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第1章
<33話>兎探偵 斯波葉月の事件簿(其の1)
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私の通っている
私立社中学校は、
義経君が通っている公立中学校である
天原中学校とは真逆の、
北側の端っこにあります。
午前7時に家を出た私は、
いつもの通りのバスに乗り、
つり革を握りながら
英語の単語帳を開きました。
しかしあまり単語は覚えられません。
その理由の1つは、
『あ、そう、それ正解。
あ、それ違うよ!1じゃなくて3!』
横から私の記憶を読んだピノが、
マシンガントークでネタバレを
してくるからです。
「ちょっと!本当にやめてよ!」
『え~、だって暇なんだもん。』
「暇だからって勉強の邪魔しないで!」
なんて(勿論小声で)口喧嘩をしていると
「おっはよ~う、葉月!」
という軽快な挨拶と共に、
ポン、と誰かに肩を叩かれました。
・・・嗚呼、もう勉強は無理だ。
声の正体は、とっても背の高い、
ツインテールの女の子でした。
「・・・おはよう、みーちゃん。」
みーちゃんこと最上美空ちゃんは、
私のクラスメイトです。
ちょっと明るすぎる性格ですが、
とっても思いやりのあるいい子で、
バレー部で副主将を勤めている
名選手です。
ご自慢の人見知りで、
あわや3年間のボッチ生活を
送る羽目になりそうだった私に、
初めて声をかけてくれた
同年代でもあります。
彼女が側にいてくれたおかげで、
私はヤンチャグループに
目をつけられることがなく、
平穏な日々を過ごせていますし。
それともう一つ、
彼女は、同年代で私の過去を知っている
唯一の人物でもあり、
過去のトラウマが蘇らない様、
色々と便宜を図ってくれているのは、
何を隠そうみーちゃんなのです。
ただ、
彼女はスポーツの技量に関しては、
国内でもトップクラスという、
天才クラスの領域なのですが、
『神は2物を与えず』とは
よくいったもので、
勉強がからっきしで、
私が持てる知識を総動員して、
心血を燃やして勉強を教えることで、
どうにか平均クラスを
保っている状態です。
一度、1年の2学期の期末テストの時、
叔父さんの仕事の手伝いで、
どうしても勉強を教える暇がなくて、
「ごめんね、
別の人に教えてもらって!」
と必死に頭を下げてお願いしたら、
すんなりOKしてくれたのですが、
当日のみーちゃんの満面の笑み、
そして周りで恐らくみーちゃんに
勉強を教えたのであろう人たちの、
あの窶れきった様な顔をみた
瞬間、
私の探偵の勘が働きました。
ああ、これダメなやつだ、って。
後日、テストが終わってから、
みーちゃんが見せてくれたテストは、
スパイペンで
テストを受けたんじゃないかと
錯覚するくらい、
その全てが清々しいほど真っ白でした。
そして、殆ど全てのテストに、
無情にも書かれた、
赤い一桁の数字・・・は、
まだいい方で、
5教科のうちの4教科は、
あの国民的漫画の主人公の代名詞の、
あの点数でした。
まさか
の◯太くんの意思を受け継ぐものが、
こんなに身近にいようとは!
なんて洒落たことを、
叔父さんや義経君なら
あるいは言えたのかもしれませんが、
あいにくユーモアを嗜まない私は、
ただヘロヘロと
地面にへたり込むのでした・・・。
こういうことがあってから、
私は何があろうとみーちゃんに
勉強を教えるのを優先しようと、
心に決めたのです。
「私の貸した本、もう読んだ?」
「も、もちろん!
滅茶苦茶面白かったよ!
特に最後、
主人公が魔法の剣で
魔王を倒すところとか、
もうサイコーに・・・。」
「・・・あのね、みーちゃん、
『トム・ソーヤの冒険』には、
魔法の剣も魔王も出てこないんだよ。
怒らないから正直に言いなよ、
読んでないって。」
「・・・ごめん、読んでない。」
「もう!
私のチョイスが難しいっていうから、
タクミ君に頼んで
わざわざ選んでもらったのに!」
「ご、ごめん。
部活が忙しくてさあ・・・。」
「あれ小学生向けだよ!?
100ページないんだよ!?
ていうかなんならほぼ絵本だよ!?
貸したの1ヶ月前だよね!?
しかも読むから貸してくれって
言い出したのみーちゃんじゃん!」
「ねえ、怒らないんじゃ・・・。」
「怒ってないよ!」
「怒ってんじゃん!
わかった、今度ジュースでも・・・。」
「要らないから
1ページでも読んでよ!」
これじゃまるでお母さんと娘ですが、
これが私たちが出会った時に、
一番最初にする会話なのです。
「そ、そうだ!
葉月、知ってる?
『社中の占い師』って。」
みーちゃんは慌てて話をそらしました。
「『占い師』?
最近流行ってたのって確か、
『騎士』じゃなかったっけ?」
「あれは天原市全域のやつでしょ?
ウチの学校じゃ、
今はこっちの方が騒がれてるよ。
ある電話番号に電話をするとね、
日時と場所を指定されるんだけど、
そこに行くと『占いの部屋』があって、
そこにいる『占い師』が
占ってくれるんだ!
すごいよ、未来の出来事を、
嘘みたいにピタッと当てるんだよ!」
「・・・なるほどね。」
私は、探偵見習いという立場上、
占いとか予言とかを
基本的にはあまり信じない方です。
「それ、
今まで何人くらい的中させてるの?」
「ん~とね、
学校の女子は殆ど試してるらしいけど、
今のところ外れたっていう話は
聞かないなあ、
私の時もしっかり当たったし。」
みーちゃんはさらりと答えました。
「ふーん・・・って、え!?
みーちゃん、占ってもらったの!?」
「うん。
ほら、少し前に話したでしょ?
告白するか迷ってる人がいるって。
それで占ってもらったら、
『是非やりなさい。
そうすれば必ず成功します。』
って言われてさー。
で、実際に勇気を振り絞って告白したら
何と!
相手も私の事が好きだったんだって!」
普通の女の子なら、
「え!すごーい!
私もやってみようかな?」
なんていうのかもしれませんが、
私は違いました。
私はみーちゃんにバレないように
できるだけ声を小さくして、
「ねえ、ピノ。
これって・・・。」
とヒソヒソとピノに問いかけると、
『うん、『シンジュウ』だね。
絶対『シンジュウ』、
100パー『シンジュウ』。』
ピノは非常にわかりやすい答えを
返してくれました。
「『占い師』ってことは、
未来予知とかそういう『加護』?」
『まあ、そんなんだろうね。
でも、
調べておいた方がいいのは確かだね。』
「え、なんで?」
別に誰かに
今のところは危険性は無さそうだし、
経過観察でもいいんじゃ・・・。
『甘いよ。』
ピノはぴしゃりと言いました。
どうやら考えを読まれたみたいです。
『今のところは危険性はなさそう?
だからこそ、今、やるんだよ。
世の中は君みたいに
『シンジュウ』の力を
ひた隠しにしようと思ってるような
平和的な奴ばかりじゃないんだ。
考えてもみなよ、
もし『シンジュウ』の加護なら、
おそらく
『100発100中の未来予知』だぜ?
もしもこのまま野放しにしておいて、
そいつが調子に乗り出して、
TVやネットやメディアに出てきて、
大規模な予言をやりだしたら?
企業や国と、手を結んだら?
それこそ、そいつの発言一つで、
世界が振り回されることに
なりかねない。
君は、
『まだちっちゃくて力も無いから。』
っていう理由で、
人食いライオンの子供が
町に闊歩しているのを、
なんの警戒もせずに、
微笑ましい目でみているのかい?』
「・・・。」
論破されてしまいました。
でも、確かにその通りかもしれません。
「わかった、じゃあ調べてみるよ。
まずは叔父さん連絡・・・。」
と、私が取り出した携帯は、
『ダメー!』の一声とともに、
ピノにはたき落とされてしまいました。
「な、なにするの!割れちゃうよ!」
『葉月、君はもう14だろ?
それに今回の事件は、
君の直近で起こっているものだ。
だからさ・・・。』
ピノは大きく息を吸って言いました。
『この事件は、
僕達だけで解決するんだ!
これは、
君の探偵見習い脱出への試練なんだ!
あのオッさんの手を借りるんなら、
僕は今後一切『加護』を
貸さないからな!』
ふむふむなるほど、
つまり、この事件は、
14歳、社会に出たこともない
女子中学生である
私が一人で解決しろと。
そうでなければ、
もう今後『加護』は使わせない、と。
・・・嘘でしょ?
「えええええええええええ!?!?」
こうして、私の探偵としての、
初の事件は、
バスの中の人目も気にしない絶叫と共に
幕を開けたのです。
私立社中学校は、
義経君が通っている公立中学校である
天原中学校とは真逆の、
北側の端っこにあります。
午前7時に家を出た私は、
いつもの通りのバスに乗り、
つり革を握りながら
英語の単語帳を開きました。
しかしあまり単語は覚えられません。
その理由の1つは、
『あ、そう、それ正解。
あ、それ違うよ!1じゃなくて3!』
横から私の記憶を読んだピノが、
マシンガントークでネタバレを
してくるからです。
「ちょっと!本当にやめてよ!」
『え~、だって暇なんだもん。』
「暇だからって勉強の邪魔しないで!」
なんて(勿論小声で)口喧嘩をしていると
「おっはよ~う、葉月!」
という軽快な挨拶と共に、
ポン、と誰かに肩を叩かれました。
・・・嗚呼、もう勉強は無理だ。
声の正体は、とっても背の高い、
ツインテールの女の子でした。
「・・・おはよう、みーちゃん。」
みーちゃんこと最上美空ちゃんは、
私のクラスメイトです。
ちょっと明るすぎる性格ですが、
とっても思いやりのあるいい子で、
バレー部で副主将を勤めている
名選手です。
ご自慢の人見知りで、
あわや3年間のボッチ生活を
送る羽目になりそうだった私に、
初めて声をかけてくれた
同年代でもあります。
彼女が側にいてくれたおかげで、
私はヤンチャグループに
目をつけられることがなく、
平穏な日々を過ごせていますし。
それともう一つ、
彼女は、同年代で私の過去を知っている
唯一の人物でもあり、
過去のトラウマが蘇らない様、
色々と便宜を図ってくれているのは、
何を隠そうみーちゃんなのです。
ただ、
彼女はスポーツの技量に関しては、
国内でもトップクラスという、
天才クラスの領域なのですが、
『神は2物を与えず』とは
よくいったもので、
勉強がからっきしで、
私が持てる知識を総動員して、
心血を燃やして勉強を教えることで、
どうにか平均クラスを
保っている状態です。
一度、1年の2学期の期末テストの時、
叔父さんの仕事の手伝いで、
どうしても勉強を教える暇がなくて、
「ごめんね、
別の人に教えてもらって!」
と必死に頭を下げてお願いしたら、
すんなりOKしてくれたのですが、
当日のみーちゃんの満面の笑み、
そして周りで恐らくみーちゃんに
勉強を教えたのであろう人たちの、
あの窶れきった様な顔をみた
瞬間、
私の探偵の勘が働きました。
ああ、これダメなやつだ、って。
後日、テストが終わってから、
みーちゃんが見せてくれたテストは、
スパイペンで
テストを受けたんじゃないかと
錯覚するくらい、
その全てが清々しいほど真っ白でした。
そして、殆ど全てのテストに、
無情にも書かれた、
赤い一桁の数字・・・は、
まだいい方で、
5教科のうちの4教科は、
あの国民的漫画の主人公の代名詞の、
あの点数でした。
まさか
の◯太くんの意思を受け継ぐものが、
こんなに身近にいようとは!
なんて洒落たことを、
叔父さんや義経君なら
あるいは言えたのかもしれませんが、
あいにくユーモアを嗜まない私は、
ただヘロヘロと
地面にへたり込むのでした・・・。
こういうことがあってから、
私は何があろうとみーちゃんに
勉強を教えるのを優先しようと、
心に決めたのです。
「私の貸した本、もう読んだ?」
「も、もちろん!
滅茶苦茶面白かったよ!
特に最後、
主人公が魔法の剣で
魔王を倒すところとか、
もうサイコーに・・・。」
「・・・あのね、みーちゃん、
『トム・ソーヤの冒険』には、
魔法の剣も魔王も出てこないんだよ。
怒らないから正直に言いなよ、
読んでないって。」
「・・・ごめん、読んでない。」
「もう!
私のチョイスが難しいっていうから、
タクミ君に頼んで
わざわざ選んでもらったのに!」
「ご、ごめん。
部活が忙しくてさあ・・・。」
「あれ小学生向けだよ!?
100ページないんだよ!?
ていうかなんならほぼ絵本だよ!?
貸したの1ヶ月前だよね!?
しかも読むから貸してくれって
言い出したのみーちゃんじゃん!」
「ねえ、怒らないんじゃ・・・。」
「怒ってないよ!」
「怒ってんじゃん!
わかった、今度ジュースでも・・・。」
「要らないから
1ページでも読んでよ!」
これじゃまるでお母さんと娘ですが、
これが私たちが出会った時に、
一番最初にする会話なのです。
「そ、そうだ!
葉月、知ってる?
『社中の占い師』って。」
みーちゃんは慌てて話をそらしました。
「『占い師』?
最近流行ってたのって確か、
『騎士』じゃなかったっけ?」
「あれは天原市全域のやつでしょ?
ウチの学校じゃ、
今はこっちの方が騒がれてるよ。
ある電話番号に電話をするとね、
日時と場所を指定されるんだけど、
そこに行くと『占いの部屋』があって、
そこにいる『占い師』が
占ってくれるんだ!
すごいよ、未来の出来事を、
嘘みたいにピタッと当てるんだよ!」
「・・・なるほどね。」
私は、探偵見習いという立場上、
占いとか予言とかを
基本的にはあまり信じない方です。
「それ、
今まで何人くらい的中させてるの?」
「ん~とね、
学校の女子は殆ど試してるらしいけど、
今のところ外れたっていう話は
聞かないなあ、
私の時もしっかり当たったし。」
みーちゃんはさらりと答えました。
「ふーん・・・って、え!?
みーちゃん、占ってもらったの!?」
「うん。
ほら、少し前に話したでしょ?
告白するか迷ってる人がいるって。
それで占ってもらったら、
『是非やりなさい。
そうすれば必ず成功します。』
って言われてさー。
で、実際に勇気を振り絞って告白したら
何と!
相手も私の事が好きだったんだって!」
普通の女の子なら、
「え!すごーい!
私もやってみようかな?」
なんていうのかもしれませんが、
私は違いました。
私はみーちゃんにバレないように
できるだけ声を小さくして、
「ねえ、ピノ。
これって・・・。」
とヒソヒソとピノに問いかけると、
『うん、『シンジュウ』だね。
絶対『シンジュウ』、
100パー『シンジュウ』。』
ピノは非常にわかりやすい答えを
返してくれました。
「『占い師』ってことは、
未来予知とかそういう『加護』?」
『まあ、そんなんだろうね。
でも、
調べておいた方がいいのは確かだね。』
「え、なんで?」
別に誰かに
今のところは危険性は無さそうだし、
経過観察でもいいんじゃ・・・。
『甘いよ。』
ピノはぴしゃりと言いました。
どうやら考えを読まれたみたいです。
『今のところは危険性はなさそう?
だからこそ、今、やるんだよ。
世の中は君みたいに
『シンジュウ』の力を
ひた隠しにしようと思ってるような
平和的な奴ばかりじゃないんだ。
考えてもみなよ、
もし『シンジュウ』の加護なら、
おそらく
『100発100中の未来予知』だぜ?
もしもこのまま野放しにしておいて、
そいつが調子に乗り出して、
TVやネットやメディアに出てきて、
大規模な予言をやりだしたら?
企業や国と、手を結んだら?
それこそ、そいつの発言一つで、
世界が振り回されることに
なりかねない。
君は、
『まだちっちゃくて力も無いから。』
っていう理由で、
人食いライオンの子供が
町に闊歩しているのを、
なんの警戒もせずに、
微笑ましい目でみているのかい?』
「・・・。」
論破されてしまいました。
でも、確かにその通りかもしれません。
「わかった、じゃあ調べてみるよ。
まずは叔父さん連絡・・・。」
と、私が取り出した携帯は、
『ダメー!』の一声とともに、
ピノにはたき落とされてしまいました。
「な、なにするの!割れちゃうよ!」
『葉月、君はもう14だろ?
それに今回の事件は、
君の直近で起こっているものだ。
だからさ・・・。』
ピノは大きく息を吸って言いました。
『この事件は、
僕達だけで解決するんだ!
これは、
君の探偵見習い脱出への試練なんだ!
あのオッさんの手を借りるんなら、
僕は今後一切『加護』を
貸さないからな!』
ふむふむなるほど、
つまり、この事件は、
14歳、社会に出たこともない
女子中学生である
私が一人で解決しろと。
そうでなければ、
もう今後『加護』は使わせない、と。
・・・嘘でしょ?
「えええええええええええ!?!?」
こうして、私の探偵としての、
初の事件は、
バスの中の人目も気にしない絶叫と共に
幕を開けたのです。
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