無双転生~チートスキルで自由気ままに異世界を生きる~

夜夢

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第05章 浮遊大陸編

10 最後の竜

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 闇竜を仲間にし、暗闇で過ごすこと一週間。その間に何度となく光竜が襲撃に来ては闇竜に追い返されていた。そして八日目。ついに闇竜がキレた。

「なぁんで邪魔するのかなぁ~光姉ぇぇぇぇ……。さすがに私もキレちゃうよ? 姉妹ってだけじゃ命の保証はできないよぉ?」
《め、目を覚ましなさい闇竜!》
「闇竜じゃない、私はノワールよ」
《くっ! 人間に与えられた名前がそんなに嬉しいのっ!?》
「人間に与えられたから喜んでるんじゃないわ。愛しいダーリンから与えられたから喜んでるのよっ。そんな事もわからないなんて……これだからお子様は困るわ」
《だ、誰がお子様よっ! 今日こそそこの人間を排除するっ!》
「させるわけないじゃない。ダーリンは私が守るもの……」

 そう姉妹の間で火花が散っている頃、他の竜達は蓮太の指示で別行動をとっていた。

「あ、あったわ! これじゃない?」
「多分そうだな。見つけたぜ、ダンジョンコア」
「本当に壊すのこれ?」
「硬そうだな」

 蓮太は何もこの八日間遊んでいたわけではない。四人と別行動し、光竜の意識をこちらに向ける事で光竜の意識から四人を解放したのである。そして四人に念話でダンジョンコアを探すように指示を出していたのだ。

「でもこれを壊せば私達も外に出られるのよ? そしたらご飯もお酒も食べ放題飲み放題!」
 「早いとこ壊しちまおうぜ。こいつも牢屋の壁を壊したみたいに熱してから冷ませば壊れんだろうからよ」
「兄ちゃんの知識って凄いよね~。どこで覚えたんだろ?」
「さあな。主は科学と言っておったが……。我も早く酒が飲みたい。火竜、水竜、やるのだ」
「「あいよっ!」」

 まず火竜がダンジョンコアを炎で包み熱した。

「よ~し、次は私が。いけっ【サイクロンランス】!」

 水竜は極限まで冷した回転する水の槍をダンジョンコアに向けて放った。するとダンジョンコアに亀裂が入った。

「まだ割れぬか。ならば風よ、我を加速させてくれ。あれにキツい一発をお見舞いしてやろうではないか」
「オッケー、いくよ地竜! 唸れ【疾風】!!」
「ぬぅおぉぉぉぉぉぉぉあっ!! くらぇぇぇぇぇぇいんっ!! ショルダァァァァァァ──タッコォォォォォォォォォツッッッ!!」

 大袈裟だがただの体当たりだ。地竜は風竜の放った風を受け加速し、亀裂の入ったダンジョンコアにショルダータックルをぶちかました。ダンジョンコアは硬い地竜の体当たりを受け、今真っ二つに割れた。

「「「「よっしゃ! んんん?」」」」

 ダンジョンコアが真っ二つに割れた瞬間、ダンジョン全体が揺れはじめた。

 そして時を同じくし、闇竜の部屋では。

「なんなのですかこの揺れは!」
「ダーリンこわぁ~い!」

 光竜は慌てて辺りを見回す。そして闇竜は怖くもないだろうに蓮太にしがみつく。蓮太は闇竜を抱え光竜に言った。

「終わりだ光竜。どうやらダンジョンコアが破壊されたようだ」
《ダンジョンコアが!? いったい誰が!?》
「あいつらに決まってんだろ。牢屋に入れて安心仕切っていたようだが……あんなもんあいつらの足止めにもならなかったようだ」
《……はっ!? もしかして私をここに集中させたのは……!》
「そうだ。ダンジョンコアの探索と破壊をスムーズに実行するためよ。さあノワール、この居心地の良かった空間ともそろそろお別れだ。続きは地上世界に戻ってからにしような」

 闇竜は一瞬自分が利用されたのかと思ったが、蓮太の一言で機嫌を良くした。

「一瞬だけダーリンの事疑っちゃったよぉ~」
「地上に行ったらお仕置きだな。今夜も眠らせねぇよ?」
「あぁん、それ御褒美──きゃっ!?」
《うっ──》
「ダンジョンからの排除が始まったな。ふっ──」

 そうしてダンジョンにいた生命体はダンジョン崩壊と共に全て浮遊大陸へと放り出された。

「なっ!? あれは竜!! ……と人化した……竜!?」
「なんかいっぱい出てきた……」

 ダンジョンを出るとラフィエルとターニアが光竜の出現に驚き戦闘態勢に入っていた。そこに蓮太が現れる。

「よう、久しぶり」
「レンタ!」
「ご主人様っ!」

 蓮太の姿を見た二人が光竜を警戒しながら蓮太に駆け寄る。

《ダーリンに近寄るなっ!》
「「なっ!?」」

 しかしそんな二人を竜に戻った闇竜が阻む。

「また竜が……っ!」
「待って。今ダーリンって……」

 すると闇竜が竜の姿のまま蓮太に後ろから抱きつきこう言った。

《ダーリンは私のなのっ! 人間と──魔族の女は近寄るなっ!》
「っ! バレてる!」
「ノワール、二人は仲間だ。そう警戒しなくても良い。それより……お前の姉を何とか落ち着かせてくれ」

 そう言われ闇竜は光竜を見る。

《わぁ~……久しぶりの外の世界! あ、あそこ地形変わって……。あ! 新しい国ができてる! わぁ~わぁ~……》

 光竜は浮遊大陸の端から地上の様子を見てはしゃいでいた。

《ダーリン、あれ突き落としちゃう?》
「飛べるだろうから意味ないなそれ」
「ちょっとレンタ!」
「ん?」

 そこに水竜達四人も合流してきた。

「光姉さんまだ仲間にしてなかったの!?」
「げ、闇竜じゃねぇか」
「風が気持ち良いね!」
「殺風景な場所だなここは」

 さすがにこれだけ集まると五月蝿くて仕方ない。

《ダーリン、どうしたの?》
「いや……今までまったりしてたからこの状況が煩わしくて……」
《じゃあ皆消しちゃおっか?》
「「「「っ!?」」」」 

 闇竜の放った殺気に四人は警戒し、戦闘態勢に入る。

「消すなよ。煩わしいが仲間だからな。とりあえず光竜を……」

 するといつの間にか光竜が四人の後ろに立っていた。

《さて、地上に出られた事だし……私はのんびりできる場所を探しに行きます》
「待て光竜、それは困る」
《はい? なぜあなたが困るのですか? 闇竜の事ならもうどうでも良いですわ。そしてそこの四人もね。あなたが私を引き止める理由はないでしょう? それとも……》

 光竜の雰囲気が変わる。 

《私が竜だから退治するのですか? ならば闇竜には悪いですがあなたを殺さなければなりませんよ》
「別に竜だからって理由で排除したりしねぇよ。それが理由なら闇竜も他の竜達もダンジョンの中で殺している」
《ならばなぜ私を引き止めるのです。お互いに関わらない、それが一番良い方法では?》
「それだと私が困るの」
《え?》

 そこに世界樹であるユグドラシルが姿を見せた。

《そ、そのオーラは……! まさか世界樹ですか!》
「ん……」

 すると光竜は姿を見せた世界樹に向け頭を垂れた。

《まさか世界樹が再びこの地上世界に顕現していたなんて……! 人間を許したのですか?》
「許してないよ。私はそこの人間、レンタに喚ばれた」
《人間が世界樹を喚んだ!? そ、そんなバカな!》
「本当。レンタは竜を使って地上で困っている私の守人エルフを助けさせるためにダンジョンに入ったの」
《私達竜を……使う? 世界樹、まさか私達竜に人間の下につけと?》
「いや?」
《嫌に決まっていますっ! 私達竜は自分より強い者にしか従いませんっ! いくら世界の源である世界樹に言われてもそこは譲れませんわっ!》
「レンタ強いよ?」
《……ならばその力を示してもらわなければなりません》

 そう言い、光竜は頭を上げて立ち上がり、蓮太に対峙した。

《人間、私を従えようとするなら力を示してみなさい。私を倒す事ができたらあなたに従いましょう》
「やれやれ、結局戦うのかよ。ノワール、ちょっと離れてな」
《ダーリン……、勝てるの?》
「当たり前だろ。水竜達と応援でもしててくれよ」
《あ、危なくなったら止めに入るからね!》
「ああ」

 蓮太は光竜を従える条件が整ったため、ようやく動き始めるのだった。
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