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第4章 侵略
第44話 団長の決断
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アースに問われた団長は改めて自分の行動を振り替える。
「私が何をしたいか……か」
私は異例の若さで陛下を守護する白騎士団の団長となった。では何故騎士になろうと思ったか。それはひとえに陛下を守れば多くの民が幸せになれると思ったがゆえ。
「……だが結果は……」
陛下についていけば多くの民が救われると思っていた。だが陛下は変わられた。弟君を殺害された事を機に復讐に囚われてしまわれた。その結果が国の滅亡だ。今頃ゴッデス大陸にいた民はどこからかの国から侵略され、酷い扱いを受けているに違いない。それだけの事をグラディス帝国はやってきた。時には無理矢理領地を奪った事もある。中央大陸にはグラディス帝国を良く思っていなかった国も多いだろう。
「……恨まれても仕方ない事をしていたんだ、私たちは……」
そこで私は考える。
「何がしたいかと言われれば……、そうだな、贖罪か。私自身が手を下した事はないが、他の騎士団、特に暗殺や謀略を得意としていた黒騎士団は沢山の後ろ暗い行動をとっていた。だがその黒騎士団ももうない。ならばどうするか……。私が贖罪していくしかないだろうな」
例え自分がやってはいなくても同じ国の同じ騎士がしてきた事だ。無関係を装い、はい、知りませんでは通らない。グラディス帝国に恨みを持つ者たちに謝罪する事こそ、これから自分がしていかなければいけない事だと団長は考え、翌日アースにそれを告げに向かった。
「それは違うでしょ」
「え?」
アースは団長の考えを頭から否定した。
「確かに言いたい事はわかるし、覚悟もわかる。けどさ、それをしなければならないのは皇帝であって君じゃない」
「し、しかし陛下はもう……」
「うん、死んだね。だからさ、もう自由になってもいいんじゃないかな?」
「自由?」
アースが椅子から立ち上がり眼下に広がる街を見ながら団長に言った。
「俺がこれから何をしたいか問い掛けたのはさ、これからこの地で何をしたいかって意味だったんだよ」
「この地で……ですか?」
「そう。君たちは助かった。ここに残るも、帰るも自由なんだよ。その上で、君が何をしたいか尋ねたんだ。今の君の話を聞いていると中央大陸とやらに行く、そう聞こえたんだけど。ここに残る気はないの?」
団長は拳を握り締める。
「私達だけこんな良い暮らしをしていても良いのでしょうか……。ゴッデス大陸に残されたグラディス帝国民はどんな扱いを受けているかもわからず、中央大陸の情勢もわからない。それが解決しない内はどこか心あらずと言うか……」
「ふむふむ。ゴッデス大陸に残された民が心配だと?」
「はい」
アースは再び椅子に座りなおし、団長に言った。
「わかった。なら俺がゴッデス大陸まで行ってグラディス帝国の民がどんな暮らしを送っているか確かめてくるとしようか」
「……えっ!?」
団長は驚きアースの机に近付いた。
「き、危険ですっ! 私達のいなくなったゴッデス大陸をどの国が侵略したかもわからないのに!」
「……なら、兄さんたちにもついて来てもらう。さすがに竜が四体も揃えば危険な事なんて何一つないでしょ」
「それではこの大陸の守りが……」
「大丈夫だよ。例え船で来たとしても待っているのは君たちと同じ未来だ。この大陸には上陸すら出来ないだろう。それと、行くのはあの戦艦を使ってだ」
「あ、あれで!?」
「ああ。あれなら大勢人が乗れるしね。そうだ、なら君も一緒に行くかい? 自分の目で見た方が早いでしょ?」
「私が……。は、はいっ! ぜひとも!」
「オーケー。じゃあ兄さんたちを呼ぶとしよう」
アースは火竜たちを自分の部屋へと集めた。
「どしたよ、アース?」
「うん、ちょっと今のゴッデス大陸がどうなっているか気になる人がいてね。俺もゴッデス大陸は気になっていたし一度確認しに行こうと思ってさ」
「ゴッデス大陸~? あんなとこまで行くの? めんど~い!」
「うんうん、人間がどうなろうと知った事じゃないよ~」
アースは水竜と風竜に言った。
「俺の戦艦で行くからそんなに時間はかからないって。なんなら道中は酒が飲み放題だし、スイーツパーティーを開いても良い。なんなら甲板でバーベキューでもしながら行く?」
「「「今すぐ行くぞ!」」」
何故か火竜まで行く気満々になっていた。
「よし、決まりだな。これはこの世界の人間かどうなのか知る良い機会になるだろう。もし……あまりに救いようがなかったら……。悪いけど人間には滅びてもらおうか」
「あまり人間に期待しない方が良いわよ? およそ半分以上は多分クズだから。そこの団長みたいなのは稀なのよ」
「だね~。特に貴族なんかはゴミの集まりだよ。自分じゃ何にも出来ない癖に人を使って自分の手柄にしちゃうしさ~。ホンットバカ」
「はははは……」
団長も風竜のセリフを否定出来なかった。確かに立場が上になるほど保守的になると言うか、自分の得た地位に必死にしがみつこうと汚い手も平気で使うようになる。そうならないのは本当に力を持っている者か、国を心から愛し、平和を望む者だけだ。
「じゃあ出発は明日にしようか。明日の昼にまたここに集合にしよう」
「アースはどうすんだ?」
「ちょっとダンジョンに行って酒とか肉、あとスイーツの材料とか集めに行ってくるよ」
「……よし、俺もそれを手伝おう!」
「え?」
「あ、じゃあ私も行くわ」
「えぇ!?」
「なら僕も~。そう言えばアースがどれくらいヤるかちゃんと見てないしね。さあ、レッツゴー!」
「えぇぇぇぇ!?」
ちょっと食材集めに行くつもりが、竜四体によるダンジョンの魔物殲滅ツアーへと変わるのであった。
「私が何をしたいか……か」
私は異例の若さで陛下を守護する白騎士団の団長となった。では何故騎士になろうと思ったか。それはひとえに陛下を守れば多くの民が幸せになれると思ったがゆえ。
「……だが結果は……」
陛下についていけば多くの民が救われると思っていた。だが陛下は変わられた。弟君を殺害された事を機に復讐に囚われてしまわれた。その結果が国の滅亡だ。今頃ゴッデス大陸にいた民はどこからかの国から侵略され、酷い扱いを受けているに違いない。それだけの事をグラディス帝国はやってきた。時には無理矢理領地を奪った事もある。中央大陸にはグラディス帝国を良く思っていなかった国も多いだろう。
「……恨まれても仕方ない事をしていたんだ、私たちは……」
そこで私は考える。
「何がしたいかと言われれば……、そうだな、贖罪か。私自身が手を下した事はないが、他の騎士団、特に暗殺や謀略を得意としていた黒騎士団は沢山の後ろ暗い行動をとっていた。だがその黒騎士団ももうない。ならばどうするか……。私が贖罪していくしかないだろうな」
例え自分がやってはいなくても同じ国の同じ騎士がしてきた事だ。無関係を装い、はい、知りませんでは通らない。グラディス帝国に恨みを持つ者たちに謝罪する事こそ、これから自分がしていかなければいけない事だと団長は考え、翌日アースにそれを告げに向かった。
「それは違うでしょ」
「え?」
アースは団長の考えを頭から否定した。
「確かに言いたい事はわかるし、覚悟もわかる。けどさ、それをしなければならないのは皇帝であって君じゃない」
「し、しかし陛下はもう……」
「うん、死んだね。だからさ、もう自由になってもいいんじゃないかな?」
「自由?」
アースが椅子から立ち上がり眼下に広がる街を見ながら団長に言った。
「俺がこれから何をしたいか問い掛けたのはさ、これからこの地で何をしたいかって意味だったんだよ」
「この地で……ですか?」
「そう。君たちは助かった。ここに残るも、帰るも自由なんだよ。その上で、君が何をしたいか尋ねたんだ。今の君の話を聞いていると中央大陸とやらに行く、そう聞こえたんだけど。ここに残る気はないの?」
団長は拳を握り締める。
「私達だけこんな良い暮らしをしていても良いのでしょうか……。ゴッデス大陸に残されたグラディス帝国民はどんな扱いを受けているかもわからず、中央大陸の情勢もわからない。それが解決しない内はどこか心あらずと言うか……」
「ふむふむ。ゴッデス大陸に残された民が心配だと?」
「はい」
アースは再び椅子に座りなおし、団長に言った。
「わかった。なら俺がゴッデス大陸まで行ってグラディス帝国の民がどんな暮らしを送っているか確かめてくるとしようか」
「……えっ!?」
団長は驚きアースの机に近付いた。
「き、危険ですっ! 私達のいなくなったゴッデス大陸をどの国が侵略したかもわからないのに!」
「……なら、兄さんたちにもついて来てもらう。さすがに竜が四体も揃えば危険な事なんて何一つないでしょ」
「それではこの大陸の守りが……」
「大丈夫だよ。例え船で来たとしても待っているのは君たちと同じ未来だ。この大陸には上陸すら出来ないだろう。それと、行くのはあの戦艦を使ってだ」
「あ、あれで!?」
「ああ。あれなら大勢人が乗れるしね。そうだ、なら君も一緒に行くかい? 自分の目で見た方が早いでしょ?」
「私が……。は、はいっ! ぜひとも!」
「オーケー。じゃあ兄さんたちを呼ぶとしよう」
アースは火竜たちを自分の部屋へと集めた。
「どしたよ、アース?」
「うん、ちょっと今のゴッデス大陸がどうなっているか気になる人がいてね。俺もゴッデス大陸は気になっていたし一度確認しに行こうと思ってさ」
「ゴッデス大陸~? あんなとこまで行くの? めんど~い!」
「うんうん、人間がどうなろうと知った事じゃないよ~」
アースは水竜と風竜に言った。
「俺の戦艦で行くからそんなに時間はかからないって。なんなら道中は酒が飲み放題だし、スイーツパーティーを開いても良い。なんなら甲板でバーベキューでもしながら行く?」
「「「今すぐ行くぞ!」」」
何故か火竜まで行く気満々になっていた。
「よし、決まりだな。これはこの世界の人間かどうなのか知る良い機会になるだろう。もし……あまりに救いようがなかったら……。悪いけど人間には滅びてもらおうか」
「あまり人間に期待しない方が良いわよ? およそ半分以上は多分クズだから。そこの団長みたいなのは稀なのよ」
「だね~。特に貴族なんかはゴミの集まりだよ。自分じゃ何にも出来ない癖に人を使って自分の手柄にしちゃうしさ~。ホンットバカ」
「はははは……」
団長も風竜のセリフを否定出来なかった。確かに立場が上になるほど保守的になると言うか、自分の得た地位に必死にしがみつこうと汚い手も平気で使うようになる。そうならないのは本当に力を持っている者か、国を心から愛し、平和を望む者だけだ。
「じゃあ出発は明日にしようか。明日の昼にまたここに集合にしよう」
「アースはどうすんだ?」
「ちょっとダンジョンに行って酒とか肉、あとスイーツの材料とか集めに行ってくるよ」
「……よし、俺もそれを手伝おう!」
「え?」
「あ、じゃあ私も行くわ」
「えぇ!?」
「なら僕も~。そう言えばアースがどれくらいヤるかちゃんと見てないしね。さあ、レッツゴー!」
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ちょっと食材集めに行くつもりが、竜四体によるダンジョンの魔物殲滅ツアーへと変わるのであった。
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