魔族と組んで異世界無双!リメイク

夜夢

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第一章 異世界転移編

12 お風呂回

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 枢は疲れた身体でなんとか運転し城へと戻った。MPが残り少ないため、真白を人化せずガレージに置いて部屋へと戻った。

「あぁ、疲れた~……。まさか戦闘があんなに疲れるなんて……。判断ミスったら死ぬぞアレ。あ、一応レベル見ておくか」


★名前:八神 枢
種族:異世界人
LV:45
MP:30/4600
魔法適性:全属性
所持スキル:【絶対解析】【擬人化】【帰還】【創造魔法】


「お、レベルが結構上がってんじゃん! ファングウルフリーダーとやらが強かったせいか? しかも……MPがすげー増えてる……? もしこれで真白出したら………俺ら無敵じゃね!? よし、明日試してみよう。後は……また夜にでも考えるか。しかし……」

 枢はベッドに横になりながら身体を擦っていた。

「リミラに【クリーン】かけてもらったんだけどなぁ~……。なぁんかこうイマイチ……パッとしねぇんだよなぁ。やはり日本人としては……風呂! ……入りてぇなぁ……。ちょっとリミラに聞きに行くか」

 枢はリミラの部屋に行かなかった。正確には行けなかっただ。出発前に色々あったせいか行き辛かったのだ。そして考えたあげくようやく閃いた。

「……パーラがいるやん」

 枢は早速パーラを呼んだ。

「何か御用でしょうか、枢様」
「あぁ、つかぬ事を聞くが……パーラさんはもしや可愛い女の子が好きなのかな?」

 パーラの額に大粒の汗が流れた。

「な、ななな何を言ってるんデスカ!? そ、そそそんなコトあるわけ無いじゃないデスカ!」

 普段落ち着き払っている常に冷静沈着なパーラさんがものすご~くアタフタしていた。やってやったぜ! そう思ったのも束の間、パーラさんは拳を握っていた。殺・ラ・レ・ル!!

「あ、いや、待てっ! 今本題はそこじゃない! 俺も戦闘で汚れたしさ、真白も道中色々轢いてたからさー、ちょっと洗いたいんだよ。この城に風呂はあるか?」 
「風呂? ええ、いつでも入れる大きな湯殿がありますが」
「……場所は?」
「教えるわけ無いじゃないですか。大事な大事なリミラ様を覗かれでもしたら……私は枢様を消してしまいかねませんので」
「覗くかいっ!! パーラならともか……あ」

 途端に視線が冷めたものに変わった。

「……枢様は真白様をお連れして城の一階入り口まで起こし下さい。私はリミラ様を迎えに行ってから向かいますので」
「……はい。はぁ……行ってきます」

 枢はトボトボとガレージに向かい真白に【擬人化】を使った。残りMPが15しかない。だが戦うわけでもないしいいだろう。にしても……結構汚れてるな。

「……マスター、どうしました?」
「いや、今日は久しぶりに走ったからさ。それに結構汚れたろ? ここには洗車用設備が無いからさ、お前を風呂に入れてやろうかなと」

 真白は風呂と聞き目を輝かせた。

「ん! お風呂! マスター……早く行きましょう! 実は……スライムとか沢山轢いたから……足回りが気持ち……悪かった!」

 枢はだよなーと笑いかけ、真白を入り口まで連れていった。そこには既にパーラさんとリミラが待っていた。

「あ、枢お兄ちゃん? 枢お兄ちゃんも一緒に入るデスか?」
「リミラ様、何を仰いますか……。【ブラインド】【バインド】。さぁ行きましょうか、リミラ様、真白様」
「く、見えねぇし動けん……!? お、おのれぇ……パーラめ! 仲間外れにする気かっ!」

 パーラは眼鏡の奥に怪しい光を放ちながら、口元を三日月に歪め二人を連れていった。


★パーラ視点

「さぁ、着きましたよ、真白様。リミラ様もこちらの籠にお召し物をお脱ぎ下さい」 

 ん……と言いながら二人はスポーンと服を脱ぎ籠に入れた。パーラはいつの間にかその場にいたもう一人のメイドに洗って置くようにと、自分の服も脱ぎ入れ、籠を手渡した。パーラは眼鏡を外し身体にはタオルを巻いている。

「……では、参りましょうお二方(ハァハァ……)」
「さぁ、真白お姉ちゃん中に行くデス☆」

 三人揃って中に入る。真白は初めて見る湯船に感動していた。

「……ん、とても……広い! でも……湯気であまり……見えない」

 パーラの魔の手が真白に迫る。

「さ、さあ! 先に身体を洗いましょうか。こちらへどうぞ、お二方」

 真白はリミラと並んで椅子に座らされた。

「リミラ様、先に髪を洗っていて下さい。私は真白様の髪を洗いますので」
「わかったのだ~」

 リミラはもう慣れたものだ。背中以外は自分で全て洗える。
 パーラは鼻息を荒くし、真白の後ろに片膝をついて座った。

「真白様、洗髪させて頂きますので、少し目を閉じていて下さいね」
「ん、お願い……します」

 パーラは真白の頭にお湯をかけ洗髪料を手に取り泡立てて真白の頭に手をやる。

(あぁ、やわらかい髪ぃっ……ハァハァ……! このシルクのような手触りっ……! 役得ですわぁぁぁっ。ハァハァ……!)

 この時点でパーラは不審者以外の何者でもなかった。

「はっ!? ま、真白様、流しますよ?」
「……ん」

 ザバーとお湯をかけ泡を落としていく。流し終えた後、パーラは真白の髪をアップにしてまとめた。

    その後三人はそれぞれ身体を洗いあい、ゆっくりと湯船に浸かった。パーラはどこか艶々していた。

(ふぅ……。リミラ様もですが……真白様の身体も柔らかかったですわっ。はぁぁ……満足です。城勤め最高っ!)

 
<<枢視点>>

「……ふ、ふふっふはははっ! 甘いなパーラ。今行くぞ天使たちよっ!」

 枢はパーラが必ず何かしてくるだろうと思っていた。三人が立ち去った後、創造魔法で自分に【ディスペル】をかけた。流石にもうMPがない。

 枢はひたすら湯殿を探し回った。魔力枯渇のせいかやたら身体が重い。

「しかし、今行かねば何時いくっ! 動け……動け動け動け動けぇぇぇっ!!」

 枢は重い身体を引き摺りながら必死に城内を探し回った。だが、いくら探しても無かった。

「ま、まさか離れにあるとは……な。やられたぜ……。だが後少しだ……燃えろっ俺の小宇宙コスモよっ!!」

 最後の力を振り絞り立ち上がろうとしたその時……。

「あ、枢お兄ちゃん? これからお風呂デス?」
「ん。……待ってたのに……マスター」
「やれやれ、どうやって解除したのですか枢様」

 三人はホカホカした感じで目の前にいた。しかもパーラはやけに艶々している。

「……ジィィィィィザァァァァァァァァァス!」

 枢は沈んだ。

「……燃え尽きたぜ…まっ白な灰に……」

 その後枢は一人寂しく風呂に向かうのであった。
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