転生?召喚?ー勇者(クズ)を屠る者ー

夜夢

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第2章 領地開発の章

11 地下闘技場

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    夜になりガゼルはギルドを出て地下闘技場へと向かう。漸く勇者と戦う事が出来る。ガゼルは口元に笑みを浮かべていた。

    地下闘技場へ入り、観客席に座る。

「さぁ、今日もチャンピオンは絶好調!連戦連勝、一切負けなし!誰か挑戦者はいないかぁっ!!」

    どうやら挑戦者は決まっている訳ではなく、その時その場所で決まる様だった。ルールは何でもあり、武器も魔法もスキルも制限なし。相手は勇者だ。そこらの冒険者くずれは相手にならないだろう。勇者は勝ち誇っていた。

「どいつもこいつも情けねえなぁ!?手加減してやっから誰か出てこいよ!」

    ガゼルは観客席から闘技場へと飛び降りた。

「俺がやろう。俺はガゼル。ランクは3級だ。不服か?」

    勇者はニヤリと笑って言った。

「へぇ、中々強そうだ。審判、良いよな?」

「オーケーオーケー。では、今から30分後、ジョー対挑戦者の死合を開始します。皆さん奮ってお賭け下さい!オッズは1:100!さぁ、大穴は出るか!」

    観客達は皆勇者の方に賭けていく。ガゼルは実況役に聞いた。 

「自分に賭ける事は出来るのか?」

「おおっと!挑戦者凄い自信だ!自分に賭けると言っているぞ!勿論、可能だ!いくら賭けるのか、挑戦者はっ!」

    ガゼルは懐から金貨がギッシリ詰まった袋を出した。

「金貨1000枚だ。」

「は?」

「金貨1000枚だよ。少ないか?」

    実況は叫んだ。

「挑戦者ぁっ!もの凄い自信だぁぁぁっ!な、なんと自分に金貨1000枚を賭けたぁぁぁぁっ!」

    勇者はそれを見て笑った。

「はぁっはっはっ!ばっかじゃねぇの?お前、負けたら金貨1000枚も失うんだぜ?まぁ、金もだが、当然命も奪ってやるがな?はっはっは!」

    実況が席から叫んだ。

「受付終了だぁっ!さぁて、これから始まる戦いを楽しもうじゃあないか!もしかしたら…って期待しながら…………始めぇぇぇぇっ!」

    勇者は両手で剣を構える。そして、ガゼルに向かって行った。

「来いよ。手加減してやるから好きに打ってきな?ひゃははっ!」

「なら遠慮なく。」

    ガゼルは両手に刀を持ち、立っていた場所から姿を消す。

「は?があぁぁぁっ!?」

「後ろががら空きだぜ?勇者さんよ?」

「おおぉっとぉぉぉぉぉっ!!挑戦者!一瞬で背後に回り、ジョーの背中を斬ったぁぁぁぁっ!!」

    観客席は、沸いた。

「いってぇぇぇぇっ!【ミドルヒール】!!やってくれたじゃねぇか!クソッタレがぁっ!!」

    勇者は剣を振り下ろし、ガゼルに斬りかかる。が、ガゼルは刀をクロスさせ、それを受ける。そして、顔を近付け、こっそり呟いた。

「【スキル消去】。」

「はっ?なんだそれ?」

「ふんっ!」

    ガゼルは勇者の腹に強烈な横蹴りを入れた。

「ぐふっ!がはぁぁぁぁっ!?」

    勇者は壁まで吹き飛び、めり込んだ。

「まだまだ。つぇいっ!!」

    ガゼルは一瞬で距離を縮め、神速の突きを放つ。

    右肩、左肩、右大腿、左大腿、右膝、左膝突きが6撃、勇者をほぼ同時に貫いた。

「ぎゃあうっ!?あぁぁぁぁぁっ!!」

「痛いか?すまんな、腹と首と額を忘れたわ。」

「て…てめ……ぇ…!な、なんでスキル自動防御が発動しないん…だ!?」

「お前がそれを知る必要は無いな。さて、お別れだ。怨むならまともに勇者をしなかった自分を怨むんだな。」

「く…そ…!スキル【完全回復】!……………な、なんで…!?」

「ばかだなぁ。あばよ。」

    ガゼルは勇者の首をバッサリと刎ねた。

ーブシュゥゥゥゥッ…ボトッ…。ー

    余りの凄惨さに客席も静まりかえっていた。

「実況、コールは?」

「あ…、し、勝者!挑戦者ガゼル!!」

    客席席がどよめく。

「さて、金を貰おうか?金貨10万枚。」

    奥から主催者が慌てて出てきた。

「き、今日はお開きだ!!き、君…少し話があるので奥にきて貰え…ませんでしょうか?」

「あん?まさか金が無いとか言わないよな?」

「ま、まままままさかぁ…ねぇ?金額がアレですので、奥で渡すのですよ、あは、あははははは。」

    怪しい。金が無いなこれは。まぁ、勇者は殺れたし、金はどうでもいいんだが。ガゼルは仕方なく主催者に付いて奥の部屋に向かう。

    部屋に着くと主催者はいきなり土下座した。

「勘弁してくださいっ!金貨10万枚なんて…ありませんっ!!何卒、何卒ぉぉぉぉっ!!」

「ほ~?払えないか。そうかそうか…。って許すと思うか?アイツを使って散々稼いだんだろう?」

「それでも!金貨10万枚なんて…!そ、そうだ!奴隷!奴隷は要りませんか!?アレ専用の綺麗処を揃えております!」

「奴隷か、生憎処女にしか興味無いんだよね、俺。」

「い、居ます!居ますとも!今から連れて参りますので!お、お待ち下さい!」

    主催者は部下に命じ、奴隷を連れて来させた。暫く待つと、成人前の奴隷達がゾロゾロと連れて来られた。その数は10人。

「処女と申されますとウチではこれ位しか…。ど、どうでしょうか?」

「コイツらは何処から連れてきた?」

「は、はぁ…娼婦が産んでウチに売った子供達でして…。ここまで育てるのに12年かかってます。なので、これで勘弁して貰えませんかね?」

「コイツらと話をして決める。暫く席を外せ。」

「は、はいぃぃぃっ!」

    主催者は部屋から出ていった。ガゼルは連れて来られた娘達に聞いた。

「さて、お前達。お前達はこれから俺に買われる訳だが、それが嫌な奴はいるか?」

「2つ、聞いてもいいですか?貴方は…お金持ち?私達に優しくしてくれます?」

「まぁ、金はある。で、優しくとは何を意味する?」

「暴力を振るって傷付けないかという意味です。優しく抱いて、愛してくれますか?」

「あぁ、そういう意味か。良いぜ?望むなら奴隷じゃなく俺の女として扱ってやるよ。」

    少女達は目配せをし、頭を下げる。

「宜しくお願いします。ご主人様。」

「ああ、宜しく。」

    ガゼルは再び主催者を呼ぶ。そして、彼女達にはを金貨10万枚の代わりに引き取ると告げた。

「そ、そうですか!!い、いやぁ…良かった!では、これで手打ちという事で…。」

「ああ。また…来るわ。次は強い奴用意しとけよ?じゃあ、お前達、付いてこい。」

「「「はいっ!ご主人様!」」」

    主催者は膝から崩れ落ちていた。

    ガゼルは全員連れて風呂付の高級宿へと向かうのであった。
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