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第一章 異世界転移編
02 どうやら異世界転移したようだ
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会社を辞めた深夜、枢は今の生活でただ一の癒しである愛車、白いFD3Sに乗り自宅へと帰っている所である。明日からの引きこもり生活のために大量の食糧とタバコ、新刊や新作のゲームを買い漁った帰り道だ。
「くくくくっ! 相変わらず俺の愛車は世界一だなぁ。このサウンド……最高だよ。っと、ついアクセルが。国家権力に無駄金払う気はねぇ! っつーか、金使いすぎたわ、はははは」
明日からの生活を妄想し浮かれていると、いつの間にか愛車はいつもの帰路にあるトンネルに入っていた。すると不意に目の前が真っ白に染まった。
「うぉっ!? ま、まぶしっ! くそがっ! 誰だよトンネルでハイビームなんてよぉぉぉぉっ……!」
半目になりながらもなんとかトンネルを通過する。すると、なぜか漆黒だった世界が真っ昼間に、しかも目の前は都会の道路ではなく、草原地帯になっていた。愛車はそんな草原地帯を見渡せる高台の上でギリギリ止まっていた。八神は慌てて車を降り、辺りを見回してみる。
「は……はぁ? ど、何処だよここ? 俺……市街地からいつものトンネル入ったよな……?多分。あれ? もしかして道間違ったか? いや、こりゃそんなレベルじゃねぇよなぁ……。はは、まさか精神を病んだのか……俺? ふっ……グッバイ正常な俺! なんて現実逃避している場合じゃねぇよなぁ……」
車から降りた枢は草原を見降ろしながらなんとか現状を把握しようとしていた。愛車は小高い丘の上にある。空には見た事も無いような巨大な鳥が飛んでいる。地平線にはこれまたとんでもなく巨大な木や深い森が広がっていた。
「ふはははは、こりゃ明らかに地球ではないな……うん。もう笑うしかねぇわ。これは……まさか。いや、もしかして……今流行りの【異世界転移】ってやつなのでは? だとしたら……、もしやこの異世界には俺の大好きな魔族がいらっしゃるのでは……!?」
異世界召喚イコール魔族退治がデフォな昨今、もし自分が召喚されたりしたら(現実逃避)、絶対に魔族側になってやろうと日々思っていた(妄想)枢は今、目の前に広がる世界に目を輝かせ興奮していた。それと同時に、枢は現世の事を既にスッパリと切り捨てていた。
「現世に帰る? ふっ、一番あり得ない選択肢だな。とりあえず一度愛車に戻って一服するか。焦った所で何も変わらないしなぁ……。えっと……確かカートンで積んでたよな」
枢は車内を漁り、タバコを発見。箱から一本取り出し火を着ける。
「ふぅ~……美味い……。さて、これからどうしたら良いのやら……」
タバコを吸い終え、これからどうしようかと考えながらおもむろに愛車のキーを回す。
──カチッ、キュルルル……ブォォン……ボッボッボッボッ──
「くぅぅっ! やっぱり良い音してるぜぇ愛車よぉっ……」
高校卒業後、なけなしの金でローンを組んで(絶賛支払い中)散々弄り回した愛車に乗りつつ、一人歓喜に悶えていると、不意にカーナビから声が聞こえた。
《ザザッ……もしも~し……、聞こえてますか~っ? 聞こえていたら返事して下さ~い……。もしも~し……》
「ん? 今なんか……」
枢は悶えるのを止めカーナビを見る。すると画面には薄暗い部屋と猫ミミ付きのローブを着た女の子が映っていた。
「カワユ……いやいやいや!? 俺のカーナビにこんな機能付いてたっけ? いや、無いな」
とりあえず枢はカーナビに向かい話し掛けてみた。
「あ~……君は誰かな? 俺の名前は八神 枢。八神でも枢でも好きに呼んで構わないが」
そう少し戸惑いながらも枢は画面に向かい話し掛ける。それを聞いた画面の中の女の子は笑顔になり、枢に話し掛けてきた。
《あ、聞こえてるみたいデス! 初めまして、ワタシは辺境魔族軍所属の天才魔導師兼召喚師でぇ……、名前は【リミラ・ディミミ】って言いますデス。枢お兄ちゃんを異世界から喚んだのはワ・タ・シ・デス☆》
ニパー☆キラリンと効果音が聴こえそうな満面の笑顔で自己紹介を始めだした。
(カワユ……ゲフンゲフン。そんなことよりもだ、まずは……!)
枢は車内で拳を握り締めガッツポーズを極めた。
「ヨッシャァァァァァァッ! 異世界召喚キターーーーッ!! サラバ地球の生活!! そんで……魔族側からの召喚! うぉぉぉっ神よっ!!」
現世で疲れ果てていた枢は、異世界に召喚された事、そして何よりも魔族っ娘をこよなく愛する彼は今、魔族側に召喚されたことを心から歓喜していた。
そんな枢を見たリミラは、画面の奥でニヤリと笑っていた。枢に気付かれないように。
《……んんっ、何か良く分からないケド~。これからのコトは会ってから説明したいのデス。チョ~ット長くなるかも? なの。今からリミラが扉を開くから~、その扉からこっちに跳んできてデス☆ リミラお城で待ってるデス~》
──我に召喚されし者よ、扉をくぐり我が元に現れたまえ~【サモン・ゲート】──
リミラが呪文のようなモノを唱えると、眩い光と共に大きな扉がフロントガラスの向こう側に現れた。現れた扉がギギィ~……と音をたてながら、ゆっくりと奥に開いていく。
枢は興奮する自分を抑えつつ、ゆっくりとアクセルペダルを踏み込み扉の先へと進んで行くのであった。
「くくくくっ! 相変わらず俺の愛車は世界一だなぁ。このサウンド……最高だよ。っと、ついアクセルが。国家権力に無駄金払う気はねぇ! っつーか、金使いすぎたわ、はははは」
明日からの生活を妄想し浮かれていると、いつの間にか愛車はいつもの帰路にあるトンネルに入っていた。すると不意に目の前が真っ白に染まった。
「うぉっ!? ま、まぶしっ! くそがっ! 誰だよトンネルでハイビームなんてよぉぉぉぉっ……!」
半目になりながらもなんとかトンネルを通過する。すると、なぜか漆黒だった世界が真っ昼間に、しかも目の前は都会の道路ではなく、草原地帯になっていた。愛車はそんな草原地帯を見渡せる高台の上でギリギリ止まっていた。八神は慌てて車を降り、辺りを見回してみる。
「は……はぁ? ど、何処だよここ? 俺……市街地からいつものトンネル入ったよな……?多分。あれ? もしかして道間違ったか? いや、こりゃそんなレベルじゃねぇよなぁ……。はは、まさか精神を病んだのか……俺? ふっ……グッバイ正常な俺! なんて現実逃避している場合じゃねぇよなぁ……」
車から降りた枢は草原を見降ろしながらなんとか現状を把握しようとしていた。愛車は小高い丘の上にある。空には見た事も無いような巨大な鳥が飛んでいる。地平線にはこれまたとんでもなく巨大な木や深い森が広がっていた。
「ふはははは、こりゃ明らかに地球ではないな……うん。もう笑うしかねぇわ。これは……まさか。いや、もしかして……今流行りの【異世界転移】ってやつなのでは? だとしたら……、もしやこの異世界には俺の大好きな魔族がいらっしゃるのでは……!?」
異世界召喚イコール魔族退治がデフォな昨今、もし自分が召喚されたりしたら(現実逃避)、絶対に魔族側になってやろうと日々思っていた(妄想)枢は今、目の前に広がる世界に目を輝かせ興奮していた。それと同時に、枢は現世の事を既にスッパリと切り捨てていた。
「現世に帰る? ふっ、一番あり得ない選択肢だな。とりあえず一度愛車に戻って一服するか。焦った所で何も変わらないしなぁ……。えっと……確かカートンで積んでたよな」
枢は車内を漁り、タバコを発見。箱から一本取り出し火を着ける。
「ふぅ~……美味い……。さて、これからどうしたら良いのやら……」
タバコを吸い終え、これからどうしようかと考えながらおもむろに愛車のキーを回す。
──カチッ、キュルルル……ブォォン……ボッボッボッボッ──
「くぅぅっ! やっぱり良い音してるぜぇ愛車よぉっ……」
高校卒業後、なけなしの金でローンを組んで(絶賛支払い中)散々弄り回した愛車に乗りつつ、一人歓喜に悶えていると、不意にカーナビから声が聞こえた。
《ザザッ……もしも~し……、聞こえてますか~っ? 聞こえていたら返事して下さ~い……。もしも~し……》
「ん? 今なんか……」
枢は悶えるのを止めカーナビを見る。すると画面には薄暗い部屋と猫ミミ付きのローブを着た女の子が映っていた。
「カワユ……いやいやいや!? 俺のカーナビにこんな機能付いてたっけ? いや、無いな」
とりあえず枢はカーナビに向かい話し掛けてみた。
「あ~……君は誰かな? 俺の名前は八神 枢。八神でも枢でも好きに呼んで構わないが」
そう少し戸惑いながらも枢は画面に向かい話し掛ける。それを聞いた画面の中の女の子は笑顔になり、枢に話し掛けてきた。
《あ、聞こえてるみたいデス! 初めまして、ワタシは辺境魔族軍所属の天才魔導師兼召喚師でぇ……、名前は【リミラ・ディミミ】って言いますデス。枢お兄ちゃんを異世界から喚んだのはワ・タ・シ・デス☆》
ニパー☆キラリンと効果音が聴こえそうな満面の笑顔で自己紹介を始めだした。
(カワユ……ゲフンゲフン。そんなことよりもだ、まずは……!)
枢は車内で拳を握り締めガッツポーズを極めた。
「ヨッシャァァァァァァッ! 異世界召喚キターーーーッ!! サラバ地球の生活!! そんで……魔族側からの召喚! うぉぉぉっ神よっ!!」
現世で疲れ果てていた枢は、異世界に召喚された事、そして何よりも魔族っ娘をこよなく愛する彼は今、魔族側に召喚されたことを心から歓喜していた。
そんな枢を見たリミラは、画面の奥でニヤリと笑っていた。枢に気付かれないように。
《……んんっ、何か良く分からないケド~。これからのコトは会ってから説明したいのデス。チョ~ット長くなるかも? なの。今からリミラが扉を開くから~、その扉からこっちに跳んできてデス☆ リミラお城で待ってるデス~》
──我に召喚されし者よ、扉をくぐり我が元に現れたまえ~【サモン・ゲート】──
リミラが呪文のようなモノを唱えると、眩い光と共に大きな扉がフロントガラスの向こう側に現れた。現れた扉がギギィ~……と音をたてながら、ゆっくりと奥に開いていく。
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