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第一章 異世界転移編
09 枢、街で初めての勇者に会う
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「さてと、装備も一応揃ったし、ひとまず城に戻り今後の方針を……っと、ん? ……なんだありゃ?」
枢の視線の先には魔族の街に似つかわしくない人影が見えた。その人影は何人かの魔族の兵士に連行されている。ひどくボロボロだった。
「なぁ、リミラ。あれは何だ? 何処に連れて行かれている」
「あ~、あれは勇者さんデス~。たまに偵察に来る人達がいて~、今は能力を一時封印されて牢屋まで運ばれてるみたいデス」
「ふむ、接触は可能か?」
「リミラが居れば問題ないデス☆ いきましょ~」
枢達は一団へと歩みを寄せた。
「待て、何だおま……リ、リミラ様でしたか。我らに何か?」
「少し勇者さんにお話しがあるのデス☆ 良いデス?」
「はっ、畏まりました!」
勇者は虚ろな目でこちらを見ていた。どれ、解析してみるか。
名前:高木 賢一(18)
称号:勇者召喚されし者
LV:75
スキル:【創造魔法】
……ビンゴだ。しかも中々にいいスキル持ってるじゃないか。これは是非とも頂かなければ……。
「お~い、リミラちょっと……」
「な~に、枢お兄ちゃん?」
枢はそっとリミラに耳打ちをはじめた。
「捕まった勇者の処遇はどうなる?」
「ん~、大人しくしてるなら~……一生牢屋の中。もし反抗するなら処刑っ……なのデス☆」
「あ、明るいな……。まぁ、いい。奴が望むなら帰しても問題ないか?」
そう言うとリミラは何の事かすぐに察し、枢に問いかけてきた。
「あ、あのスキルを使うのデスね? もしかして、あの勇者……良いの持ってたデス? いなくなるなら問題ないデス~☆」
「よし」
リミラの許可をもらい、枢は勇者を連行していた兵士に問い掛けた。
「ああ、兵士の方。すまないが少し彼と話をさせてくれないか?」
「は、はぁ……」
兵士は手短に頼むと言い、勇者を枢の前に出した。勇者は相変わらず死んだ目をしている。もう生きる事を諦めているのだろうか。
枢はそんな彼に近づき、そっと耳元で囁いた。
「……地球に帰りたいかい、高木賢一君?」
「……え? に、日本……語? あ、あなたは!?」
枢は勇者の問い掛けには答えずに要件だけを告げる。
「いいか? 俺なら君を地球に帰してやれる。これから帰してやるから絶対に暴れるなよ?」
助かる、地球に帰れると聞いた勇者の目に光が宿りだす。これから死ぬんだとばかり思っていた勇者は枢にしがみついた。
「ほ、本当に帰れるのか!? た、頼むっ! 助けてくれっ!」
勇者は枢に懇願した。これで条件はクリアだ。
枢は勇者の肩に手を置き、そして眼を見てこう言った。
「じゃあな、勇者よ。無理矢理喚ばれて戦わされたんだろ? とんだ災難だったな。スキル【帰還】発動!」
枢がスキルを発動させると勇者の体は光に包まれ徐々に消えていった。勇者は最後にありがとう……と言い残し、やがて光の中に消えていった。そして、小さな光の珠がその場に残り枢の中に吸い込まれていった。そんな光景を兵士達は唖然としたまま見ていた。
「成功したのか? まぁ、本当に帰れたかは彼にしかわからないがな。どれ、俺のステータスは……と」
枢はすぐさま自分に【絶対解析】を使用した。
名前:八神 枢
種族:異世界人
LV:01
MP:25/100
魔法適性:全属性
所持スキル:【絶対解析】【擬人化】【帰還】【創造魔法】New!
「お、ちゃんとスキル吸収されてるな。【帰還】の消費は25か。そろそろ休憩しないと残りMPがヤバイな……」
一通り確認作業を終えた頃、驚愕していた兵士達は現実に帰って来たようだ。
「リ、リミラ様? 今のはいったい……。あの勇者は何処へ……?」
「勇者は自分の世界に帰ったデス☆ あ、この事は内緒デスよ~☆ もし、誰かに言ったらぁ~……ニコッ☆」
「は、ははぁっ! わ、我々はナニもミテイマセン、シツレイシマス!!」
ナイスリミラ。あんまりバレたくないからな、まだ。
「さぁて、大きな収穫もあったし、そろそろ城に戻るか」
「ん」
「はいデス☆」
枢は二人を連れてホクホクした顔で城に戻るのであった。
枢の視線の先には魔族の街に似つかわしくない人影が見えた。その人影は何人かの魔族の兵士に連行されている。ひどくボロボロだった。
「なぁ、リミラ。あれは何だ? 何処に連れて行かれている」
「あ~、あれは勇者さんデス~。たまに偵察に来る人達がいて~、今は能力を一時封印されて牢屋まで運ばれてるみたいデス」
「ふむ、接触は可能か?」
「リミラが居れば問題ないデス☆ いきましょ~」
枢達は一団へと歩みを寄せた。
「待て、何だおま……リ、リミラ様でしたか。我らに何か?」
「少し勇者さんにお話しがあるのデス☆ 良いデス?」
「はっ、畏まりました!」
勇者は虚ろな目でこちらを見ていた。どれ、解析してみるか。
名前:高木 賢一(18)
称号:勇者召喚されし者
LV:75
スキル:【創造魔法】
……ビンゴだ。しかも中々にいいスキル持ってるじゃないか。これは是非とも頂かなければ……。
「お~い、リミラちょっと……」
「な~に、枢お兄ちゃん?」
枢はそっとリミラに耳打ちをはじめた。
「捕まった勇者の処遇はどうなる?」
「ん~、大人しくしてるなら~……一生牢屋の中。もし反抗するなら処刑っ……なのデス☆」
「あ、明るいな……。まぁ、いい。奴が望むなら帰しても問題ないか?」
そう言うとリミラは何の事かすぐに察し、枢に問いかけてきた。
「あ、あのスキルを使うのデスね? もしかして、あの勇者……良いの持ってたデス? いなくなるなら問題ないデス~☆」
「よし」
リミラの許可をもらい、枢は勇者を連行していた兵士に問い掛けた。
「ああ、兵士の方。すまないが少し彼と話をさせてくれないか?」
「は、はぁ……」
兵士は手短に頼むと言い、勇者を枢の前に出した。勇者は相変わらず死んだ目をしている。もう生きる事を諦めているのだろうか。
枢はそんな彼に近づき、そっと耳元で囁いた。
「……地球に帰りたいかい、高木賢一君?」
「……え? に、日本……語? あ、あなたは!?」
枢は勇者の問い掛けには答えずに要件だけを告げる。
「いいか? 俺なら君を地球に帰してやれる。これから帰してやるから絶対に暴れるなよ?」
助かる、地球に帰れると聞いた勇者の目に光が宿りだす。これから死ぬんだとばかり思っていた勇者は枢にしがみついた。
「ほ、本当に帰れるのか!? た、頼むっ! 助けてくれっ!」
勇者は枢に懇願した。これで条件はクリアだ。
枢は勇者の肩に手を置き、そして眼を見てこう言った。
「じゃあな、勇者よ。無理矢理喚ばれて戦わされたんだろ? とんだ災難だったな。スキル【帰還】発動!」
枢がスキルを発動させると勇者の体は光に包まれ徐々に消えていった。勇者は最後にありがとう……と言い残し、やがて光の中に消えていった。そして、小さな光の珠がその場に残り枢の中に吸い込まれていった。そんな光景を兵士達は唖然としたまま見ていた。
「成功したのか? まぁ、本当に帰れたかは彼にしかわからないがな。どれ、俺のステータスは……と」
枢はすぐさま自分に【絶対解析】を使用した。
名前:八神 枢
種族:異世界人
LV:01
MP:25/100
魔法適性:全属性
所持スキル:【絶対解析】【擬人化】【帰還】【創造魔法】New!
「お、ちゃんとスキル吸収されてるな。【帰還】の消費は25か。そろそろ休憩しないと残りMPがヤバイな……」
一通り確認作業を終えた頃、驚愕していた兵士達は現実に帰って来たようだ。
「リ、リミラ様? 今のはいったい……。あの勇者は何処へ……?」
「勇者は自分の世界に帰ったデス☆ あ、この事は内緒デスよ~☆ もし、誰かに言ったらぁ~……ニコッ☆」
「は、ははぁっ! わ、我々はナニもミテイマセン、シツレイシマス!!」
ナイスリミラ。あんまりバレたくないからな、まだ。
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枢は二人を連れてホクホクした顔で城に戻るのであった。
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