はどうすれば良いか分かるだろう?私は誰だろうと逆らう者は容赦しない。次は偉ぶっている冒険者共の番だ。即刻国から退去せよ。我が国に冒険者ギルドなど必要無い。1週間やる、国から立ち去れぃ!!」
これには冒険者ギルドも黙っていなかった。即刻国内にある全ての冒険者ギルドを解体し、全ての冒険者をマイン王国から退去させた。冒険者達もクエストが無い国には用は無いとばかりに皆マイン王国から撤退した。その中にはミーアやアイシャ達も含まれていた。
「やってくれたね、マイン国王!!」
「私達、これからどうなるのかな…。もうあの屋敷にも行けない…。」
「大丈夫!いつかあんな国は滅びるわ。そうしたら…また皆で戻りましょう。あそこは私達のホームなんだから…!」
「そうだな、マナト…すまねぇ!」
「寂しくなりますね…。」
アイシャ達は名残を惜しみつつ国を後にするのであった。
「数日後条約が破棄される。戦の準備は進んでおるか?大臣?」
「はっ!近隣諸国は条約が延長されると思い込み、軍備を整えている気配はありません。対して、我が国は秘密裏に軍備を進め、いつでも戦に向える準備があります。」
「うむ。そう言えば勇者はどうなった?」
「それが…探してはいるのですが全く見つからず…。もしかしたら何処か遠く離れた国で生まれたのやもしれません。」
「ふむ…。我らの邪魔にならぬなら良い。そのまま準備を進めよ。全てを我が手中に収めるのだ!国を大きくするまたとない機会だ、抜かるなよ?」
「はっ!」
大臣は下がり、戦の準備を進めた。
「くくくっ、もうすぐだ…。この辺一帯は我が国となるだろう!くははっ、はあっはっはっは!」
王は高らかに笑った。
マイン王国の王は強欲だった。自分の国が安定しているにも関わらず、更に欲深く富を得ようとした。首都の民らは戦を察知し、我先にと首都から離れ始めていた。民達は揃ってガラテアへと移動を開始した。
「ミーアさん、最近移民が増えてません?」
「もうすぐ不可侵条約が終わるでしょ?どうやらうちの国は他国を侵略しようと計画してるみたい。それを察知した民が此方に避難してきているって事よ。」
ガラテアはマイン王国ではあるが、冒険者が幅を利かせている街である。冒険者ギルドは時に王国以上の力を発揮する。冒険者は戦争に荷担しない。それが冒険者の掟の一つだからである。マイン王国に居た冒険者達は全てガラテアに移動を終えていた。今マイン王国で一番安全な街であると言えよう。
「あのクズ王にも困ったもんだね。黙って条約更新すれば良いものを…。余程平和が嫌いと見える。あんな王に従う兵も兵だけどさ。」
「ですね。マナトさんを追放した国なんて滅びれば良いんです!そしたら…マナトさんも戻ってくるかも…。」
「…どうだろうね。今頃どっかでヨロシクやってるんじゃない?」
「マナトさんはそんな事しません!」
「あ、でも…私着替え見られた事ある。」
「私は脱衣場で裸見られましたね。」
「私はその…トイレを…。」
「は?わ、私…何も無かったんだけど…?」
他の3人は顔を見合わせて言った。
「「「おっきかったなぁ~♪」」」
「な、何が!?うぅ~っ!」
3人は醜態を晒しながらもしっかりマナトの反応を見ていた。
「「「あ~…早く帰って来てくれないかなぁ~…。」」」
ミーアは言った。
「アンタ達、全員アイツに惚れてんの?」
「そりゃあ恩人ですし…。それに格好良くなかったですか?」
「ん~…。私が見た姿は情けない姿だけだったからねぇ…。ま、アンタが有名になれば会えるでしょ。ほら、クエスト行ってきな。もうすぐAランクでしょ?」
「「「「はいっ!」」」」
アイシャ達は頑張っていた。屋敷に近付かなくなったのではなく、必死に自分達の力と技を磨いていたのだ。こんなに短期間でAランクに上がりそうなパーティーは前代未聞だとギルドでも話題になっていた。
「いつかまたパーティーを組む時足を引っ張りたく無いですから!ミーアさん、屋敷の管理、頼みます!」
「はぁいはい、全く…必死すぎだねぇ。」
ミーアはアイシャ達に頼まれ屋敷の維持管理をしていた。最初は宿代が浮くからと引き受けたが…。
「広すぎて疲れんのよねぇ…。魔法だって万能じゃないんだからね。」
ミーアはアイシャ達の背に向かって呟いていた。
それから1ヶ月後、条約は破棄された。マイン王国は自由交易都市を占拠し、自領であると近隣に宣言した。
これに他の3国も黙っておらず、それぞれ自由交易都市に兵を送ったが、急造の兵ではまるで相手にならず、都市を奪うには到らなかった。マイン国王は拠点を交易都市に移し、次なる行動に出た。
「各国に使者を送れ。降伏するならば我が属国として扱う。反抗するならば…蹂躙だ。そう伝えて参れ。」
「「「はっ!!」」」
予め準備していたマイン王国は強かった。対し、他の3国はこれからも条約が続くと楽観し、軍備には全く力を入れていなかった。
1週間後…。
「国王、3国から下ると返事がございました。」
「うむ、では…3国の国王は斬首。この都市を新たな首都とし、統治する。逆らう者は殺せ。」
「はっ!!」
それから、街の中央広場にて3人の王の処刑が敢行された。
「いつまでも平和惚けしている王など必要無い。これからのマイン王国は巨大軍事国家となる。従わぬ者はこのように殺す。これは見せしめだ。賢い者はどうすれば良いか分かるだろう?私は誰だろうと逆らう者は容赦しない。次は偉ぶっている冒険者共の番だ。即刻国から退去せよ。我が国に冒険者ギルドなど必要無い。1週間やる、国から立ち去れぃ!!」
これには冒険者ギルドも黙っていなかった。即刻国内にある全ての冒険者ギルドを解体し、全ての冒険者をマイン王国から退去させた。冒険者達もクエストが無い国には用は無いとばかりに皆マイン王国から撤退した。その中にはミーアやアイシャ達も含まれていた。
「やってくれたね、マイン国王!!」
「私達、これからどうなるのかな…。もうあの屋敷にも行けない…。」
「大丈夫!いつかあんな国は滅びるわ。そうしたら…また皆で戻りましょう。あそこは私達のホームなんだから…!」
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アイシャ達は名残を惜しみつつ国を後にするのであった。
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