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第1章
<70話>ゲームオーバー
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斯波を突き放す様にして公園から離れた後、僕の心には雲がかかった様だった。
『赤斗、君は天狗になりすぎだ。
そんなんじゃ、いつか痛い目を見る。』
フセの忠告が、僕の心に突き刺さる。
心ではわかっている。でも、
「・・・うるさい。
僕は、変わったんだ。
もう昔の何もできない僕とは違うんだ。」
それを素直に認められるほど、僕は成長していなかった。
『君は、怖いんじゃないのかい?
自分が唯一肯定できる、シンジュウ能力者のアイデンティティを失うのが。』
「・・・違う。」
僕は否定する。自分の未熟さを。
『赤斗、君はまだ子供なんだ。いや、年齢はこの際どうだっていい。
そんな絶対的な力なんて、求めなくていい。1人で歩こうとしなくていい。
みんなに助けてもらって、それで前に進めばいいじゃないか。』
「みんなに助けてもらう?
北畠姉弟も、夏さんを倒した小早川も、人外のバケモノ達も、暗殺者の上杉も、みんな僕が倒したじゃないか!
それなのにまだ認めてくれないってのか!」
僕が怒鳴ると、フセは驚愕の表情で後ずさった。
僕は薄く笑いながら言った。
「思考読めるんならわかるだろ?
何もなかったんだよ、僕には!
もうこれしかないんだよ、自分を認められるのは!」
『違う、君は・・・!』
フセが何か言いかけた時、
「た、助けてぇぇぇぇぇ!!」
物凄い悲鳴と共に、突如として、脇道から1人の少年が飛び出してきた。
面食らっている僕に、彼は噛み付く様に、
「や、やっと逃げ出せた!
助けて、お願いします!」
僕にすがりつく少年の後ろで、何かが動く。
フードの様なものをかぶっていて顔はわからないが、いかにも怪しい。
そいつは僕に気がつくと、すぐに細い路地の奥へ走っていく。
「まて!!」
僕は身体能力を全力で上げて追いかける。
角を曲り、室外機を飛び越え、パイプを踏み
僕達とフードの鬼ごっこは続く。
そして、ある角を曲がったところで、
『「・・・!?」』
突然開けた場所にでて、僕達は言葉を失った。
その場所には、夥しい数の絵画が、所狭しと置かれていた。
そして、額縁の中で微動だにせずこちらに視線を向けているのは、捜索願が出されている人々だったのだ。
その不気味な光景に、僕が圧倒されていると
突如、僕の真正面に巨大な額縁が落ちてきた。
『赤斗、逃げるぞ!』
フセの声で我に帰った僕は、『世離』を引きずり出しつつもと来た道を引き返そうとした時、何かに躓いた。
「・・・え?」
額縁の中で目を閉じているその顔は、紛れもなく、武蔵先輩だった。
「どうなってんだよ!?」
僕がそう叫んだ時、
「・・・義経!?」
後ろからした声に僕が振り返ると、そこには怯えた様子の新井がいた。
「・・・き、来てくれたの!?
武蔵先輩と2人で調査してたら、いきなり誘拐されて・・・。」
そんなことを言いつつ僕に抱きついてくる。
「誘拐!?
・・・なんでもいいから、動くなよ。」
額縁の中に幽閉するのが、犯人の『加護』らしい。
落ちてきた空の額縁は、さしずめ警告か。
『・・・どういう発動条件だ!?
それさえわかれば・・・!』
フセが苦虫を噛み潰したように唸るが、下手に動けば確実にやられる。
落ち着け、落ち着け、今までもちゃんと勝ったじゃないか、今回もきっと上手くいく。
自己暗示をかける僕を見ながら、新井は
「・・・あ、ありがとう赤斗。でも、その日本刀は・・・?」
「説明は後でするから!
とにかくゆっくり下がるぞ!」
僕は刀を構えつつ、ジリジリと後ろに下がる。
その時、
「義経、アレ!」
僕が彼女の指差した方を見上げると、そこには、1匹の蝙蝠が飛んでいる。
その瞬間、フセがハッとした表情になり、
『赤斗、その子から離れろ!
その子は敵だ!あの蝙蝠は、『創造主』側のシンジュウだ!』
その声が届いた時、既に僕とフセは凄まじい力で額縁の中に吸い込まれ始めていた。
「あはははは!
餌を撒いたらやっぱりきた!」
哄笑する新井に、僕は必死に抗いながら叫ぶ。
「お前、新井じゃないな!
本物の新井はどこだ!」
「新井は、ワタシ~♪」
「嘘だ!」
僕は力の限り叫ぶ。
「集まった時、お前の周りにシンジュウはいなかった!フセも気配を感じていない!」
新井は吹き出した。
「馬鹿だよね~。
そんなことを、あの人が対策しないとでも?
あの人がこの力を与えてくれた日から、毎日が楽しくて楽しくてしょうがないの!
少しくらい恩返ししなくっちゃね。
とりあえず、『旅人』は捕獲成功!これを餌にして、『賢者』も釣ろっと♪」
「・・・あ、ああ・・・。」
力が抜けていく。フセも完全に気絶している。
僕はそのまま、意識を失った。
『赤斗、君は天狗になりすぎだ。
そんなんじゃ、いつか痛い目を見る。』
フセの忠告が、僕の心に突き刺さる。
心ではわかっている。でも、
「・・・うるさい。
僕は、変わったんだ。
もう昔の何もできない僕とは違うんだ。」
それを素直に認められるほど、僕は成長していなかった。
『君は、怖いんじゃないのかい?
自分が唯一肯定できる、シンジュウ能力者のアイデンティティを失うのが。』
「・・・違う。」
僕は否定する。自分の未熟さを。
『赤斗、君はまだ子供なんだ。いや、年齢はこの際どうだっていい。
そんな絶対的な力なんて、求めなくていい。1人で歩こうとしなくていい。
みんなに助けてもらって、それで前に進めばいいじゃないか。』
「みんなに助けてもらう?
北畠姉弟も、夏さんを倒した小早川も、人外のバケモノ達も、暗殺者の上杉も、みんな僕が倒したじゃないか!
それなのにまだ認めてくれないってのか!」
僕が怒鳴ると、フセは驚愕の表情で後ずさった。
僕は薄く笑いながら言った。
「思考読めるんならわかるだろ?
何もなかったんだよ、僕には!
もうこれしかないんだよ、自分を認められるのは!」
『違う、君は・・・!』
フセが何か言いかけた時、
「た、助けてぇぇぇぇぇ!!」
物凄い悲鳴と共に、突如として、脇道から1人の少年が飛び出してきた。
面食らっている僕に、彼は噛み付く様に、
「や、やっと逃げ出せた!
助けて、お願いします!」
僕にすがりつく少年の後ろで、何かが動く。
フードの様なものをかぶっていて顔はわからないが、いかにも怪しい。
そいつは僕に気がつくと、すぐに細い路地の奥へ走っていく。
「まて!!」
僕は身体能力を全力で上げて追いかける。
角を曲り、室外機を飛び越え、パイプを踏み
僕達とフードの鬼ごっこは続く。
そして、ある角を曲がったところで、
『「・・・!?」』
突然開けた場所にでて、僕達は言葉を失った。
その場所には、夥しい数の絵画が、所狭しと置かれていた。
そして、額縁の中で微動だにせずこちらに視線を向けているのは、捜索願が出されている人々だったのだ。
その不気味な光景に、僕が圧倒されていると
突如、僕の真正面に巨大な額縁が落ちてきた。
『赤斗、逃げるぞ!』
フセの声で我に帰った僕は、『世離』を引きずり出しつつもと来た道を引き返そうとした時、何かに躓いた。
「・・・え?」
額縁の中で目を閉じているその顔は、紛れもなく、武蔵先輩だった。
「どうなってんだよ!?」
僕がそう叫んだ時、
「・・・義経!?」
後ろからした声に僕が振り返ると、そこには怯えた様子の新井がいた。
「・・・き、来てくれたの!?
武蔵先輩と2人で調査してたら、いきなり誘拐されて・・・。」
そんなことを言いつつ僕に抱きついてくる。
「誘拐!?
・・・なんでもいいから、動くなよ。」
額縁の中に幽閉するのが、犯人の『加護』らしい。
落ちてきた空の額縁は、さしずめ警告か。
『・・・どういう発動条件だ!?
それさえわかれば・・・!』
フセが苦虫を噛み潰したように唸るが、下手に動けば確実にやられる。
落ち着け、落ち着け、今までもちゃんと勝ったじゃないか、今回もきっと上手くいく。
自己暗示をかける僕を見ながら、新井は
「・・・あ、ありがとう赤斗。でも、その日本刀は・・・?」
「説明は後でするから!
とにかくゆっくり下がるぞ!」
僕は刀を構えつつ、ジリジリと後ろに下がる。
その時、
「義経、アレ!」
僕が彼女の指差した方を見上げると、そこには、1匹の蝙蝠が飛んでいる。
その瞬間、フセがハッとした表情になり、
『赤斗、その子から離れろ!
その子は敵だ!あの蝙蝠は、『創造主』側のシンジュウだ!』
その声が届いた時、既に僕とフセは凄まじい力で額縁の中に吸い込まれ始めていた。
「あはははは!
餌を撒いたらやっぱりきた!」
哄笑する新井に、僕は必死に抗いながら叫ぶ。
「お前、新井じゃないな!
本物の新井はどこだ!」
「新井は、ワタシ~♪」
「嘘だ!」
僕は力の限り叫ぶ。
「集まった時、お前の周りにシンジュウはいなかった!フセも気配を感じていない!」
新井は吹き出した。
「馬鹿だよね~。
そんなことを、あの人が対策しないとでも?
あの人がこの力を与えてくれた日から、毎日が楽しくて楽しくてしょうがないの!
少しくらい恩返ししなくっちゃね。
とりあえず、『旅人』は捕獲成功!これを餌にして、『賢者』も釣ろっと♪」
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力が抜けていく。フセも完全に気絶している。
僕はそのまま、意識を失った。
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