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第1章
<34話>兎探偵 斯波葉月の事件簿(其の2)
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学校に着いたのは、
7時半を少し回ったくらいでした。
私とみーちゃんが
自分のクラスの2年3組に入ると、
もう半数以上のクラスメイトが、
自分の席に座っていて、
そのほとんどの人達は、
黙々とシャーペンを動かしています。
社中学校は一応は進学校なので、
この光景は至って当たり前です。
みーちゃんは教室に着くや否や、
「筆記用具部室に忘れたー!」
と叫んで、
猛スピードで
教室を飛び出して行きました。
これはいつものことです。
逆にみーちゃんが忘れ物をしない日は、
大雨か大雪のどちらかが降る日です。
私は自分の席に座り、
ピノに大人しくしているよう指示して、問題集とノートを広げます。
ここで私はハッと思い出しました。
ただ、勉強をする前に一つ、
やることがあるのを。
私は真新しいノートを一つ取り出すと、
表紙に油性ペンを滑らせます。
『調査ノート [占い師]』
よし、これでOK。
私は問題集の問題に、
黙々と取り組み始めました。
数学の文章題と格闘し始めて
5分ほどたった時、
「し、斯波さん。
貸した本もう読んだ?」と言う声が
私の頭上から聞こえてきました。
顔を上げると、私の真正面に、
ボブヘアーの男の子が立っていました。
「あ、おはようタクミ君。
うん、面白かったよ。
もう返した方がいい?」
深尾匠くん。
大の読書家で、
学校に朝一番に来ては、
椅子に座って本を読んでいます。
成績は丁度中間ぐらいだそうですが、
本気を出せば1番なんか
余裕で取れるんじゃ無いか
と思うくらい、
あらゆる面での知識量が豊富です。
一般常識専門知識ジャンル時代問わず、
彼にした質問で
明確な回答が返ってこなかったものは
今のところは確認されていないという、
名前に恥じぬ『匠』っぷりを
発揮しています。
私が『タクミ君』と呼んでいるのは、
名前ではなく、あだ名としてなのです。
「・・・い、いや、大丈夫。
ゆっくり読んでていいよ。
最上さんの方は・・・、
どうせまだなんだろうな・・・。
っていうか、
なんならあと3ヶ月くらいは
返ってこないんだろな・・・。
もう捨てる寸前の古いやつ、
貸しといてよかった・・・。」
みーちゃん、
完全に読まれちゃってます。
ていうか、
ちゃんと返しなよ・・・。
ここで私は、
『占い師』のことを思い出しました。
「あ、そうだ、タクミ君、
『社中の占い師』って知ってる?」
「・・・いや、知らない。
あ、あと、多分最上さんも
殆ど知らないと思うよ。
なんか電話ですまされちゃった
らしいから・・・。」
即答されちゃいました。
ピノが足元で、
『チッ!』と舌打ちしたので、
私は笑顔のまま、
彼の前足を踏んづけました。
「・・・あ、でも、
厩戸さんなら知ってるかも・・・。
電話じゃなくて会っての占いだったって
言ってたし・・・。」
「本当!?ありがとう!」
私は彼の手を握ると、
ブンブンと大袈裟に振りました。
「そ、そんなに
大袈裟なことしたかな?俺。」
タクミ君は恥ずかしそうに笑いました。
・・・ごめんね。
私の『加護』は、
帽子を被ることで発動すると、
前に義経君に話したのですが、
これ、実は少しだけ嘘なんです。
私の加護には、
その精密さによって
3種類に分かれます。
1つ目は、
『私が私の人格で帽子を被った場合』。
この場合、私は触れることで、
『物や人のあらゆる記憶』を
読むことができます。
2秒くらいは触れ続けてないと
正確に読むことはできませんが、
身体への負担はそこまで気にするほどの物でもありません。
2つ目は、
『私がピノの人格(兎格?)で、
帽子を被った場合。』
これは後々説明しますが、
一つの欠点を除けば、
少なくとも1つ目より圧倒的に強力、
とだけ言っておきます。
最後の3つ目が、
『そもそも帽子を被らずに、
加護発動の意思を持って、
相手に触れた場合』です。
これは記憶を辿る、というよりは
『数秒前に相手がどんなことを
考えていたかがわかる。』
というものです。
勿論物相手には使うことは出来ず、
他2つと比べても
脆弱なものなのですが、
これにはとっても便利な
使い道があります。
即ち、『嘘発見器』です。
効果が弱い分、
身体への負担をかなり軽いので、
コスパは抜群です。
さっき私が使ったのは、
まさしくこれなのです。
即ち、
『タクミ君が真実を言っているか』を、
チェックしたわけです。
「さて、っと。
厩戸さんかあ。」
・・・あの子、あんまり
好きじゃないんだけどな。
私は教室の中心の席に足を進めます。
そこにはクラスの男の子達に囲まれた、
厩戸さんが座っていました。
「厩戸さん。」
私が声をかけると、彼女は軽くしかめた顔を上げました。
「何?」
高圧的な声でした、
すっごくご機嫌斜めです、
正直怖いです。
「あ、あのさ、厩戸さんって、
例の『占い師』に、
会って、占ってもらったんだよね?
そのことについてちょっと・・・。」
「は?なんであんたに
そんなこと言わなきゃいけないの?
占いは電話でもできるんでしょ?」
「い、いや、私もちょっと、
会ってみたいな~、なんて・・・。」
しかし、ここで私は
余計な事に気付いてしまいました。
「だ、ダメだよ。
学校にお化粧してきちゃあ・・・。」
彼女の顔には、
明らかにメイクが施されていました。
実は風紀委員である私は、
彼女に度々これを
注意しているのですが、
一向にやめてくれません。
それどころか、
完全に目の敵にされてしまって
いるのです。
そんなことしなくても、
可愛いのになあ。
「は?誰にも迷惑かけてませんけど?」
彼女は不意に立ち上がり、
周りの男子達を
蹴散らす様に私に近づくと、小声で、
「おい、ちょっとついてこい。」
と言った後、
すぐに取り巻きの男の子達の方を向き、
「ごめ~ん、ちょっとまってて!
なんか恋愛相談
持ちかけられちゃった~。」
と猫なで声で言い放ち、
厩戸さんは私を引きずりながら
廊下へと出ました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は引っ張って行かれた目的地である、トイレの壁に叩きつけられました
(と言ってもそんなに痛くは
なかったのですが)。
「アンタさ、
毎度毎度しつこいんだけど?
たかが風紀委員のくせして
私にいちいち指図してきやがって。
私のお兄ちゃんとお父さんに
いいつけようか?」
厩戸さんの家族はどうも
そういう系の人達らしく、
彼女はそこの幹部であるお兄さんと、
最高の地位であるお父さんに、
溺愛を受けているそうなのです。
なんでも彼女曰く、過去に、
彼女の非行を注意した先生が、
その翌日に行方不明となり、
その後山中で発見されたそうで・・・。
(ただ、前に仕事で見せてもらった、
警察の事件記録には、
過去30年ほどは
そんな記述はありませんでしたが)
でも、一般の人達には
勿論そんなことを確認する術はないので
怖がって迂闊に注意することもできず、
それをいいことに、
彼女は好き勝手に振舞っているのです。
「う、厩戸さん、
ちょっと落ち着いて・・・。」
と、私が彼女の腕に触れると、
すぐに「触んな!」と
はねのけられてしまいました。
厩戸さんは
「あのさあ、強がりとかいいから。
本当は怖くてたまらないんでしょ?
とんでもないことしちゃったね、
1週間後まで生きてられるかな?」
なんて言ってクスクス笑っています。
でも、申し訳ありませんが、
全然怖くないんです。
そんな怖い組織の構成員の集団を、
涼しい顔で
単身、そして素手で圧倒する叔父と、
そんなもの比べ物にならない強さの
異能力者を日夜相手取っている
叔母を持つ身としては、その話は
些かインパクトに欠けるわけで・・・。
そんな私のボヤッとした反応が、
さらに彼女の怒りに油を注いだらしく、
「おい、聞いてんのか!」
とさらに強く私を壁に押し付けました。
ううう、痛い~・・・。
いつの間にか横にいたピノが、
私に向かって叫びます。
『おい、葉月!僕と変われ!』
(貴方は出てきちゃダメ!
余計ややこしくなるでしょ!)
心の中でこんな会話をしている間も、
厩戸さんは
「謝ったら許してあげるよ?
ほら、謝りなさいよ。
あ・や・ま・れ!」
と畳み掛けてきます。
個室に入っていた3、4人の人達も、
みんな怯えたように
そそくさと出て行ってしまいました。
逃げないで助けてよ!
とは流石に言えません。
立場が逆なら、私だって
逃げずにいられるかどうか・・・。
しかし次の瞬間、
「葉月に何してるの!」
という声と共に、
なんと個室の中から怒りの形相の
みーちゃんが現れました。
「な、何よ!
アンタも私のお父さんの部下に、
人生終わらされたいの!?」
と私の襟を掴んだまま叫ぶ厩戸さんに、
みーちゃんはズカズカと近寄り、
腕を握りつぶすように掴むと、
「へ~、それは怖いわね。
でもその『お父さんの部下』って、
ここにはいないのよね?
帰宅部の貴方と運動部の私、
どっちが腕っ節強いかわからない?
手、離しなさい。」と凄みました。
みーちゃんは元々長身な上に、
流石はスポーツ選手と言うべきか、
つくべき筋肉はしっかりとついていて、
こんな風に凄まれると
滅茶苦茶怖いのです。
厩戸さんは物凄い形相で
私達を睨みつけた後、
舌打ちをして、去って行きました。
「葉月、大丈夫!?」
みーちゃんがまん丸な目を
大きく見開いて質問してきます。
「全然平気だよ。
助けてくれてどうもありがとうね。
それより、
巻き込んじゃって本当にごめん!
ど、どうしよう報復とか・・・。」
「私のことなんてどうだっていいの!
とにかく、怪我が無くてよかった。」
嗚呼、なんでこの子は
こうお人好しなんでしょう。
私はとんでもないことを
してしまったのに。
私はあまり身体強化は高くないので、
叔父さんにこのことを伝えて、
みーちゃんの周囲を
警戒してもらうしかなさそうです。
嗚呼、『おねいちゃん』がいればなあ。
教室に帰ると、
タクミ君が光の速さで近寄ってきて、
そのまま土下座しました。
硬直。
「し、斯波さん、本当にごめん!
俺があんなこと言わなければ、
こんなことには・・・!」
「た、タクミ君のせいじゃないよ!
私が変なこと言っただけだし、
それにお陰で
占い師の連絡先もわかったから!
お願いだから顔上げて!」
「「・・・え?
嘘でしょ?
あんなに怒ってたのに
教えてくれたの?」」
タクミ君は下から、
みーちゃんは横から、
驚愕の表情で私を見ました。
ピノが小声で『オイ』と言いながら、
私の足を小突きます。
・・・しまった。
「え、あ、いや、あの、えっと、
話せばわかるってことだよ!
あはははははは・・・。
ほ、ほらもうすぐ先生来るよ!
席に戻ろ!? ね!?」
私はなんとか誤魔化しました。
言えるわけないよね、
さっき厩戸さんに
腕を掴まれて引きずられてる時、
バレないように鹿撃帽を被って、
記憶を盗み見た、なんて。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
放課後、
私とみーちゃんが
教室から出ようとしたその時、
「あ、あのさ。」という声と共に、
タクミ君に呼び止められました。
「お詫び・・・。」
そう言って彼が突き出した
その手には、2枚のチケット(?)が
握られていました。
「こ、これ、
八十幸町にある、
カフェの無料券なんだ。」
たしかにチケットには、
『ドリンク無料券
カフェカメレオン』
の文字があります。
「か、母さんが買い物した時、
商店街の福引で当てたらしいんだけど、
俺、人と話すの苦手で、
そもそも外食とか殆ど行かないから、
あげる。」
『飲食店にすら入るの億劫って、
日常生活成り立つのかよ・・・。』
ごめんなさい、ピノに同意です。
「『カフェカメレオン』?
滅茶苦茶行きたかった所だ!」
みーちゃんは嬉しそうに
はしゃぎだしました。
「ここの食べ物、
そんなに美味しいの?」
私が聞くと、
「ううん。
滅茶苦茶可愛いロリケモミミの子が
働いてらしいからさ、
ちょっとモフモフしてみたいな、
って思って。」
「そんな猫カフェみたいな理由で、
女の子とモフモフする気なの!?
ダメだよ、法的にアウトだよ!」
「あとなんか、
熊に変身するって言う噂の
店員もいるみたいだからさ、
ちょっとモフモフしてみたいな、
と思って。」
「熊を!?
日本史上最悪の
獣害事件を起こした動物と、
モフモフする気なの!?
ダメだよ、安全面的にアウトだよ!」
「あとなんか、
『マイマイ』って呼ばれてる
店員がいるらしいからさ、
蝸牛にでも変身するのかなと思って。
なら、
ちょっとデュルデュルしてみたいな、
って思って。」
「デュルデュルって何!?
モフモフみたいなノリで言わないでよ!
ダメだよ、紙面的にアウトだよ!」
『そーだぞ!
そんなことキワドイこと書いてみろ!
作者の作家人生が終わりを告げるぞ、
色々な意味で!』
(バカって誰!?
っていうか頼むから黙っててよ!)
っていうか、
何ですかそのカフェ。
全員シンジュウの宿り主なの?
(結局、
「みーちゃんを行かせるのはヤバい。」
と思ったらしきタクミ君は、
「だれか誘って。」と
2枚とも私にくれました。
嬉しいような、嬉しくないような、
複雑だなあ・・・。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「それはそうとさ、葉月。
『占い師とあって占ってもらう方法。』
って、結局わかったの?」
みーちゃんは話題を変えました。
「あ、うん、わかったよ。
みーちゃん、電話でその人と話した時、
なんか変なこと聞かれなかった?」
「変なこと・・・?」
するとみーちゃんは思い出したように、
「あ、そうだ!聞かれた聞かれた!
『報酬は何をいただけますか?」って。
それで私、お金って言ったら、
『では今すぐ始めましょう。』
って言われて、
電話で占いを始められちゃって、
結局報酬もとりにこなかったよ。」
私はビシッ!とみーちゃんを
指さしました。
「そう!それだよ!
まあ、見てて。」
そういうと私は、
厩戸さんの記憶から読み取った
番号をダイヤルします。
3コールで、相手はでました。
「占いですか?」
電話の相手は、そう言いました。
「はい、そうです!
どうしても知りたいことがあって。」
私がそういうと、相手は、
「報酬は何をいただけますか?」
と続けました。
後ろで、みーちゃんが小声で、
「私の時と同じだ!」
と言っているのが聞こえます。
私はにっこりと笑って、
「n県産のお煎餅を!」と言いました。
後ろを振り向くと、
みーちゃん達はポカーンと
私を見ていました。
すると相手は、
「・・・わかりました。
では一度会って、お話しましょう。」
そう言ってボソボソと呟くように、
日時と場所を指定すると、
相手は電話を切りました。
電話が切れた瞬間、
「ええええええええええ!?」
みーちゃんの絶叫が響きわたりました。
「な、何で!?
私の時は電話だったのに!」
「・・・合言葉がいるんだよ。」
タクミ君が徐に呟きました。
タクミ君、正解です。
「多分厩戸さんは、
『合言葉』のことを
どこかで聞いて知ってたんだろうね。」
「葉月良かったじゃん!」
みーちゃんが喜んでくれますが、
私は浮かない顔をしていました。
「あれ、どうしたの?嬉しくないの?」
「い、いや、嬉しいんだけどね、
一つ問題があるんだ・・・
・・・指定された時間、
明日の午前2時なんだよね。」
明日も学校なのになあ・・・、
頑張って起きなくちゃ。
そんなことを思いながら、
私は家に帰るのでした。
7時半を少し回ったくらいでした。
私とみーちゃんが
自分のクラスの2年3組に入ると、
もう半数以上のクラスメイトが、
自分の席に座っていて、
そのほとんどの人達は、
黙々とシャーペンを動かしています。
社中学校は一応は進学校なので、
この光景は至って当たり前です。
みーちゃんは教室に着くや否や、
「筆記用具部室に忘れたー!」
と叫んで、
猛スピードで
教室を飛び出して行きました。
これはいつものことです。
逆にみーちゃんが忘れ物をしない日は、
大雨か大雪のどちらかが降る日です。
私は自分の席に座り、
ピノに大人しくしているよう指示して、問題集とノートを広げます。
ここで私はハッと思い出しました。
ただ、勉強をする前に一つ、
やることがあるのを。
私は真新しいノートを一つ取り出すと、
表紙に油性ペンを滑らせます。
『調査ノート [占い師]』
よし、これでOK。
私は問題集の問題に、
黙々と取り組み始めました。
数学の文章題と格闘し始めて
5分ほどたった時、
「し、斯波さん。
貸した本もう読んだ?」と言う声が
私の頭上から聞こえてきました。
顔を上げると、私の真正面に、
ボブヘアーの男の子が立っていました。
「あ、おはようタクミ君。
うん、面白かったよ。
もう返した方がいい?」
深尾匠くん。
大の読書家で、
学校に朝一番に来ては、
椅子に座って本を読んでいます。
成績は丁度中間ぐらいだそうですが、
本気を出せば1番なんか
余裕で取れるんじゃ無いか
と思うくらい、
あらゆる面での知識量が豊富です。
一般常識専門知識ジャンル時代問わず、
彼にした質問で
明確な回答が返ってこなかったものは
今のところは確認されていないという、
名前に恥じぬ『匠』っぷりを
発揮しています。
私が『タクミ君』と呼んでいるのは、
名前ではなく、あだ名としてなのです。
「・・・い、いや、大丈夫。
ゆっくり読んでていいよ。
最上さんの方は・・・、
どうせまだなんだろうな・・・。
っていうか、
なんならあと3ヶ月くらいは
返ってこないんだろな・・・。
もう捨てる寸前の古いやつ、
貸しといてよかった・・・。」
みーちゃん、
完全に読まれちゃってます。
ていうか、
ちゃんと返しなよ・・・。
ここで私は、
『占い師』のことを思い出しました。
「あ、そうだ、タクミ君、
『社中の占い師』って知ってる?」
「・・・いや、知らない。
あ、あと、多分最上さんも
殆ど知らないと思うよ。
なんか電話ですまされちゃった
らしいから・・・。」
即答されちゃいました。
ピノが足元で、
『チッ!』と舌打ちしたので、
私は笑顔のまま、
彼の前足を踏んづけました。
「・・・あ、でも、
厩戸さんなら知ってるかも・・・。
電話じゃなくて会っての占いだったって
言ってたし・・・。」
「本当!?ありがとう!」
私は彼の手を握ると、
ブンブンと大袈裟に振りました。
「そ、そんなに
大袈裟なことしたかな?俺。」
タクミ君は恥ずかしそうに笑いました。
・・・ごめんね。
私の『加護』は、
帽子を被ることで発動すると、
前に義経君に話したのですが、
これ、実は少しだけ嘘なんです。
私の加護には、
その精密さによって
3種類に分かれます。
1つ目は、
『私が私の人格で帽子を被った場合』。
この場合、私は触れることで、
『物や人のあらゆる記憶』を
読むことができます。
2秒くらいは触れ続けてないと
正確に読むことはできませんが、
身体への負担はそこまで気にするほどの物でもありません。
2つ目は、
『私がピノの人格(兎格?)で、
帽子を被った場合。』
これは後々説明しますが、
一つの欠点を除けば、
少なくとも1つ目より圧倒的に強力、
とだけ言っておきます。
最後の3つ目が、
『そもそも帽子を被らずに、
加護発動の意思を持って、
相手に触れた場合』です。
これは記憶を辿る、というよりは
『数秒前に相手がどんなことを
考えていたかがわかる。』
というものです。
勿論物相手には使うことは出来ず、
他2つと比べても
脆弱なものなのですが、
これにはとっても便利な
使い道があります。
即ち、『嘘発見器』です。
効果が弱い分、
身体への負担をかなり軽いので、
コスパは抜群です。
さっき私が使ったのは、
まさしくこれなのです。
即ち、
『タクミ君が真実を言っているか』を、
チェックしたわけです。
「さて、っと。
厩戸さんかあ。」
・・・あの子、あんまり
好きじゃないんだけどな。
私は教室の中心の席に足を進めます。
そこにはクラスの男の子達に囲まれた、
厩戸さんが座っていました。
「厩戸さん。」
私が声をかけると、彼女は軽くしかめた顔を上げました。
「何?」
高圧的な声でした、
すっごくご機嫌斜めです、
正直怖いです。
「あ、あのさ、厩戸さんって、
例の『占い師』に、
会って、占ってもらったんだよね?
そのことについてちょっと・・・。」
「は?なんであんたに
そんなこと言わなきゃいけないの?
占いは電話でもできるんでしょ?」
「い、いや、私もちょっと、
会ってみたいな~、なんて・・・。」
しかし、ここで私は
余計な事に気付いてしまいました。
「だ、ダメだよ。
学校にお化粧してきちゃあ・・・。」
彼女の顔には、
明らかにメイクが施されていました。
実は風紀委員である私は、
彼女に度々これを
注意しているのですが、
一向にやめてくれません。
それどころか、
完全に目の敵にされてしまって
いるのです。
そんなことしなくても、
可愛いのになあ。
「は?誰にも迷惑かけてませんけど?」
彼女は不意に立ち上がり、
周りの男子達を
蹴散らす様に私に近づくと、小声で、
「おい、ちょっとついてこい。」
と言った後、
すぐに取り巻きの男の子達の方を向き、
「ごめ~ん、ちょっとまってて!
なんか恋愛相談
持ちかけられちゃった~。」
と猫なで声で言い放ち、
厩戸さんは私を引きずりながら
廊下へと出ました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は引っ張って行かれた目的地である、トイレの壁に叩きつけられました
(と言ってもそんなに痛くは
なかったのですが)。
「アンタさ、
毎度毎度しつこいんだけど?
たかが風紀委員のくせして
私にいちいち指図してきやがって。
私のお兄ちゃんとお父さんに
いいつけようか?」
厩戸さんの家族はどうも
そういう系の人達らしく、
彼女はそこの幹部であるお兄さんと、
最高の地位であるお父さんに、
溺愛を受けているそうなのです。
なんでも彼女曰く、過去に、
彼女の非行を注意した先生が、
その翌日に行方不明となり、
その後山中で発見されたそうで・・・。
(ただ、前に仕事で見せてもらった、
警察の事件記録には、
過去30年ほどは
そんな記述はありませんでしたが)
でも、一般の人達には
勿論そんなことを確認する術はないので
怖がって迂闊に注意することもできず、
それをいいことに、
彼女は好き勝手に振舞っているのです。
「う、厩戸さん、
ちょっと落ち着いて・・・。」
と、私が彼女の腕に触れると、
すぐに「触んな!」と
はねのけられてしまいました。
厩戸さんは
「あのさあ、強がりとかいいから。
本当は怖くてたまらないんでしょ?
とんでもないことしちゃったね、
1週間後まで生きてられるかな?」
なんて言ってクスクス笑っています。
でも、申し訳ありませんが、
全然怖くないんです。
そんな怖い組織の構成員の集団を、
涼しい顔で
単身、そして素手で圧倒する叔父と、
そんなもの比べ物にならない強さの
異能力者を日夜相手取っている
叔母を持つ身としては、その話は
些かインパクトに欠けるわけで・・・。
そんな私のボヤッとした反応が、
さらに彼女の怒りに油を注いだらしく、
「おい、聞いてんのか!」
とさらに強く私を壁に押し付けました。
ううう、痛い~・・・。
いつの間にか横にいたピノが、
私に向かって叫びます。
『おい、葉月!僕と変われ!』
(貴方は出てきちゃダメ!
余計ややこしくなるでしょ!)
心の中でこんな会話をしている間も、
厩戸さんは
「謝ったら許してあげるよ?
ほら、謝りなさいよ。
あ・や・ま・れ!」
と畳み掛けてきます。
個室に入っていた3、4人の人達も、
みんな怯えたように
そそくさと出て行ってしまいました。
逃げないで助けてよ!
とは流石に言えません。
立場が逆なら、私だって
逃げずにいられるかどうか・・・。
しかし次の瞬間、
「葉月に何してるの!」
という声と共に、
なんと個室の中から怒りの形相の
みーちゃんが現れました。
「な、何よ!
アンタも私のお父さんの部下に、
人生終わらされたいの!?」
と私の襟を掴んだまま叫ぶ厩戸さんに、
みーちゃんはズカズカと近寄り、
腕を握りつぶすように掴むと、
「へ~、それは怖いわね。
でもその『お父さんの部下』って、
ここにはいないのよね?
帰宅部の貴方と運動部の私、
どっちが腕っ節強いかわからない?
手、離しなさい。」と凄みました。
みーちゃんは元々長身な上に、
流石はスポーツ選手と言うべきか、
つくべき筋肉はしっかりとついていて、
こんな風に凄まれると
滅茶苦茶怖いのです。
厩戸さんは物凄い形相で
私達を睨みつけた後、
舌打ちをして、去って行きました。
「葉月、大丈夫!?」
みーちゃんがまん丸な目を
大きく見開いて質問してきます。
「全然平気だよ。
助けてくれてどうもありがとうね。
それより、
巻き込んじゃって本当にごめん!
ど、どうしよう報復とか・・・。」
「私のことなんてどうだっていいの!
とにかく、怪我が無くてよかった。」
嗚呼、なんでこの子は
こうお人好しなんでしょう。
私はとんでもないことを
してしまったのに。
私はあまり身体強化は高くないので、
叔父さんにこのことを伝えて、
みーちゃんの周囲を
警戒してもらうしかなさそうです。
嗚呼、『おねいちゃん』がいればなあ。
教室に帰ると、
タクミ君が光の速さで近寄ってきて、
そのまま土下座しました。
硬直。
「し、斯波さん、本当にごめん!
俺があんなこと言わなければ、
こんなことには・・・!」
「た、タクミ君のせいじゃないよ!
私が変なこと言っただけだし、
それにお陰で
占い師の連絡先もわかったから!
お願いだから顔上げて!」
「「・・・え?
嘘でしょ?
あんなに怒ってたのに
教えてくれたの?」」
タクミ君は下から、
みーちゃんは横から、
驚愕の表情で私を見ました。
ピノが小声で『オイ』と言いながら、
私の足を小突きます。
・・・しまった。
「え、あ、いや、あの、えっと、
話せばわかるってことだよ!
あはははははは・・・。
ほ、ほらもうすぐ先生来るよ!
席に戻ろ!? ね!?」
私はなんとか誤魔化しました。
言えるわけないよね、
さっき厩戸さんに
腕を掴まれて引きずられてる時、
バレないように鹿撃帽を被って、
記憶を盗み見た、なんて。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
放課後、
私とみーちゃんが
教室から出ようとしたその時、
「あ、あのさ。」という声と共に、
タクミ君に呼び止められました。
「お詫び・・・。」
そう言って彼が突き出した
その手には、2枚のチケット(?)が
握られていました。
「こ、これ、
八十幸町にある、
カフェの無料券なんだ。」
たしかにチケットには、
『ドリンク無料券
カフェカメレオン』
の文字があります。
「か、母さんが買い物した時、
商店街の福引で当てたらしいんだけど、
俺、人と話すの苦手で、
そもそも外食とか殆ど行かないから、
あげる。」
『飲食店にすら入るの億劫って、
日常生活成り立つのかよ・・・。』
ごめんなさい、ピノに同意です。
「『カフェカメレオン』?
滅茶苦茶行きたかった所だ!」
みーちゃんは嬉しそうに
はしゃぎだしました。
「ここの食べ物、
そんなに美味しいの?」
私が聞くと、
「ううん。
滅茶苦茶可愛いロリケモミミの子が
働いてらしいからさ、
ちょっとモフモフしてみたいな、
って思って。」
「そんな猫カフェみたいな理由で、
女の子とモフモフする気なの!?
ダメだよ、法的にアウトだよ!」
「あとなんか、
熊に変身するって言う噂の
店員もいるみたいだからさ、
ちょっとモフモフしてみたいな、
と思って。」
「熊を!?
日本史上最悪の
獣害事件を起こした動物と、
モフモフする気なの!?
ダメだよ、安全面的にアウトだよ!」
「あとなんか、
『マイマイ』って呼ばれてる
店員がいるらしいからさ、
蝸牛にでも変身するのかなと思って。
なら、
ちょっとデュルデュルしてみたいな、
って思って。」
「デュルデュルって何!?
モフモフみたいなノリで言わないでよ!
ダメだよ、紙面的にアウトだよ!」
『そーだぞ!
そんなことキワドイこと書いてみろ!
作者の作家人生が終わりを告げるぞ、
色々な意味で!』
(バカって誰!?
っていうか頼むから黙っててよ!)
っていうか、
何ですかそのカフェ。
全員シンジュウの宿り主なの?
(結局、
「みーちゃんを行かせるのはヤバい。」
と思ったらしきタクミ君は、
「だれか誘って。」と
2枚とも私にくれました。
嬉しいような、嬉しくないような、
複雑だなあ・・・。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「それはそうとさ、葉月。
『占い師とあって占ってもらう方法。』
って、結局わかったの?」
みーちゃんは話題を変えました。
「あ、うん、わかったよ。
みーちゃん、電話でその人と話した時、
なんか変なこと聞かれなかった?」
「変なこと・・・?」
するとみーちゃんは思い出したように、
「あ、そうだ!聞かれた聞かれた!
『報酬は何をいただけますか?」って。
それで私、お金って言ったら、
『では今すぐ始めましょう。』
って言われて、
電話で占いを始められちゃって、
結局報酬もとりにこなかったよ。」
私はビシッ!とみーちゃんを
指さしました。
「そう!それだよ!
まあ、見てて。」
そういうと私は、
厩戸さんの記憶から読み取った
番号をダイヤルします。
3コールで、相手はでました。
「占いですか?」
電話の相手は、そう言いました。
「はい、そうです!
どうしても知りたいことがあって。」
私がそういうと、相手は、
「報酬は何をいただけますか?」
と続けました。
後ろで、みーちゃんが小声で、
「私の時と同じだ!」
と言っているのが聞こえます。
私はにっこりと笑って、
「n県産のお煎餅を!」と言いました。
後ろを振り向くと、
みーちゃん達はポカーンと
私を見ていました。
すると相手は、
「・・・わかりました。
では一度会って、お話しましょう。」
そう言ってボソボソと呟くように、
日時と場所を指定すると、
相手は電話を切りました。
電話が切れた瞬間、
「ええええええええええ!?」
みーちゃんの絶叫が響きわたりました。
「な、何で!?
私の時は電話だったのに!」
「・・・合言葉がいるんだよ。」
タクミ君が徐に呟きました。
タクミ君、正解です。
「多分厩戸さんは、
『合言葉』のことを
どこかで聞いて知ってたんだろうね。」
「葉月良かったじゃん!」
みーちゃんが喜んでくれますが、
私は浮かない顔をしていました。
「あれ、どうしたの?嬉しくないの?」
「い、いや、嬉しいんだけどね、
一つ問題があるんだ・・・
・・・指定された時間、
明日の午前2時なんだよね。」
明日も学校なのになあ・・・、
頑張って起きなくちゃ。
そんなことを思いながら、
私は家に帰るのでした。
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