クソッタレ人生を薔薇色に

夜夢

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中学校編

37 悠真、動きます

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    学校は冬休みに入った。あれからシルヴィアは如月グループの株価が上昇しきった頃合いを見計らい、悠真の持つ株を全て売却した。

「悠真様、株の売却完了致しました。」

「ありがとう。で、如月グループの動きは?」

「何も。寧ろ更に悪化してますね。裏と繋がった事でかなりの犯罪に手を染めています。また、グループと繋がりのある政治屋も蜜を求めて群がっている様子。今なら一網打尽に出来るでしょう。」

「…よし、やろうか。あんなグループでもそれなりに社会には影響が出る。そこを神月グループでフォロー。良いね?」

「はい。では…始めましょうか。」

    とある出版社。

「ん~?何だこのメール?ウィルスか?どれ…タイトルは……なっ!これはっ!?」

    またとある出版社では。

「あ~ネタがねぇっ!どっかから良いネタ転がりこんでこねぇかなぁぁぁ…。」

「へ、編集長っ!!大変っすよっ!!」

「あ~ん?何が?またどっかの芸人が闇営業でもしたのか?」

「そんな規模じゃないっすよ!これ見て下さいっ!」

「あん?……………はぁっ!?お、おい!これマジか!?」

「わ、分かんないっす。けど…どうやら他の出版社にも送られてるみたいで…。」

「……と、特集記事を組めっ!それと裏取りだ!空いてる奴は全員使えっ!何処よりも早く記事を出せっ!良いなっ!」

「は、はぃぃぃぃぃぃっ!!」

「…と、特ダネだぁ~…!こうしちゃいらんねぇっ!」

    翌日から世間は大混乱だ。当事者である如月グループは直ぐに繋がりのある裏社会の連中を頼った。

「ど、どうしてくれる!どうにかならんのかっ!?」

「いやぁ…こりゃ無理でしょう。どの出版社もウチらんトコと敵対してる所だ。下手すりゃ戦争になっちまいます。政治屋の先生方は?」

「それが!もう二度と連絡して来るなと…。」

「ははぁ、逃げましたな。となると…もう潮時でさぁ。短い間だったが、世話んなりやした。」

「み、見捨てるのか!?散々金を払わせといて!」

「見捨てる?もう金にならんあんたらとは付き合えませんわ。見切ると言ってくだせぇ。ウチからは何人か出頭させますんで、後は関わらんで頂きたい。では、失礼。」

「ま、待てまだ話は…!」

    そこに大量の人間が押し寄せた。

「動くな!警察だ!」

「国税局です。」

「入国管理局です。」

「国家公安部だ。」

「な…、ななな…!」

    現如月グループ会長に逮捕状が出る。

「じゃ、お世話んなりました。」

「お、おいっ!」

「動くなと言ったろう!確保っ!!」

「く、来るなぁぁぁっ!ぎゃあぁぁっ!!」

    如月グループ会長並びに関係者全員逮捕。そのニュースは全国に一瞬で拡散された。テレビのワイドショーも連日このニュースで持ちきりだ。如月グループが如何に悪どい企業だったかを全て調査し、世間に報道した。

「いや~、以前はこんな企業ちゃうんかったんですがねぇ~。反社と繋がったらあかんて。」

「と、我々が調査した結果、如月グループと繋がりのあった政治家達が判明し…。」

「この年の瀬にやってくれましたねぇ~。しかし…オリンピック前に綺麗になってくれて逆に良かったのでは…。」

    と、どのチャンネルを見ても如月グループのニュースばかりだ。程なくし如月グループは倒産。負債は有り得ないほど高額になっていた。

「…終わりましたね、悠真様。」

「うん。でもまだこれからだよ。悪事に荷担した奴等の判決が出るまで安心出来ないね。」

「それも直に終わるでしょう。如月グループは事実上消滅です。これからどうされますか?」

「どうって…。別にどうもしないよ。如月グループに関わっていた企業は殆どが倒産しただろうけど、いち早く離脱した正しい企業が残ってる。これから神月グループがこの国を引っ張っていくだろう。」

「悠真様は関わらないのですか?」

「僕?ははっ、何言ってるのさ、シルヴィア?僕はまだ中学生だよ?義務教育中だって。」

「こ~んな悪~い中学生は他に居りませんよ。少しは自覚して下さい。」

「僕は悪くないよ~だ。悪いのは悪事を働いた奴等。そうだ、繋がりのあった反社は?」

「何人か出頭させて逃げましたね。一応報復されない様、釘を刺しておきました。」

「…何をした?」

    シルヴィアは笑って言った。

「戦場で知り合った傭兵仲間に追い込みをかけさせました。あ、全員戸籍はありませんのでご心配なく。」

「どっちが悪人だよ…。怖いねぇ…。」

「あら、巨大企業を潰してしまう悠真様に言われるなんて思いませんでしたわ。」

「ふふっ。」

「ふふふっ。」

「「あはははははっ。」」 

    こうして、悠真の中学一年は過ぎて行った。長い冬も終わりを向かえ、村に春が訪れる。

「おぎゃぁっ、おぎゃぁっ!」

「止まりませんねぇ…出産ラッシュ。」

「そりゃあね。まだまだ続くよ。嬉しいね、僕がパパか。」

    村の女達が次々と悠真の子を産んでいた。因みに美咲と真歩の家は母娘の同時出産だった。

「あなた…♪私ちゃんと産めたっ♪」

「美咲、頑張ったね。産んでくれてありがとう!」

「主様、わ、私も頑張ったのだが…。」

「真歩も、ありがとうね。元気な男の子だ。こりゃお義父さんに知られたら大変かもね。」

    真歩の母親も元気な男の子を抱えていた。

「あら、私も産みましたのよ?真歩の弟。どちらが跡取りになるのかしらねぇ♪」

「は、はは。もう身体は大丈夫なんですか?」

「ええ。私は二人目ですし。もう少ししたら三人目も…ね?」

「また抱いてもいいのですか?」

「勿論よ…♪安定期に入ってから直ぐにしてくれたじゃない?でも…やっぱり受精しないと物足りなくて…♪もう私…悠真くんが居なきゃ生きて行けそうにないのぉ…♪」

「は、はは。機会があればまた。シルヴィア、そろそろ…。」

「はい。」

    悠真はシルヴィアを連れ神月グループへと向かった。

「よ、パパになった気分はどうだい?」

「最高だよ。皆可愛くてね。神崎さんは結婚しないので?」

「あ~、俺は良いわ。女に縛られるのは性に合わねぇからさ。」

「その割にはそちらの秘書さんから何か垂れてますが?」

「あ?はは。それよりだ。」

    話を反らされた。因みに秘書さんは慌てて何処かに走って行った。

「如月グループ、確かに反社と繋がっていたがよ、関わりの無かった企業まで連鎖的倒産しちまった。お陰で日本の株価は大暴落と来たもんだ。どうするよ?」

「ご心配なく。シルヴィア。」

「はい。」

    シルヴィアは連鎖倒産した会社でクリーンな会社をリストアップしたモノを神崎さんに渡した。

「こちらがただ被害を受けた企業です。既に向こうとは話がついており、この都市で再起業する手筈となっております。後は神崎様の了承次第ですね。」

「仕事はぇぇなぁ…。どうだ、俺んトコで働かないか?」

「お断りします。私が仕えるのは生涯唯1人ですので。」

「フラれたか~。良いなぁ~…。俺も優秀な部下が欲しいぜ…。」

「私ではご不満ですか?」

「は?」

    いつの間にか神崎さんの後ろに先程出ていった秘書さんが立っていた。

「さて、帰ろうか、シルヴィア。」

「はい。」

「ち、ちょっ…!」

「会長~?」

「ま、待てっ!う…ぎぁぁぁぁぁぁっ!?」

    こうして、悠真は神崎さんに全てを放り投げ、村での平穏な生活へと戻るのであった。
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