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第3章 打倒、聖フランチェスカ教国編
15 さあ行こうか
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アーレスは青龍の帰りを待つ間、騎士に汚され自らがトドメを刺したウィンディの身体を回復させていた。
「こ、これどうなってるの!? 回復魔法!?」
「違う。これは時の精霊から学んだ逆行魔法だ」
「逆行……魔法。あ、あなたはいったい何者なの?」
「俺は魔王国バハートス国王アーレス。職業は精霊使いだ」
「精霊……使い? そんな職業聞いたこともないよ」
「だろうな。他の精霊やら神を冠した職業を持つ奴らは大神殿に連行されたが、俺は何故か追放だけで終わった。多分男だったからだろうと踏んでいるが」
そこでヘラが口を開く。
「いえ、男性も連行されてましたよ? 魔導神やら鍛治神、剣神もいました。しかし……彼らは教皇の前で教皇親衛騎士隊に殺されました」
「教皇親衛騎士隊?」
「はい」
ヘラは当時汚されながら耳にした話を口にする。
「教皇親衛騎士隊は教皇に従う道を選択し、処刑を免れた者達です。隊員は四名。闘神【ヴェルティゴ】、武神【アンバー】、賢神【アニエス】、そして隊長を務める勇者【マドカ】──」
「勇者? 勇者が教皇を守ってんの?」
「はい。しかも勇者マドカは異なる世界から召喚されし者とか……。おそらく召喚された所で洗脳、もしくは都合の良いように教育されたのかと。まだ十代の女の子らしいですから」
「……勇者か。これはまた骨が折れそうだ」
ここで話は戻る。
「なら何で俺だけ追放で済んだんだろうな。精霊使いなんて教国にとったら何よりも危険な存在だと思うんだけどな」
それに朱雀が反応する。
「多分知らなかったんじゃないかな?」
「知らなかった?」
「うん。精霊を冠した職業がそんなに強いなんてね。精霊視なんて精霊の姿を見るだけだし、精霊対話士なんて話せるだけだし?」
「……そうか! 他の職業と違い軽視されてたって事か!」
「多分ね~。でも女だったら連行されてたと思うよ」
「……俺、男で良かったわ」
聖フランチェスカ教国は精霊使いを軽視していた。そもそも精霊を冠する職業で確かな実力を持ち、戦える域にまで到達できる職業は少ない。魔王アリアの精霊召喚士やアーレスの精霊使い以外はまともに敵と戦えない職業だ。これが理由で教国はそれほど気にはしていなかった。それでも精霊神を教義としているため、怒りはする。ただしこれは完全なポーズだ。心の底では興味すら抱いていない。
アーレスはウィンディの治療を終え尋ねた。
「よし、これで終了だ。ウィンディ、どこかおかしな所はないか?」
「……あるよ! ありまくりだよ!!」
「はあ?」
ウィンディは真っ直ぐ立ち両腕に開いた。
「どこまで戻してるのよ! 見てよこれ! 完っ全に子供じゃない!」
「はぁ? そんなに変わってないじゃないか」
ウィンディの身体を汚される前まで戻した結果、その姿は幼女まで戻ってしまっていた。
「変わってるわよ! これ……私が十歳くらいの身体! 後ちょっとで大人になれるとこだったのに!」
「あ~はいはい、わかったわかった。【グロウアップ】え~っと……十年」
「にゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
アーレスはウィンディに土の精霊から学んだ成長魔法を施した。通常は作物の成長などに用いられる魔法だが、遺伝子は遺伝子なので当然人にも作用する。これでウィンディは綺麗な身体のまま、二十歳くらいまで一気に成長を遂げた。
「か、身体が……痛いぃぃぃ……っ」
「成長痛だな。ヘラ、ちょっとウィンディに職業を与えて見てもらえるか?」
「はい?」
「いや、さっき十歳くらいって言ってただろ? 十年進めたから今の身体は二十歳だ。二十歳と言ったら?」
「あ! 職業!」
「これで職業を得られたらウィンディも戦力になる。職業次第だがな」
「わ、わかりました。では……」
ヘラは聖女だ。神官や司祭にできて聖女にできないことはない。ヘラは神に祈り、ウィンディに職業を授けた。
「ウィンディ、痛みで転がってるところで難だが、お前に職業が付いたか調べるぞ」
「職業~……?」
ヘラはウィンディを調べ、大きく目を見開いた。
「す、凄い! 凄いですよウィンディ!」
「な、なにが……?」
「ウィンディ、あなたの職業は【魔導神】でした!」
「ほう、魔導神か。付いたな、職業」
「ま、魔導神って……なにぃぃぃ……っ。痛い痛い痛ぁぁぁぁぁぁい!」
その時だった。大神殿の中から三つ影が飛び出してきた。
「なんだあれ? 後ろは……青龍か!」
「あ、白虎じゃん? 何で白虎が??」
三つの影はアーレス達の前で止まる。
「アーレス様、姫は……」
「これだ」
「せ、青龍~……痛いのぉ……っ」
「なっ!? 成長している!? な、なにがどうなって──」
そこで玄武は変化を解除し、元の姿に戻った。
「あれ? 白虎じゃなくて玄武じゃん! なにしてんの玄武!」
「朱雀か。久しいな。火鳥族の事は残念じゃったな……」
「え? なにが?」
「見ておらんのか? あそこに磔……ん? 磔台がない? なにが……」
朱雀は玄武に何があったか全て話した。
「魔王軍!? 魔王軍がどうやってこの地に!」
「リンカーネット聖王国にあった転移魔法陣だ。俺達はそから転移してきたのさ」
「お主は……」
「俺は魔王国バハートス国王アーレスだ。あんたは玄武だな。そして……」
アーレスは青龍の背にいる少女を見る。
「青龍、まさかそいつが……」
「はい。結界の要である黄龍です」
「そうか! よくやってくれた! これで結界も解除できるな」
「そ、その前にです! 姫にいったい何があったか説明を」
「ああ、実はな……」
アーレスは青龍に全て語り、ウィンディが職業を手にした事も伝わった。
「姫が魔導神ですと!? ああ、姫!」
「い、痛いから動かさないでぇぇぇぇ……」
ウィンディは成長痛に悶え苦しむのだった。
「こ、これどうなってるの!? 回復魔法!?」
「違う。これは時の精霊から学んだ逆行魔法だ」
「逆行……魔法。あ、あなたはいったい何者なの?」
「俺は魔王国バハートス国王アーレス。職業は精霊使いだ」
「精霊……使い? そんな職業聞いたこともないよ」
「だろうな。他の精霊やら神を冠した職業を持つ奴らは大神殿に連行されたが、俺は何故か追放だけで終わった。多分男だったからだろうと踏んでいるが」
そこでヘラが口を開く。
「いえ、男性も連行されてましたよ? 魔導神やら鍛治神、剣神もいました。しかし……彼らは教皇の前で教皇親衛騎士隊に殺されました」
「教皇親衛騎士隊?」
「はい」
ヘラは当時汚されながら耳にした話を口にする。
「教皇親衛騎士隊は教皇に従う道を選択し、処刑を免れた者達です。隊員は四名。闘神【ヴェルティゴ】、武神【アンバー】、賢神【アニエス】、そして隊長を務める勇者【マドカ】──」
「勇者? 勇者が教皇を守ってんの?」
「はい。しかも勇者マドカは異なる世界から召喚されし者とか……。おそらく召喚された所で洗脳、もしくは都合の良いように教育されたのかと。まだ十代の女の子らしいですから」
「……勇者か。これはまた骨が折れそうだ」
ここで話は戻る。
「なら何で俺だけ追放で済んだんだろうな。精霊使いなんて教国にとったら何よりも危険な存在だと思うんだけどな」
それに朱雀が反応する。
「多分知らなかったんじゃないかな?」
「知らなかった?」
「うん。精霊を冠した職業がそんなに強いなんてね。精霊視なんて精霊の姿を見るだけだし、精霊対話士なんて話せるだけだし?」
「……そうか! 他の職業と違い軽視されてたって事か!」
「多分ね~。でも女だったら連行されてたと思うよ」
「……俺、男で良かったわ」
聖フランチェスカ教国は精霊使いを軽視していた。そもそも精霊を冠する職業で確かな実力を持ち、戦える域にまで到達できる職業は少ない。魔王アリアの精霊召喚士やアーレスの精霊使い以外はまともに敵と戦えない職業だ。これが理由で教国はそれほど気にはしていなかった。それでも精霊神を教義としているため、怒りはする。ただしこれは完全なポーズだ。心の底では興味すら抱いていない。
アーレスはウィンディの治療を終え尋ねた。
「よし、これで終了だ。ウィンディ、どこかおかしな所はないか?」
「……あるよ! ありまくりだよ!!」
「はあ?」
ウィンディは真っ直ぐ立ち両腕に開いた。
「どこまで戻してるのよ! 見てよこれ! 完っ全に子供じゃない!」
「はぁ? そんなに変わってないじゃないか」
ウィンディの身体を汚される前まで戻した結果、その姿は幼女まで戻ってしまっていた。
「変わってるわよ! これ……私が十歳くらいの身体! 後ちょっとで大人になれるとこだったのに!」
「あ~はいはい、わかったわかった。【グロウアップ】え~っと……十年」
「にゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
アーレスはウィンディに土の精霊から学んだ成長魔法を施した。通常は作物の成長などに用いられる魔法だが、遺伝子は遺伝子なので当然人にも作用する。これでウィンディは綺麗な身体のまま、二十歳くらいまで一気に成長を遂げた。
「か、身体が……痛いぃぃぃ……っ」
「成長痛だな。ヘラ、ちょっとウィンディに職業を与えて見てもらえるか?」
「はい?」
「いや、さっき十歳くらいって言ってただろ? 十年進めたから今の身体は二十歳だ。二十歳と言ったら?」
「あ! 職業!」
「これで職業を得られたらウィンディも戦力になる。職業次第だがな」
「わ、わかりました。では……」
ヘラは聖女だ。神官や司祭にできて聖女にできないことはない。ヘラは神に祈り、ウィンディに職業を授けた。
「ウィンディ、痛みで転がってるところで難だが、お前に職業が付いたか調べるぞ」
「職業~……?」
ヘラはウィンディを調べ、大きく目を見開いた。
「す、凄い! 凄いですよウィンディ!」
「な、なにが……?」
「ウィンディ、あなたの職業は【魔導神】でした!」
「ほう、魔導神か。付いたな、職業」
「ま、魔導神って……なにぃぃぃ……っ。痛い痛い痛ぁぁぁぁぁぁい!」
その時だった。大神殿の中から三つ影が飛び出してきた。
「なんだあれ? 後ろは……青龍か!」
「あ、白虎じゃん? 何で白虎が??」
三つの影はアーレス達の前で止まる。
「アーレス様、姫は……」
「これだ」
「せ、青龍~……痛いのぉ……っ」
「なっ!? 成長している!? な、なにがどうなって──」
そこで玄武は変化を解除し、元の姿に戻った。
「あれ? 白虎じゃなくて玄武じゃん! なにしてんの玄武!」
「朱雀か。久しいな。火鳥族の事は残念じゃったな……」
「え? なにが?」
「見ておらんのか? あそこに磔……ん? 磔台がない? なにが……」
朱雀は玄武に何があったか全て話した。
「魔王軍!? 魔王軍がどうやってこの地に!」
「リンカーネット聖王国にあった転移魔法陣だ。俺達はそから転移してきたのさ」
「お主は……」
「俺は魔王国バハートス国王アーレスだ。あんたは玄武だな。そして……」
アーレスは青龍の背にいる少女を見る。
「青龍、まさかそいつが……」
「はい。結界の要である黄龍です」
「そうか! よくやってくれた! これで結界も解除できるな」
「そ、その前にです! 姫にいったい何があったか説明を」
「ああ、実はな……」
アーレスは青龍に全て語り、ウィンディが職業を手にした事も伝わった。
「姫が魔導神ですと!? ああ、姫!」
「い、痛いから動かさないでぇぇぇぇ……」
ウィンディは成長痛に悶え苦しむのだった。
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