シンジュウ

阿綱黒胡

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第1章

<54話>『捕食者』VS『韋駄天』

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僕達は山の近くまで来て、
その光景を見て足を止めた。

(・・・まあ、だろうなぁ。)

山の入り口という入り口は、
警察によって完璧に封鎖されていた。

「やれやれ、
我が国の警察の優秀さには、
脱帽せざるをえないですね。」
「言ってる場合かよ!
どうすんだこれ・・・。」

バイクを駐車場に停めながら、
羽柴さんがツッコむのをよそに、
僕は夏さんの方を向く。

「お願いできます?」
夏さんは思いっきり顔をしかめて、
「・・・いやだけど、
しょうがないわね。」

夏さんは僕と羽柴さんの襟首を掴む。

次の瞬間、
僕達は山の入り口付近にいた。

「・・・え!?」
羽柴さんが驚愕の表情をするが、
身体能力強化つきの加速能力だ、
これくらいは造作も無いだろう。

(シンジュウはわかっていたのか、
各々の宿り主にしがみついていた。)

ただ、
「「・・・なんか、気持ち悪りぃ。」」

・・・よっちゃった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「・・・で、どうするんですか?」
「2つに分かれる。

貴方達はこのまま宿舎に向かって、
生きている人達を救出して、
そのまま下山して。

私は、母体を叩く。」

僕はゆっくりとした声で、問う。

「・・・勝算は?」
すると夏さんはすました顔で、
「あるわよ。
だってやり方が素人すぎるもの。

それに、戦うのは私だけじゃ無いわ。
貴方達だって同じなのよ?

・・・こいつらとね!」
夏さんが藪の方を向く。
刹那、ガサガサと音が響き、そして、
藪から巨大な蛇のようなものが、
大口を開けて飛び出してきた。

瞬間、夏さんの手刀が炸裂し、
左側から黒い血飛沫が僕らにかかる。

「「うおおお!?」」
ワンテンポ遅れて、
僕らは声を上げ、そして、納得した。

「・・・これが、『捕食者』。」
「ご名答。」

僕の呟きに、夏さんが返す。

「よし、
じゃあ二手に分かれて・・・。」
『いや、
赤斗、君はついていけ。』

そう割り込んだのは、フセだった。
「あら、ワンちゃん、どうしたの?

私の腕を疑っているのなら、
とんだお門違いね。

あれくらいの大きさの相手なら、
もう数十体とやりあってるわよ。

その中には、もっと
反則級の加護を持つ奴もいたわ。

それに、シンジュウの力を奪う?
さっき襲ってきた触手、
正直欠伸してからでも反応できるほどの
速度だったのだけれど。

あんなので私を食べる?
わざわざ自分の加護の詳細を、
教えてくれたようなものじゃない。

こんなにぬるい相手、
今までいなかったわ。」

『そうだよ・・・。
それに、正直言って・・・。
素人に加勢されても邪魔なだけだし。』

・・・ものすげえ毒舌だな、この鷹。

しかしなんで僕を?

『・・・確かに、
あの善坊が警告するくらいだ、
君の腕は、
疑いようもないものなんだろう。

だけど、だからこそ妙なんだよ。

なんで相手は、

勝てないのなら、
葉月ちゃんとあの姉弟だけ『回収』して
とっととトンズラすればいい。

君、シンジュウを宿してる人には、
結構面識あるんだろう?
シンジュウの力で犯罪を起こすなら、
専門家にして始末家の、
君の存在を考慮しないなんて、
絶対にありえない。

アイツは、
絶対にとっているはずなんだ。

。』
「・・・『韋駄天』?
なにそれ?」
『・・・いや、なんでもない。
でも、とにかく、
1人で行くのはやめた方がいい。

それに、母体をどうにかしない限り、
どうせ救出は不可能だよ。

防衛なら、錬金術が使える
羽柴くんの方が向いてるだろ。』

夏さんは眉を潜めて、フセを睨む。
「・・・わかったわよ、
じゃあ貴方、サポートお願い。

でも、なんでそんなこといえるの?
貴方、
?」

フセは、答えなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
襲いくる蛇を斬りに斬りまくって、
(幸い蛇の攻撃速度や防御力は
大したことはなく、
身体能力が上がっている僕らなら、
慣れてしまえは、
処理するのは割と簡単だった。)
僕と夏さんは、
広場近くの木の影にいた。

夏さん達と話してた時から
覚悟はしていたけれど、
周りにあるのは、
「・・うう。」

普通なら恐怖で動けなくなるけれど、
今はそれどころじゃない。

「赤斗殿!
気をしっかりお持ちくだされ!!」

甚右衛門の声で正気を取り戻し、
無理矢理気にしないようにする。

羽柴さんと宿舎近くで別れて、
(錬金術で作り出したかまくらで
待ち伏せを決め込むらしいので、
まあ、
簡単にはやられることはないだろう)
僕達は木陰に身を隠し、
相手の様子を伺っていた。

夏さんが木の中に一か所だけある
袋のようなところを指差して、

「あの中に、
宿り主とシンジュウが入ってるみたい。

合図したら飛び出して。
貴方は少しでも触手を引き付けて。
その隙に、
私が木を駆け上がって仕留める。」

僕が頷いたその時、

『赤斗、万年筆持ってるよな?』

フセがやおら口を開いた。
「この緊迫した状況で、
何訳分かんないこと聞いてんだよ!」

僕は声を沈めて静かに怒る。
『持ってるよな?』

本当なんなんだコイツは!
「持ってるよ!
一体なんだって
そんなにこれにこだわるのさ!?」

フセは、少し言葉に詰まるように、

『最後の希望だからさ。
ただし、

。』

・・・はぁ?

僕が何か反論してやろうとしたが、

「3秒後に飛び出して。」

その発言で、それはできなくなった。
仕方なく身構える。

「3・・・2・・・1・・・。」

「よオ!ヨく来たナ!」
いきなり、そんな声が聞こえた。
と同時に、
黒い木の中から這い出るように、
一人の男が現れた。
どうやらバレていたらしい。

仮面をつけていて顔はわからないけど、
見た目感じまだ子供、
それも、僕と同じ中学生くらいだろう。
そして、その頭には、巨大な鼠。

・・・あれが、アイツのシンジュウか。

「・・・アンタが、
この大食らいの正体?
随分と子供みたいだけれど。」
夏さんの問いに、仮面は笑って返す。
「おいオイ、
大食らイはネエだろウ。
この世の全テノ生物の頂点に君臨スル、
『捕食者』とヨんでいたダコウか。」

「合図するまで隠れてて。」
と僕に一言呟いた後、
夏さんは臆することなく前に出る。

合図の通り、そこに留まる。
いや、留まるしかなかった。

『・・・赤斗?』
木の幹にしがみつくようにして、
震えている僕に、フセが声をかける。

『大丈夫か?
怖いんだろ?』
「そりゃ、怖いよ。
でも、なんというか、
この恐怖は・・・。」

さっきまでは、
ここまで恐怖は感じなかった。
だけど、
アイツの、あの仮面の声を聞いた瞬間、
僕の身体は、急に震えて
動かなくなってしまったのだ。

理由は勿論、恐怖だ。
それはわかってる。

だけど、この恐怖は、
死体が周りにあるからとか、
殺人鬼が目の前にいるからとか、
そういう突発的なものじゃない。

刻み込まれいたものというか、
知っているから故の恐怖というか、
種類分けするなら・・・



僕はあの仮面のアイツを、
知っているのか?

そんな僕を見ることもなく、
夏さんは口を開く。
「あらそう、まあ、どうでもいいわ。
子供だろうが大人だろうが、
貴方は、

貴方の頭を砕かせてもらうわ。」

上空で、あの鷹が旋回を始める。

すると、鼠がねっとりと喋り出した。

『いいのう、いいのう、
命の奪い合いというのは。

儂ゃ好きじゃぞ、
そういう強気な女子の顔が
絶望で歪むのがのう。』
そしてケラケラと笑う。

夏さんは顔をしかめて、
「舐められたものね、
わざわざ出てくるなんて。」
「あア、お前にはハもう、
勝ったモ同然だかラな。」

次の瞬間、
木から猛スピードで放たれた触手が、
夏さんの居た場所を直撃した。

もうもうとまう砂埃が晴れると、
そこには夏さんはいなかった。

仮面がやおら空を見上げる。
そのはるか上には、
足を振り上げた夏さん。

「閻魔流・『刀輪』!」
夏さんの脚刀が、
仮面の脳天目掛けて振り下ろされる。

「へえ、一瞬でアソこまで、やるネ。」
しかし、その攻撃は、
触手が盾となり防がれる。
触手が砕け、飛び散る肉片。

夏さんは舌打ちした後、
猛烈な速さで突きを連打する。
仮面は難なく対応する。

「ノロすぎル。
欠伸しナガらでモいなせるンだが。」
「でしょうね。
だってこれ、ただの突きだもの。

閻魔流・『闇冥あんみょう』。」

夏さんは一瞬後ろに下がり、
力を貯めるように
上げた右足を縮めると、
それをバネのようにして
渾身の力で前に突き出した。

その蹴りは、仮面を一気にぶっ飛ばし、
後ろの木の幹に叩きつける。

仮面からは、呻き声が漏れる。
「ッテて、何すンダコノやろウ!」
その怒鳴り声と共に、
木から放たれた触手は、
再度夏さんの方を向く。

「なら、コれならどウダ!?」
夏さんの方を向いた無数の口が、
その掛け声と共に、
一斉に
「避けルノナら避けレばいいさ、
山火事ヲ起こしたイならな。」

あんなことまでできるのか!?

一直線で夏さんの方へ
向かっていく炎に、
僕は思わず声を出しそうになる。

しかし、夏さんは
一切動揺することなく、
トン、と地面を軽く蹴り、
右手を軸に片手逆立ち状態になり、
その両足を開く。

「閻魔流・『火雲霧』。」
そして夏さんは、
猛烈なスピードで回り始めた。

加速の力を使っているのも
あるだろうけれど、
そのスピードは、
火を巻き上げて、
散らすほどのものだった。

「チッ!!」
仮面は炎の放射を止めるが、その隙は、
夏さんが仮面に接近するのに、
充分すぎる時間だった。

軌道は読まれていたらしく、
木から伸びてきた数十もの触手が、
不意に夏さんの前に立ち塞がり、
その牙だらけの口を広げ、
夏さんに突進していく。

夏さんはそれをチラリと見てから、

「閻魔流・『多苦』。」
夏さんが拳の連打を放つ。
ただ、違うのは、
それがさっきの突きとは、
比べものにならない速度だということ。

さっきのラッシュが
拳法ではないというのは、本当らしい。

その大口は
片っ端からちぎれ飛んでいくが、
どうやらあの触手は
攻撃用ではなく
盾がわりの防御用らしく、
向こうは対して焦ってもいない。

おそらくこの隙に、
先刻やられた攻撃用の触手を、
生産し直す算段なのだろう。

が、
「・・・加速。」

僕が気がついたときには、
夏さんは既に
仮面の後ろに回り込んでいた。

「なっ、いツノ間に・・・!?」
「私にあんな大口叩くには、
貴方は、。」
夏さんの嘲笑に、
仮面は喉が
裂けるのではというほどの声で、
「ホザけぇ!!」
の一言と共に、
今度は自身の背中から、
3本のあの捕食の触手を繰り出した。

夏さんは少しだけ驚いた顔になり、
「やっば!!」
後ろへと地面を蹴り、身体を捻る。

しかし、距離が近すぎた。
触手のうちの1本の刃のような牙が、
夏さんの肩に食い込む。

「よっシゃあ!!」
仮面が嬉しそうに叫び、
夏さんの顔が歪む。

が、すぐに、
それは苦しそうな笑顔に変わった。

「・・・バカね、わざわざ自分から、
。」

その時、仮面の頭の鼠が叫んだ。
『しまった!』

「閻魔流・凍型こごえがた
第二奥義・尼刺部陀にらぶだ!」

瞬間、夏さんの、
銃弾のような蹴突が、
仮面の鳩尾に炸裂する。

しかし、何故か今度は吹っ飛ばない。
かわりに、

「・・・ア、が・・・!!」

仮面の全身が、


「私の尼刺部陀を受けるとね、


じゃあね、バイバイ。」

その言葉が終わる前に、
まるでガラス細工のように粉砕された
仮面の身体は、
パズルのピースの如く
細分化されて地面に崩れ落ち、
唯一残った頭だけが、
ゴロリと地面に転がった。

「や、やった・・・!!」

僕は思わず声を上げる。
ていうか、あの人強すぎだろ!!

「よ、よし羽柴さんに・・・。
あ、忘れてた。」

僕は画面が黒く染まった
携帯を見ながら呟く。

何故かさっきから
携帯電話がバイブしていたが、
見つかったら困るので、
僕は電源を切ってしまっていた。

当の本人は、
まだ目を瞑って棒立ちしている。

「すいません、
もう出て行ってい・・・。」
『待て、赤斗!』

いきなりフセに怒鳴られ、
僕は脚を止めた。

「んだよフセ。」
『妙だ・・・。』
「妙でござる・・・。」

フセと甚右衛門が呟く。

先に続けたのは甚右衛門だった。

「あの木、
1本だけ使っていない触手が、
あったのでござる。

何故あの1つだけが、
微動だにしないのでござろう・・・?」
「・・・たまたまじゃねえの?」

その時、フセが口を開いた。

『どうして、
!?

警戒しろ、
!』

その時、木から夏さんに向けて、
弾丸のように触手が発射された。

避ける夏さん。
そして歯をむき出すしながら呟く。

「・・・ああもう。
やっぱりアイツ、
。」
「その通リ。」

その声と共に、フセの言葉通り、
ジャリジャリと音を立てながら、
さっきの肉片が集まっていく。

そしてそれは、
仮面をつけたままの生首を中心に、
再度人間の形に構成された。

「こノ通り、
俺ハ『超再生』の特性モちなンデね。」
仮面が楽しそうにそう言い、
両手をヒラヒラとからかう様に振る。

・・・反則だろ!

夏さんが大きく溜息をつく。
「まあ、
そんなこったろうと思ったわ。」

触手の攻撃。
夏さんは顔色一つ変えずに
仮面に接近する。

「オイオイオい!!」

仮面が拳の連打を放つ。
夏さんはそれを全て避け、
「セイ!!」

音速レベルの横蹴りをくらわせた。
腕でガードし、吹っ飛ぶ仮面。

「で、あと何回貴方をいいの?

5回、10回?

限度があるでしょ?
『体質』じゃなくて
『能力』なんだから。

貴方の触手、
遠距離から攻撃するには遅すぎるし、
私相手に白兵戦なんて論外でしょ?

ただの消耗戦じゃない。」

すると、
頭の鼠が掠れた声でいう。
『確かにその通りじゃ、お嬢ちゃん。

だけど、
お嬢ちゃんのは、
ワシらの周りじゃ有名でなぁ。

というわけで、ちいとばかし
『対策』をとらせてもらった。』

夏さんが怪訝な顔をする。
「対策?」
仮面は、鼻で笑ってから、言った。

「流石ハ専門家。
触手にカミつかれタ時点デ、
5。」

なんで、そんなこと言えるんだ?
読心術か何かでも・・・。

『いやあ、
流石に本家のように、
記憶とまではいかなんだが、
実に便利な力じゃのう、
この子の『加護』は。』

そして、木からのびる
無数の触手の中の1つが、
甚右衛門が指摘した触手が、
口を開ける。

その牙に囲まれた
しめった暗い空間の中にいたのは、



「・・・え!?」
僕は思わず驚愕の声を漏らす。
そしてそれは、夏さんも同じだった。

「なっ・・・どうして・・・。」
『夏!駄目、止まっちゃ!』

鷹が叫ぶが、もう遅い。

夏さんが動揺で停止していた時間は、
触手の牙が
夏さんの右足に食らいつくのに、
充分な時間だった。

「ガ・・・!!」

夏さんは我に返り、手刀を振り上げる。
だけどその前に、
触手はその口を思い切り捻る。

太腿が食いえぐられ、
悲鳴と共に赤黒い血飛沫が飛び散った。





















































































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