転生?召喚?ー勇者(クズ)を屠る者ー

夜夢

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第2章 領地開発の章

05 隣国へ

    勇者2人を葬ったガゼルは、新たな勇者の情報を得るべく、今度こそ国境を越えようとしていた。

「今度こそ、隣国に行かねば…。勇者は殺したが、まだ居るかもしれないしな。それに、勇者召喚する様な国は何を考えているか分からんからな…。行動は慎重を期さないとな。」

 女冒険者を助けた場所から少し歩くと、山道が見えた。ガゼルは山道に入り、山を登っていく。暫く歩くと、山間に関所の様な物があったので、それに向かって歩いていく。関所の前には隣国の兵が立っていた。

「止まれ。ここより先は我がゴッサム王国の地。何用であるか。」

 ガゼルはにっこり笑い、交渉用の顔を覗かせる。

「私は冒険者です。ゴッサムの冒険者ギルドで仕事がしたくて、足を運びました。あ、これギルドカードです。」

 兵はギルドカードを受け取り、氏名とランクを確認した。

「ほう、その若さで4級とはな、勇者並みではないか。それで、ゴッサムではどんな依頼を受けるつもりなのだ?」

 兵は何が目的か確認したい様であった。ガゼルは兵が好みそうな回答を述べる。

「そうですね、どんな依頼があるかはまだ分かりませんから、出来れば討伐系かダンジョン攻略系が良いですね。」

「ほう、腕に自信があるようだな?」

「ええ、まぁ。それなりには。自国の迷宮は最下層まで攻略しましたし、新しい素材も欲しいかなぁ、なんて。ありますよね?ダンジョン。」

 ガゼルは兵から情報を抜こうとする。

「あるぞ。今は勇者達が…」

「バカ!喋りすぎだ!すまんな、思い違いをしたらしい。今のは忘れてくれ。入国目的はギルドの仕事の為、間違いないな?」

「はい。」

「うむ。入国を許可する。ようこそ、ゴッサム王国へ。ガゼル・ライオット。」

「ありがとうございます。では、失礼致します。」

 ガゼルはアッサリと入国を完了した。何故、こんなにアッサリと入国出来たかと言うと、基本冒険者は入国し易いからである。依頼をこなす為に国を跨ぐ場合もある為、冒険者は比較的入国し易いのである。そもそも、犯罪を犯すと、冒険者登録を抹消されてしまう為、カードを持っていると言うだけで、その者は善人であると示している様なものなのである。これは、世界中の国に支部を持つ、冒険者ギルドが信頼されているからでもある。

「冒険者ギルドサマサマだよな。さて、ダンジョンに勇者が居ると言っていたな。行きたいが、流石にギルドを通さないと怪しまれるしな。先ずは冒険者ギルドを目指すか。」 

 ガゼルは山道を進み、平原に出た。そこまで進むと町までの案内板があり、また街道沿いに進んでいった。多少モンスターと遭遇したが、問題なく処理した。案内板から歩くこと半日、漸く最初の村が見えた。辺りは夕方になり、そろそろ陽も落ちる時刻だった。ガゼルはむらに入り、宿を探す事にした。

 それにしても、何か村が騒がしいな。ガゼルは近くに居た村人に何かあったのか尋ねてみた。

「宿屋の女将さんの娘がな、まだ帰ってきて居ないらしいんだ。そうだ、お前さん、どっちから来た?」

「ヴァンドール王国方面から街道沿いに。それらしい、いや、人影すら無かったぞ?」

「そうか、お~い!あっちは居ないってよ!」

 村人は他の村人に向かって叫んだ。ん?ちょっと待て。

「さっき宿屋の娘と言ったよな?」

「ああ。それが何か?」

「じゃあ、今宿屋は…」

「勿論、やってないぞ。店も全部閉まってる。村人総出で探しているんだ。」

 何てこった…。探さないと今日の宿すらままならないとは…。ガゼルは天を仰いだ。はあ…。面倒だが、協力してやるか。

「すまん、俺も探すのを手伝うから居なくなった娘の特徴を教えてくれ。」

「本当か!恩に着る!えっと居なくなったのは女将の娘で【モーラ】10歳だ。昼までは村の中に居て遊んでいたのは確認している。一緒に遊んでいた子が居たからな。居なくなったのは1時頃、村人が食事の為に家に入ったと同時刻だ。女将は帰って来ない娘を変に思ったが、友達と食べて居るのだろうと思い、その時は特に探さなかったらしい。そして、夕方になっても帰らない娘を心配し、友達の家に言ったが、昼に別れたきり、会っていないと知った。そして、今に至る…と言うわけだ。」

「なげぇぇぇぇよ!特徴って言っただろうが!?はぁ、その女将は?」

「す、すみません!自分に酔ってました!あ、女将はあの人です!」

 と、村人は不安そうに村を走り回っている女を指差した。ガゼルは女将に声を掛けた。

「すまん、宿屋の女将か?」

「何です?今忙しいので…!」

「娘を探してやる。少し記憶を探らせてくれ。」

「は?何を…」

 ガゼルは女将の記憶から娘の容姿を確認した。

「ふむ、今日の服装は茶髪のお下げ、ワンピース、赤いヘアバンドだな。」

「な、何故それを!?」

「記憶を読んだと言っただろ?最後のセリフは「いってまいりますわ、お母様?」だろ?その後女将は娘に「あんたは何処のお貴族様ですか?」だ。」

 女将はガゼルにしがみついてきた。

「お、お願いします!その不思議な力でどうか娘を!」

「任せろ。俺は早く休みたいんだ。さて、村の地面から過去を探りますか。【ログリード】。」

 ガゼルは地面から昼から今までの過去を読んでいく。

「うむ。確かに友達といるな。昼に別れている。ん?1人の太った男が娘に声を掛けているな。一緒に歩いている…。」

 ガゼルは過去を読み終わり、目を開いた。

「分かった。娘は道具屋の地下室だ。今は裸にされ壁に貼り付けにされている。」

「道具屋に地下室なんて無かった筈…。本当ですか?」

「ああ。このまま乗り込もう。今娘は裸だ。おそらく、このままだとヤられるな。急ごう。」

「は、はいっ!!」

 ガゼルは閉まっていた道具屋の扉を蹴破り、中を見回す。人気が無い。

「だれも居ないです…ね?本当に地下室が…?」

「まぁ見ていろ。」

 ガゼルは棚の商品を記憶の通りに並べ替える。すると、棚が上にせり上がり、床に地下室へと降りる階段が現れた。

「こんな…!モーラっ!」

「待て!俺が先を行くから後ろにいろ。襲われたら面倒だ。」

「うっ、はい…。」

 ガゼルは地下道を進んでいく。壁にはかがり火が灯されており、奥に人が居るのは明白だった。奥まで進むと扉があり、中から泣き声が聞こえてきていた。ガゼルは扉を蹴破り、中に突入した。

「そこまでだ!変体野郎っ!!」

「ぶひぃっ!な、何故此処が分かったのでありますか!?」

「モーラ!」

「ま、ママ!!助けてぇぇぇぇっ!」

 娘は今まさに挿入される寸前であった。

「ぐ、グルドォォォォッ!!!!あなた!家の娘にぃっ!!!」

「ひ、ひぃぃぃっ!ち、近寄るなであります!少しでも近寄ったら…」

「近寄ったら何だ?」

「ぶひ?」

 ガゼルは男の頭を掴み、思いっきり反対側の壁まで投げつけた。

―ドゴォォォォッ―

「あべしっ!!」

 男は壁にめり込んでいた。ガゼルはモーラにマントを掛けてやった。

「すまんな、もう少し待っててくれ。女将、娘を。」

「あ、あぁ!モーラッ!」

「ママァァァッ!」

 ガゼルは壁から男を引き剥がし、地面に寝かせ、頭を踏みつける。

「貴様のお陰でゆっくり休む事が出来なくなってしまった。どうしてくれる?」

「ひ、ひぃぃぃぃぃっ!」

「時間は有限だ。俺の大切な時間を奪った貴様は万死に値する。さて、どんな死に様が望みだ?焼死、溺死、感電死、失血死すきなものを選べ。」

「ま、待って頂戴、冒険者さん!」

「ん?何だ女将?まさか許せとか言わないよな?」

「ぶ、ぶひぃ、お、女将さぁん!」

 女将は男に近づきこう言った。

「鳥葬が良いと思うわ♪裸にして張り付けにして山に放置するの。そうすればモンスターや鳥が綺麗に片付けてくれるわ♪」

「ひ、ひぃぃぃっ!」

 この女将…中々に黒いな。まぁ、娘が襲われ掛けたんだし、分からなくも無いが。

「まぁ、被害者の希望がそれなら聞くしかあるまい。山は国境近くの禿山で良いよな?」

「ええ、でも今日はもう襲いし…。」

「問題ない。片付けて来るから、最高の部屋と料理を用意しておいてくれ。行くぞ豚。【転移】。」

 ガゼルはグルドと共に姿を消した。

「「き、消えた!?」」

 突然消えた2人に女将達は驚いていた。

「あの人に任せておけば大丈夫そうね…。モーラ、帰りましょう?」

「怖かったよぉぉぉっ!!」

 女将は道具屋の地下室から娘を連れ、地上に戻った。そして村人達に犯人はグルドで、今はあの彼に任せていると伝えた。村人達は道具屋が犯人だった事を知り、すでに解決した事に安堵し、各自自宅へと戻っていった。


 その頃、ガゼルは。

「いい景色だなぁ、なぁ豚?」

「ひぃっ!ひぃぃぃぃっ!」

 十字に組んだ魔物の骨に、鋼のワイヤーで手足と体をくくりっけ、それを山頂に突き刺していた。

「さてと、見たくもないし、触りたくないが…。あ、団子にして投げればいいか。」

 ガゼルは魔物寄せのエサを団子状にし、グルドの身体中に投げつけた。

「ぶふぅっ!こ、これは!魔物寄せのエサ!?」

「腐っても道具屋だな。ならもう分かるよな?じゃ、精々楽しんでくれ。【転移】。」

「そ、そんな…!ぶひっ!?」

 辺りに無数の魔物の気配が立ち込める。

「ひっ!ひ、人食い鳥!?ぎゃうっ!あぁぁぁぁぁっ!!!!や、やめっ!た…」

 憐れ、グルドは無数の鳥に啄ばまれ、全身を食われながらその生を終えたのであった。
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