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第3章 打倒、聖フランチェスカ教国編
09 虫けら
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停泊していた船は全て破壊され、各大陸に繋がる転移魔法陣も消え去った。
「アーレスちゃん?」
「ん?」
「これ、私達どうやって帰るの?」
「もちろん転移でだが?」
「え? 今破壊しちゃったじゃない」
するとアーレスは余裕の笑みを浮かべこう告げた。
「あのなぁ、何の策もなく帰る手段を破壊するほどバカじゃないぞ。まあ、俺のは転移魔法陣じゃなく転移ゲートだけどな」
「転移……ゲート?」
「ああ。魔王アリアの部屋にいた精霊から時空魔法を取得している。俺の転移ゲートは一度訪れた事がある場所ならどこでも転移できる魔法なんだよ」
「ははは……。もう何でもありみたいね~……」
「このくらいできなきゃ世界を正せないからな。さて、話はここまでだ。新しい敵のお出ましだ」
先ほどの伝令を受けた部隊だろうか、重装備で馬に乗った騎士が大挙してやってきた。
「いたぞ! 侵入者は二人組だ! あれに違いないっ!」
「ふざけた奴らだ! どこに侵入したかたっぷり教えてやるぜぇぇぇぇっ!」
アーレスは向かってくる大群を憐れみポツリと呟いた。
「おーおー……何人いるんだあれ。今から死ぬというのに」
「アーレスちゃん、ここ私に殺らせて!」
「え?」
珍しくヘラがやる気になっている。
「あの中に私を辱しめた奴らが混じってるの!」
「……ほう」
アーレスの雰囲気が憐れみから怒りに変わる。
「俺が殺ろうか? 自分から死を口にするまで追い込んでやるが」
「ううん、私が殺る! 安心して、私にはヘル様がついてるから」
「……わかった。じゃああれは母さんに任せよう」
「ありがとう、アーレスちゃん」
ヘラはアーレスの前に立ち向かってくる軍勢を待ち構える。すると軍勢の中にいた誰かが二人を鑑定したようで、先頭の男に伝令がなされた。
「なに? あの女は聖女だと?」
「はっ!」
「しかし……前の聖女は逃げたばかり……。まさか自害して新しい聖女になったか? まあ良い。前の聖女は良い具合だったからなぁ~……。旦那は可哀想だったがな、はははははっ!」
そして騎士の大群が二人から少し離れた場所で止まった。
「貴様ら! ここが聖フランチェスカ教国と知っての狼藉か! 知らぬ場合は男は処刑! 女は奴隷にする! 知っていて暴れた場合は……女は男の見てる前まで我らの相手でもしてもらおうか? 死ぬまでな」
「「「「ひゃははははははっ」」」」
アーレスは不快感しか抱かなかった。そしてヘラは珍しく冷静に杖を構えている。
「お前は聖女らしいな。前の聖女は散々俺達にヤられて喜んでたがなぁ~? お前も同じく股を開いてみるか? そしたらそこの男は見逃してやるぞ?」
「……口を閉じな。あんた、息が臭いわよ」
「は?」
ヘラの雰囲気が代わり、ヘルが出てきた。
「私の身体はあんたらの粗末なモノじゃ満足しないわ。身の程を弁えなさい」
「そ、粗末なモノだと!? 舐めてんのか女ぁっ!」
「舐める? バカなの? 猿が人間のフリして喋らないでくれる? 【呪殺】」
「がっ──!?」
「え?」
突如先頭にいた男が糸の切れた人形のように馬から落下し、地べたに這いつくばったまま動かなくなった。
「お、おい落馬なんてどうし──し、死んでる!?」
「「「「なっ!?」」」」
馬から落ちた騎士を助け起こそうとした騎士は既に息をしていない騎士を見て尻餅をついて驚きの声をあげた。
「おいっ、死んでるってなんだ!?」
「わ、わからないっ! こいつもう息してないんだよっ!」
「くっ! 女ぁぁぁぁっ! 貴様何をしたっ!」
ヘルは畏れを含んだ視線を向けられ嗤った。
「アハハハハハッ! 【呪炎】!」
「「「「お──おわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」」
「なっ、火魔法かっ!? 【ウォーターボール】!」
燃え盛る仲間に向かい水魔法を放つ。だが水は黒い炎に吸い込まれただけで火力は全く落ちない。
「な、なぜ消えないっ! なんだこの黒い炎はっ!?」
「くそぉっ! 【ウォーターボール】! 【ウォーターボール】!!」
どれだけ水魔法をかけようが黒い炎は消えず、全てを焼き付くしようやく消えた。
「それは呪いの炎。水魔法なんかで消えるわけないじゃない。やっぱりバカねぇ~」
「なっ!? の、呪いの炎!?」
「さあ、どんどんいくわよ? 【呪蟲】」
「「「「う、うわぁぁぁぁぁっ!? む、むむむむむ虫ぃぃぃぃぃぃぃっ!?」」」」
騎士の足下に無数の蟲が湧きだし、鎧の隙間から内側へと入り込む。
「ぎぃぃぃっ!? いてぇぇぇっ!? 喰われ──喰われてるっ!!」
「や、やめ──中に入ってくるなぁぁぁぁぁぁっ!!」
「う、うわぁぁぁぁっ!? め、目から多足蟲がぁぁぁ……っ! げぼっ……」
「うわぁぁぁぁっ! あいつ口から虫吐きやがった!」
駆け付けた騎士達は大量の蟲に喰われ、刺され、宿主にされ、苦しみもがきながら絶命していく。
「アハハハハハッ! 虫けらに相応しい死に方じゃない。……地へ還れ」
そう呟き指をパチンと鳴らすと地面を這っていた虫は何事も無かったように消え去り、地面には騎士がいた証だけがただ静かに残っていた。
「終わったわよ、アーレス」
「さすがヘルだ。俺が出るまでもなかったな。セリフもバッチリだった。見ていて興奮したよ」
「あらぁ~? あらあら~? じゃあ早速御褒美タイムかしら~?」
「ああ。あまり時間はないがあの倉庫で……な?」
「やは~んっ、いく逝く~」
それから興奮を冷まし、ヘルをヘラに戻す。
「アーレスちゃ~ん、また私の身体使った?」
「ヘルが大活躍でな。何があったか教えてやるよ」
アーレスはヘラに自分を陵辱した奴らの最後がどうなったか教えてやった。
「うわぁ……気持ち悪~い……」
「そうか? 相応しい死に方じゃないか。あんな殺り方を思い付くとはさすが神だなと感心したくらいだ」
「絶対自分じゃくらいたくないわぁ~……。でも……ちょっとだけスッキリしたかもっ」
「ははっ。さて、後続はないようだし……そろそろ塔に向かおうか。一番近い塔は?」
ヘラは記憶を頼りに塔のある方向を指差した。
「一番近いのは南の塔。通称【朱雀の塔】ね」
「朱雀か。じゃあそこから破壊していこうか」
「はぁ~いっ」
こうして騎士を全滅させた二人は一番近い塔である朱雀の塔を目指すのだった。
「アーレスちゃん?」
「ん?」
「これ、私達どうやって帰るの?」
「もちろん転移でだが?」
「え? 今破壊しちゃったじゃない」
するとアーレスは余裕の笑みを浮かべこう告げた。
「あのなぁ、何の策もなく帰る手段を破壊するほどバカじゃないぞ。まあ、俺のは転移魔法陣じゃなく転移ゲートだけどな」
「転移……ゲート?」
「ああ。魔王アリアの部屋にいた精霊から時空魔法を取得している。俺の転移ゲートは一度訪れた事がある場所ならどこでも転移できる魔法なんだよ」
「ははは……。もう何でもありみたいね~……」
「このくらいできなきゃ世界を正せないからな。さて、話はここまでだ。新しい敵のお出ましだ」
先ほどの伝令を受けた部隊だろうか、重装備で馬に乗った騎士が大挙してやってきた。
「いたぞ! 侵入者は二人組だ! あれに違いないっ!」
「ふざけた奴らだ! どこに侵入したかたっぷり教えてやるぜぇぇぇぇっ!」
アーレスは向かってくる大群を憐れみポツリと呟いた。
「おーおー……何人いるんだあれ。今から死ぬというのに」
「アーレスちゃん、ここ私に殺らせて!」
「え?」
珍しくヘラがやる気になっている。
「あの中に私を辱しめた奴らが混じってるの!」
「……ほう」
アーレスの雰囲気が憐れみから怒りに変わる。
「俺が殺ろうか? 自分から死を口にするまで追い込んでやるが」
「ううん、私が殺る! 安心して、私にはヘル様がついてるから」
「……わかった。じゃああれは母さんに任せよう」
「ありがとう、アーレスちゃん」
ヘラはアーレスの前に立ち向かってくる軍勢を待ち構える。すると軍勢の中にいた誰かが二人を鑑定したようで、先頭の男に伝令がなされた。
「なに? あの女は聖女だと?」
「はっ!」
「しかし……前の聖女は逃げたばかり……。まさか自害して新しい聖女になったか? まあ良い。前の聖女は良い具合だったからなぁ~……。旦那は可哀想だったがな、はははははっ!」
そして騎士の大群が二人から少し離れた場所で止まった。
「貴様ら! ここが聖フランチェスカ教国と知っての狼藉か! 知らぬ場合は男は処刑! 女は奴隷にする! 知っていて暴れた場合は……女は男の見てる前まで我らの相手でもしてもらおうか? 死ぬまでな」
「「「「ひゃははははははっ」」」」
アーレスは不快感しか抱かなかった。そしてヘラは珍しく冷静に杖を構えている。
「お前は聖女らしいな。前の聖女は散々俺達にヤられて喜んでたがなぁ~? お前も同じく股を開いてみるか? そしたらそこの男は見逃してやるぞ?」
「……口を閉じな。あんた、息が臭いわよ」
「は?」
ヘラの雰囲気が代わり、ヘルが出てきた。
「私の身体はあんたらの粗末なモノじゃ満足しないわ。身の程を弁えなさい」
「そ、粗末なモノだと!? 舐めてんのか女ぁっ!」
「舐める? バカなの? 猿が人間のフリして喋らないでくれる? 【呪殺】」
「がっ──!?」
「え?」
突如先頭にいた男が糸の切れた人形のように馬から落下し、地べたに這いつくばったまま動かなくなった。
「お、おい落馬なんてどうし──し、死んでる!?」
「「「「なっ!?」」」」
馬から落ちた騎士を助け起こそうとした騎士は既に息をしていない騎士を見て尻餅をついて驚きの声をあげた。
「おいっ、死んでるってなんだ!?」
「わ、わからないっ! こいつもう息してないんだよっ!」
「くっ! 女ぁぁぁぁっ! 貴様何をしたっ!」
ヘルは畏れを含んだ視線を向けられ嗤った。
「アハハハハハッ! 【呪炎】!」
「「「「お──おわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」」
「なっ、火魔法かっ!? 【ウォーターボール】!」
燃え盛る仲間に向かい水魔法を放つ。だが水は黒い炎に吸い込まれただけで火力は全く落ちない。
「な、なぜ消えないっ! なんだこの黒い炎はっ!?」
「くそぉっ! 【ウォーターボール】! 【ウォーターボール】!!」
どれだけ水魔法をかけようが黒い炎は消えず、全てを焼き付くしようやく消えた。
「それは呪いの炎。水魔法なんかで消えるわけないじゃない。やっぱりバカねぇ~」
「なっ!? の、呪いの炎!?」
「さあ、どんどんいくわよ? 【呪蟲】」
「「「「う、うわぁぁぁぁぁっ!? む、むむむむむ虫ぃぃぃぃぃぃぃっ!?」」」」
騎士の足下に無数の蟲が湧きだし、鎧の隙間から内側へと入り込む。
「ぎぃぃぃっ!? いてぇぇぇっ!? 喰われ──喰われてるっ!!」
「や、やめ──中に入ってくるなぁぁぁぁぁぁっ!!」
「う、うわぁぁぁぁっ!? め、目から多足蟲がぁぁぁ……っ! げぼっ……」
「うわぁぁぁぁっ! あいつ口から虫吐きやがった!」
駆け付けた騎士達は大量の蟲に喰われ、刺され、宿主にされ、苦しみもがきながら絶命していく。
「アハハハハハッ! 虫けらに相応しい死に方じゃない。……地へ還れ」
そう呟き指をパチンと鳴らすと地面を這っていた虫は何事も無かったように消え去り、地面には騎士がいた証だけがただ静かに残っていた。
「終わったわよ、アーレス」
「さすがヘルだ。俺が出るまでもなかったな。セリフもバッチリだった。見ていて興奮したよ」
「あらぁ~? あらあら~? じゃあ早速御褒美タイムかしら~?」
「ああ。あまり時間はないがあの倉庫で……な?」
「やは~んっ、いく逝く~」
それから興奮を冷まし、ヘルをヘラに戻す。
「アーレスちゃ~ん、また私の身体使った?」
「ヘルが大活躍でな。何があったか教えてやるよ」
アーレスはヘラに自分を陵辱した奴らの最後がどうなったか教えてやった。
「うわぁ……気持ち悪~い……」
「そうか? 相応しい死に方じゃないか。あんな殺り方を思い付くとはさすが神だなと感心したくらいだ」
「絶対自分じゃくらいたくないわぁ~……。でも……ちょっとだけスッキリしたかもっ」
「ははっ。さて、後続はないようだし……そろそろ塔に向かおうか。一番近い塔は?」
ヘラは記憶を頼りに塔のある方向を指差した。
「一番近いのは南の塔。通称【朱雀の塔】ね」
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