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第1章 はじまり
第09話 王城侵入
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第二王子【ガレイル・マードレック】のあまりにも残虐非道な行いをこれ以上静観している事ができないと、アインは計画を変更し、アリアを待たずに解決に動いた。というのも、国王が投獄されてしまっている以上、早々に解決しないと国が滅茶苦茶になってしまうため、一刻も早い解決が必要になってしまった。もし国王、もしくは後継者である第一王子のどちらかでも健在だったならばこうまで急ぎはしなかっただろう。
「潜入成功っと」
アインは門を守る兵士の間を堂々と素通りした。もちろん普通なら発見されるところだが、ここはアインのスキル【現実改変】が力を発揮した。アインはそのスキルをもって自分の姿は誰にも覚られないと現実を歪めていた。
「ついでに今後のために細工でも施しておこうか【現実改変】」
「んあ……? そうだ! 改革派の奴らを牢屋にぶち込むんだった! こんなとこで何してたんだ俺!」
「おい、俺も手伝うぜ! 今なら改革派の奴らは酔っぱらって寝てるはずだ!」
「穏健派の俺達にばかり見回りさせやがって! 行くぜ!」
「おう!」
それを聞いたアインは見回りをしていた騎士達を次々と改変していき、城内を混乱させていった。
「さあ出てこいよガレイル・マードレック。自分の部下が牢屋にぶち込まれていったらさすがに出てくるだろう」
しかしいくら待ってもガレイルは一向に姿を見せなかった。
「いやいや、待てよ。まさかこんな騒ぎになっているにも関わらず熟睡しているのか? なんて図太い性格してんだ……」
アインは呆れ果てながら慌ただしく駆ける騎士にスキルを使い自分を穏健派の騎士と認識させる。
「なぁ、ガレイルの部屋ってどこだっけ? あいつも牢屋に入れちまおうぜ」
「お、おおおおお前勇気あるな! ガレイル……様は王の寝室だろ? 自分の兄を殺し、父親は処刑するために牢屋に入れるような奴に近付こうだなんて……」
「王の寝室な。ありがとよ。ガレイルは俺に任せな。他の奴らはお前らに任せるよ。一人も逃がさないでくれよ?」
「ああっ! 俺ら穏健派も相当頭にきてっからな! 俺らのアイドルだったアリアさんに滅茶苦茶しやがって……! あの鬼畜野郎だけは絶対許せねぇよなっ!」
「……そうだな。この夜で改革派をぶっ潰してやろうぜ!」
「おうっ!」
穏健派の騎士はやる気に満ち溢れた様子で階段を下りて行った。
「どうやら穏健派は良い奴らのようだな。問題があったのはガレイルと改革派の連中だけか。さてと、大元締めを捕まえに行くか」
ガレイルの居場所を知ったアインは真っ直ぐ最上階へと向かい、目的の場所に立った。王の寝室に繋がる扉の前にはガレイルの腹心二人が扉を守るように立っていた。
「止まれ。ここはガレイル様の寝室だ。穏健派のクズが近寄っていい場所ではない」
「クズ? ははは、クズの見本みたいなお前らに言われたくないね」
「「なんだとっ!!」」
馬鹿にされた二人は怒り狂い腰に下げていた光物を抜いた。
「穏健派のクソ雑魚がっ! 改革派筆頭騎士の俺に舐めた口ききやがって! その首斬り落としてやらぁっ!」
「ふん、スキル【現実改変】」
「「あ—―」」
騎士二人の手から剣がこぼれ落ち、突然四つん這いになった。
「ばぶぅ……」
「ほぎゃぁっ、ほぎゃぁっ!」
「ああ、やっと知能レベルに合った態度になったじゃないか。いくら強かろうが頭の中身を赤ん坊まで戻されたら終わりだな。ほら、そのまま牢屋までハイハイでもして行け」
「「バブバブゥッ!」」
アインのスキルは本当に便利だった。戦わずして勝つ。無駄な体力を消費しないこのスキルは万能だった。
「っと、そろそろ魔力が厳しいか。今日は使えてあと一回か二回だな。早くレベルをどうにかしないと」
この十八年で魔力を増やす修行はしたが、それは村の外に出られなかったからだ。動けるようになったら村の外で魔物を狩りレベルアップをしようと計画していたが、父に村の外に出る事を禁じられ、レベルアップにおける恩恵を受けられていなかった。それでも生前の身体より魔力が十倍あるのだからアインの修行は絶え間なく続けられていたのだと想像できる。
「さて、そろそろ親玉の顔でも見てみますか」
アインはそっと扉を開き寝室に入った。そして真っ直ぐベッドに向かい、この騒ぎの中でもぐっすり寝ているガレイルの姿を拝んだ。
「な、なんて醜い……」
ガレイルは醜く肥え太り、顔はイボガエルのようだった。心の醜さは顔に現れるという言葉を体現しているような様相にアインは呆れて言葉も出なかった。
「こんなのが次の王とか笑えない冗談だな。さっさと牢屋に運んでおくか。【現実改変】」
「グガァァァ……フガッ!? な、なんだぁ!?」
アインはスキルを使った後、ガレイルに水を掛け起こした。
「な、なんで俺がこんな場所で寝てんだ!? 俺の部屋は牢屋だぞっ! クソッ、酔っ払いすぎたか。こんな汚い部屋で寝るなんてどうかしてたぜ……」
ガレイルは醜く膨らんだ腹をボリボリと搔きむしりながら王の寝室を出て行った。
「ぷっ──くくくっ。俺の部屋は牢屋だぞって! はははっ、自分で改変しておいて何だが笑えるなっ」
偉そうにしていた悪人が堂々と自分の部屋を牢屋という。これは笑えずにはいられなかった。
「おっと、笑っている場合じゃないな。俺も牢屋に向かおう。確か教会の関係者は牢屋にいるんだったな。無事だと良いが……」
こうしてガレイルを自らの足で牢屋に向かわせ、改革派の騎士も相応しい場所へと送ったアインは王と教会関係者を救出するため、城の地下にある牢屋へと向かうのだった。
「潜入成功っと」
アインは門を守る兵士の間を堂々と素通りした。もちろん普通なら発見されるところだが、ここはアインのスキル【現実改変】が力を発揮した。アインはそのスキルをもって自分の姿は誰にも覚られないと現実を歪めていた。
「ついでに今後のために細工でも施しておこうか【現実改変】」
「んあ……? そうだ! 改革派の奴らを牢屋にぶち込むんだった! こんなとこで何してたんだ俺!」
「おい、俺も手伝うぜ! 今なら改革派の奴らは酔っぱらって寝てるはずだ!」
「穏健派の俺達にばかり見回りさせやがって! 行くぜ!」
「おう!」
それを聞いたアインは見回りをしていた騎士達を次々と改変していき、城内を混乱させていった。
「さあ出てこいよガレイル・マードレック。自分の部下が牢屋にぶち込まれていったらさすがに出てくるだろう」
しかしいくら待ってもガレイルは一向に姿を見せなかった。
「いやいや、待てよ。まさかこんな騒ぎになっているにも関わらず熟睡しているのか? なんて図太い性格してんだ……」
アインは呆れ果てながら慌ただしく駆ける騎士にスキルを使い自分を穏健派の騎士と認識させる。
「なぁ、ガレイルの部屋ってどこだっけ? あいつも牢屋に入れちまおうぜ」
「お、おおおおお前勇気あるな! ガレイル……様は王の寝室だろ? 自分の兄を殺し、父親は処刑するために牢屋に入れるような奴に近付こうだなんて……」
「王の寝室な。ありがとよ。ガレイルは俺に任せな。他の奴らはお前らに任せるよ。一人も逃がさないでくれよ?」
「ああっ! 俺ら穏健派も相当頭にきてっからな! 俺らのアイドルだったアリアさんに滅茶苦茶しやがって……! あの鬼畜野郎だけは絶対許せねぇよなっ!」
「……そうだな。この夜で改革派をぶっ潰してやろうぜ!」
「おうっ!」
穏健派の騎士はやる気に満ち溢れた様子で階段を下りて行った。
「どうやら穏健派は良い奴らのようだな。問題があったのはガレイルと改革派の連中だけか。さてと、大元締めを捕まえに行くか」
ガレイルの居場所を知ったアインは真っ直ぐ最上階へと向かい、目的の場所に立った。王の寝室に繋がる扉の前にはガレイルの腹心二人が扉を守るように立っていた。
「止まれ。ここはガレイル様の寝室だ。穏健派のクズが近寄っていい場所ではない」
「クズ? ははは、クズの見本みたいなお前らに言われたくないね」
「「なんだとっ!!」」
馬鹿にされた二人は怒り狂い腰に下げていた光物を抜いた。
「穏健派のクソ雑魚がっ! 改革派筆頭騎士の俺に舐めた口ききやがって! その首斬り落としてやらぁっ!」
「ふん、スキル【現実改変】」
「「あ—―」」
騎士二人の手から剣がこぼれ落ち、突然四つん這いになった。
「ばぶぅ……」
「ほぎゃぁっ、ほぎゃぁっ!」
「ああ、やっと知能レベルに合った態度になったじゃないか。いくら強かろうが頭の中身を赤ん坊まで戻されたら終わりだな。ほら、そのまま牢屋までハイハイでもして行け」
「「バブバブゥッ!」」
アインのスキルは本当に便利だった。戦わずして勝つ。無駄な体力を消費しないこのスキルは万能だった。
「っと、そろそろ魔力が厳しいか。今日は使えてあと一回か二回だな。早くレベルをどうにかしないと」
この十八年で魔力を増やす修行はしたが、それは村の外に出られなかったからだ。動けるようになったら村の外で魔物を狩りレベルアップをしようと計画していたが、父に村の外に出る事を禁じられ、レベルアップにおける恩恵を受けられていなかった。それでも生前の身体より魔力が十倍あるのだからアインの修行は絶え間なく続けられていたのだと想像できる。
「さて、そろそろ親玉の顔でも見てみますか」
アインはそっと扉を開き寝室に入った。そして真っ直ぐベッドに向かい、この騒ぎの中でもぐっすり寝ているガレイルの姿を拝んだ。
「な、なんて醜い……」
ガレイルは醜く肥え太り、顔はイボガエルのようだった。心の醜さは顔に現れるという言葉を体現しているような様相にアインは呆れて言葉も出なかった。
「こんなのが次の王とか笑えない冗談だな。さっさと牢屋に運んでおくか。【現実改変】」
「グガァァァ……フガッ!? な、なんだぁ!?」
アインはスキルを使った後、ガレイルに水を掛け起こした。
「な、なんで俺がこんな場所で寝てんだ!? 俺の部屋は牢屋だぞっ! クソッ、酔っ払いすぎたか。こんな汚い部屋で寝るなんてどうかしてたぜ……」
ガレイルは醜く膨らんだ腹をボリボリと搔きむしりながら王の寝室を出て行った。
「ぷっ──くくくっ。俺の部屋は牢屋だぞって! はははっ、自分で改変しておいて何だが笑えるなっ」
偉そうにしていた悪人が堂々と自分の部屋を牢屋という。これは笑えずにはいられなかった。
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こうしてガレイルを自らの足で牢屋に向かわせ、改革派の騎士も相応しい場所へと送ったアインは王と教会関係者を救出するため、城の地下にある牢屋へと向かうのだった。
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