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第二章
第75話 異世界の孤児たちの実情
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「タリクくん。よかったら軽く何か食べていかない? お腹空いてるでしょ」
「え、なんだよ急に……まあ、腹はへってるけどさ。でも、いいのか?」
「もちろん。ちょうどおやつにしようと思ってたんだ。せっかくだから一緒に食べよう」
言うまでもなく、おやつというのは方便だ。遠慮してほしくないからね。しかしタリクくんは、まさかのお誘いに戸惑っている様子。
一方、抱っこしているルルは、おやつと聞いた途端にフンフン鼻を鳴らし出した。泣いたり笑ったり興奮したり、ご機嫌がコロコロ変わるところがなんとも可愛らしい。
エマとリリも、俺のズボンをグイグイして『はやくたべたい!』と大騒ぎ。土埃を払ったサリアさんも、「確かに小腹が空いたな!」とブンブン尻尾を揺らしている。
我が家ではお馴染みの反応だけど……キミたち、干し柿とオムライスを平らげてから、まだそんなに時間も経ってないでしょうに。元気がないよりはよっぽどいいけど、食べ過ぎには気をつけましょうね。
とにかく、タリクくんを連れて廃聖堂の中へ。
そしてフロアへ足を踏み入れた途端、俺は思わず驚きの声を上げてしまった。
「おお、天井が塞がれている……!」
異世界の高い空が丸見えになっていた天井部の穴が、魔石灰で隙間なく塞がれていた。ドワーフ兄弟の素晴らしい手際である。
俺のズボンを掴んでついてきていたエマとリリも、顔を上に向けながら『ほわ~!』と驚いている。ゆらゆら揺れる尻尾が可愛らしい。抱っこされたままのルルは……興味がないらしく、俺の頬を引っ張ってきゃっきゃと喜んでいる。痛くしないでね。
それにしても、少し残念だ。
欠けた屋根から降り注ぐ陽光を受け、淡い光を湛える純白の女神像――うちの獣耳幼女たちと出会った日に見た神秘的なあの光景は、今もなお鮮明なまま俺の記憶に刻まれている。
しかしこうして屋根が修繕された以上、もう二度と拝むことはできないのかもしれない……いや、そのうち天窓とか設置しちゃおうかな。
窓越しの明かりだけでは、フロアがちょっと暗いのだ。どうせリフォームするなら、自然光をより多く取り入れた素敵空間を演出したい。
「ここに座って少し待っていてくれるかな。すぐ食べ物を持ってくるから。サリアさん、ちょっと外すから頼むね」
少し警戒した様子のタリクくんを空いている椅子に座らせ、俺は軽食を用意すべく我が家へと引き返す。その間、お相手はサリアさんにお願いした。フィーナさんたちもいるから問題ないだろう。
獣耳幼女たちも残ってもらおうと思ったが、くっついて離れたがらなかったので一緒に行動する。抱っこされたままのルルだけでなく、エマとリリも孤児院時代を思い出して少し動揺しているのかも。
三人を連れ、俺はそのまま台所へ向かう。
ルルをおろし、調理器具を準備しながらメニューを考える……そういえば、食パンがあまっていたな。耳を落として、サンドイッチを作ろう。
具材はハムやチーズ、それにいちごジャムや卵など、バリエーションを複数用意。口に合うかわからなかったので、マヨネーズや胡椒など特殊な調味料は不使用とした。
「たべたい! ねぇサクタロー、リリあじみする!」
「わ、わたしも、あじみしたい!」
「んっ、あじみ!」
リリ、エマ、ルル。揃って小さく飛び跳ねておねだりしてくる。もしかしてキミたち、本当はつまみ食い目的でついてきたのかな?
可愛いからって、何でもかんでも甘やかすのは良くないんだけど……でもまあ、今日くらいはいいよね、の精神である。タリクくんと会って、ちょっと情緒不安定みたいだからね。メンタルケアということで。
「おいしい! マヨネーズはない?」
「マヨネーズはまた今度ね」
三人にそれぞれ選んだサンドイッチを手渡すと、すぐに頬張りだす。しかしリリは、味に物足りなさを覚えたようだ。サリアさんほどではないが、すっかりマヨネーズの虜である。
さて、他にはクッキーなどのお菓子を準備しよう。フィーナさんたちのおやつだ。
完成した料理のお皿を抱え、廃聖堂へ戻る。一度では運びきれず、みんなで何度か往復することになった。
ガーデンチェアに腰掛けるタリクくんは、お隣のフィーナさんに何やら尋ねられている様子。ドワーフ兄弟も戻ってきており、天井の装飾について議論中だった。
「さあ、召し上がれ」
「え、でもこれ……貴族が食べる白パンじゃないのか? 俺なんかがいいの?」
タリクくんの前に置いた皿を手の平で示しつつ、食べるよう促す。
彼は遠慮しているようだったけど、何度か勧めるとようやくサンドイッチに手を伸ばしてくれた。
さらにもぐもぐと口を動かし、「う、うまいっ!?」と目を丸くする。お気に召していただければ幸いです。
他のみんなも、それぞれお菓子に手を付けてブレイクタイムに突入だ。
俺はタリクくんの前の席に腰掛ける。よじ登ってきたルルを膝の上に収め、エマとリリを左右の椅子に座らせて頭を撫でる。獣耳がくすぐったそうに揺れた。
「ところで、タリクくんはどんな風に生活しているのかな? 食べながらでいいから、聞かせてくれると嬉しんだけど」
「どうって、別に普通だけど……」
獣耳幼女たちにもサンドイッチを一つずつ手渡しながら、「ぜひお願い」と微笑みかける。すると彼は、ぽつりぽつりと自身の暮らしぶりを語りだす。
俺は適度に相槌を打ちつつ、その内容を頭の中でまとめていく――最近は賃仕事で日々の糧を得ているそうだ。外壁の修繕や、街の外のゴミ捨て場の拡張工事に回されることが多いらしい。
日雇いの枠がいっぱいなときは、探索者ギルドへ向かって荷物持ちの依頼を受ける。ただし、この仕事は迷宮に潜ることが前提なので危険が伴う。タリクくんとしても、あまり気が進まないそうだ。
他には、運が良ければ商会などの小間使いの仕事が舞い込む。割が良く、非常に人気なのだとか。
いずれにせよ、日に銅貨数枚の稼ぎだとか。
寝泊まりは、基本的にスラムの空き家。仲間内で寄り集まり、順番に夜の見張りをこなす。
当然、暮らし向きは楽ではない。過酷な環境に耐えかねて街で盗みに走る者や、スラムのフラーテル(犯罪組織)の小間使いとして裏稼業に関わる者もいる。
タリクくんが廃聖堂にしばらく顔を出さなかったのは、前に『破落戸がここで騒動を起こした』と噂を聞き、警戒していたから。
しかし流石にエマたちが心配になったのと、エルフやドワーフが頻繁に出入りするのを見て覚悟を決め、何が起こっているのか確かめようとした。そこで俺たちと出くわしたわけだ。
「なるほど。教えてくれてありがとう……お腹はどう? 少しは足しになったかな」
「うん、大丈夫。美味しくて貴族にでもなったかと思ったよ」
タリクくんの話に一区切りつくとほぼ同時に、テーブルの上の皿が空になる。
気づけばルルは俺の胸元に顔を埋め、エマとリリは左右からもたれかかって沈んだ表情を浮かべていた。三人とも、小さな手でぎゅっと服を掴んで離さない。
孤児院にいた子の名前がいくつか出てきたので、やはり気持ちが乱れているようだ。困窮の経験は幼い心に傷を刻み、些細なことがきっかけでこうして不安が鎌首をもたげる。
伝わる体温が少しでも癒しになれば、と俺は両腕でぐっと三人を抱え込む。
「聖堂にイタズラしてるわけじゃないってわかったし……俺、そろそろ行くよ。食べ物ありがとう」
しゅんとするエマたちを気にかけてか、タリクくんはそそくさと席を立とうとする。慌てて「よかったら聖堂に泊まる?」と俺は尋ねた。
元は孤児たちの生活の拠点でもあったのだ。虹色ゲートでセキュリティも万全だし、フロアで寝泊まりするくらいなら問題ない。
だが、タリクくんは首を横に振る。
控えめな笑みに添えて、その理由が返ってくる。
「いや、いいよ。他の仲間が待ってるから。それに、エマたちが無事なのもわかったし。三人とも、ずいぶんいい人にもらわれたな」
「違うよ。俺がこの子たちのお世話をさせてもらってるんだ」
「そっか。なあ、こいつらを頼むな……俺たちは、孤児院がなくなって何もできなかったから」
孤児院が突然取り壊され、自分の食い扶持を確保するだけで精一杯だったのだろう……考えなくてもわかる。それでも、エマたちを心配してくれていた。
きっと悪い子じゃない。どれだけ生活が苦しくても、道を踏み外していないのが何よりの証明だ。懸命にこの世界を生き抜いている。
そんな彼を放っては置けず、俺は自然とこう声をかけていた。
「タリクくん、何かあったら遠慮なく頼ってね。キミはこの子たちの兄みたいなものだから、俺にとっても他人じゃないんだよ」
「わかった。おじさん、本当にいい人だな」
「お兄さん、ね……?」
「わ、わかった。じゃあ、俺いくよ」
言って、今度こそ席を立つタリクくん。
俺は少し食べ物を持たせようと思ったが、隣のテーブルに座っていたサリアさんに止められた。
この街のスラムでは、たった一欠片のパンですら人が死ぬには十分な理由となるらしい。
ますます考えさせられてしまう。いったい何が自分にできるか――遠ざかるボロの服を着た獣人の少年の背を眺めていると、どうにも胸がざわつく。
獣耳幼女たちの頭を順番に撫でて心を落ち着かせつつ、ぼんやりと思案するのだった。
「え、なんだよ急に……まあ、腹はへってるけどさ。でも、いいのか?」
「もちろん。ちょうどおやつにしようと思ってたんだ。せっかくだから一緒に食べよう」
言うまでもなく、おやつというのは方便だ。遠慮してほしくないからね。しかしタリクくんは、まさかのお誘いに戸惑っている様子。
一方、抱っこしているルルは、おやつと聞いた途端にフンフン鼻を鳴らし出した。泣いたり笑ったり興奮したり、ご機嫌がコロコロ変わるところがなんとも可愛らしい。
エマとリリも、俺のズボンをグイグイして『はやくたべたい!』と大騒ぎ。土埃を払ったサリアさんも、「確かに小腹が空いたな!」とブンブン尻尾を揺らしている。
我が家ではお馴染みの反応だけど……キミたち、干し柿とオムライスを平らげてから、まだそんなに時間も経ってないでしょうに。元気がないよりはよっぽどいいけど、食べ過ぎには気をつけましょうね。
とにかく、タリクくんを連れて廃聖堂の中へ。
そしてフロアへ足を踏み入れた途端、俺は思わず驚きの声を上げてしまった。
「おお、天井が塞がれている……!」
異世界の高い空が丸見えになっていた天井部の穴が、魔石灰で隙間なく塞がれていた。ドワーフ兄弟の素晴らしい手際である。
俺のズボンを掴んでついてきていたエマとリリも、顔を上に向けながら『ほわ~!』と驚いている。ゆらゆら揺れる尻尾が可愛らしい。抱っこされたままのルルは……興味がないらしく、俺の頬を引っ張ってきゃっきゃと喜んでいる。痛くしないでね。
それにしても、少し残念だ。
欠けた屋根から降り注ぐ陽光を受け、淡い光を湛える純白の女神像――うちの獣耳幼女たちと出会った日に見た神秘的なあの光景は、今もなお鮮明なまま俺の記憶に刻まれている。
しかしこうして屋根が修繕された以上、もう二度と拝むことはできないのかもしれない……いや、そのうち天窓とか設置しちゃおうかな。
窓越しの明かりだけでは、フロアがちょっと暗いのだ。どうせリフォームするなら、自然光をより多く取り入れた素敵空間を演出したい。
「ここに座って少し待っていてくれるかな。すぐ食べ物を持ってくるから。サリアさん、ちょっと外すから頼むね」
少し警戒した様子のタリクくんを空いている椅子に座らせ、俺は軽食を用意すべく我が家へと引き返す。その間、お相手はサリアさんにお願いした。フィーナさんたちもいるから問題ないだろう。
獣耳幼女たちも残ってもらおうと思ったが、くっついて離れたがらなかったので一緒に行動する。抱っこされたままのルルだけでなく、エマとリリも孤児院時代を思い出して少し動揺しているのかも。
三人を連れ、俺はそのまま台所へ向かう。
ルルをおろし、調理器具を準備しながらメニューを考える……そういえば、食パンがあまっていたな。耳を落として、サンドイッチを作ろう。
具材はハムやチーズ、それにいちごジャムや卵など、バリエーションを複数用意。口に合うかわからなかったので、マヨネーズや胡椒など特殊な調味料は不使用とした。
「たべたい! ねぇサクタロー、リリあじみする!」
「わ、わたしも、あじみしたい!」
「んっ、あじみ!」
リリ、エマ、ルル。揃って小さく飛び跳ねておねだりしてくる。もしかしてキミたち、本当はつまみ食い目的でついてきたのかな?
可愛いからって、何でもかんでも甘やかすのは良くないんだけど……でもまあ、今日くらいはいいよね、の精神である。タリクくんと会って、ちょっと情緒不安定みたいだからね。メンタルケアということで。
「おいしい! マヨネーズはない?」
「マヨネーズはまた今度ね」
三人にそれぞれ選んだサンドイッチを手渡すと、すぐに頬張りだす。しかしリリは、味に物足りなさを覚えたようだ。サリアさんほどではないが、すっかりマヨネーズの虜である。
さて、他にはクッキーなどのお菓子を準備しよう。フィーナさんたちのおやつだ。
完成した料理のお皿を抱え、廃聖堂へ戻る。一度では運びきれず、みんなで何度か往復することになった。
ガーデンチェアに腰掛けるタリクくんは、お隣のフィーナさんに何やら尋ねられている様子。ドワーフ兄弟も戻ってきており、天井の装飾について議論中だった。
「さあ、召し上がれ」
「え、でもこれ……貴族が食べる白パンじゃないのか? 俺なんかがいいの?」
タリクくんの前に置いた皿を手の平で示しつつ、食べるよう促す。
彼は遠慮しているようだったけど、何度か勧めるとようやくサンドイッチに手を伸ばしてくれた。
さらにもぐもぐと口を動かし、「う、うまいっ!?」と目を丸くする。お気に召していただければ幸いです。
他のみんなも、それぞれお菓子に手を付けてブレイクタイムに突入だ。
俺はタリクくんの前の席に腰掛ける。よじ登ってきたルルを膝の上に収め、エマとリリを左右の椅子に座らせて頭を撫でる。獣耳がくすぐったそうに揺れた。
「ところで、タリクくんはどんな風に生活しているのかな? 食べながらでいいから、聞かせてくれると嬉しんだけど」
「どうって、別に普通だけど……」
獣耳幼女たちにもサンドイッチを一つずつ手渡しながら、「ぜひお願い」と微笑みかける。すると彼は、ぽつりぽつりと自身の暮らしぶりを語りだす。
俺は適度に相槌を打ちつつ、その内容を頭の中でまとめていく――最近は賃仕事で日々の糧を得ているそうだ。外壁の修繕や、街の外のゴミ捨て場の拡張工事に回されることが多いらしい。
日雇いの枠がいっぱいなときは、探索者ギルドへ向かって荷物持ちの依頼を受ける。ただし、この仕事は迷宮に潜ることが前提なので危険が伴う。タリクくんとしても、あまり気が進まないそうだ。
他には、運が良ければ商会などの小間使いの仕事が舞い込む。割が良く、非常に人気なのだとか。
いずれにせよ、日に銅貨数枚の稼ぎだとか。
寝泊まりは、基本的にスラムの空き家。仲間内で寄り集まり、順番に夜の見張りをこなす。
当然、暮らし向きは楽ではない。過酷な環境に耐えかねて街で盗みに走る者や、スラムのフラーテル(犯罪組織)の小間使いとして裏稼業に関わる者もいる。
タリクくんが廃聖堂にしばらく顔を出さなかったのは、前に『破落戸がここで騒動を起こした』と噂を聞き、警戒していたから。
しかし流石にエマたちが心配になったのと、エルフやドワーフが頻繁に出入りするのを見て覚悟を決め、何が起こっているのか確かめようとした。そこで俺たちと出くわしたわけだ。
「なるほど。教えてくれてありがとう……お腹はどう? 少しは足しになったかな」
「うん、大丈夫。美味しくて貴族にでもなったかと思ったよ」
タリクくんの話に一区切りつくとほぼ同時に、テーブルの上の皿が空になる。
気づけばルルは俺の胸元に顔を埋め、エマとリリは左右からもたれかかって沈んだ表情を浮かべていた。三人とも、小さな手でぎゅっと服を掴んで離さない。
孤児院にいた子の名前がいくつか出てきたので、やはり気持ちが乱れているようだ。困窮の経験は幼い心に傷を刻み、些細なことがきっかけでこうして不安が鎌首をもたげる。
伝わる体温が少しでも癒しになれば、と俺は両腕でぐっと三人を抱え込む。
「聖堂にイタズラしてるわけじゃないってわかったし……俺、そろそろ行くよ。食べ物ありがとう」
しゅんとするエマたちを気にかけてか、タリクくんはそそくさと席を立とうとする。慌てて「よかったら聖堂に泊まる?」と俺は尋ねた。
元は孤児たちの生活の拠点でもあったのだ。虹色ゲートでセキュリティも万全だし、フロアで寝泊まりするくらいなら問題ない。
だが、タリクくんは首を横に振る。
控えめな笑みに添えて、その理由が返ってくる。
「いや、いいよ。他の仲間が待ってるから。それに、エマたちが無事なのもわかったし。三人とも、ずいぶんいい人にもらわれたな」
「違うよ。俺がこの子たちのお世話をさせてもらってるんだ」
「そっか。なあ、こいつらを頼むな……俺たちは、孤児院がなくなって何もできなかったから」
孤児院が突然取り壊され、自分の食い扶持を確保するだけで精一杯だったのだろう……考えなくてもわかる。それでも、エマたちを心配してくれていた。
きっと悪い子じゃない。どれだけ生活が苦しくても、道を踏み外していないのが何よりの証明だ。懸命にこの世界を生き抜いている。
そんな彼を放っては置けず、俺は自然とこう声をかけていた。
「タリクくん、何かあったら遠慮なく頼ってね。キミはこの子たちの兄みたいなものだから、俺にとっても他人じゃないんだよ」
「わかった。おじさん、本当にいい人だな」
「お兄さん、ね……?」
「わ、わかった。じゃあ、俺いくよ」
言って、今度こそ席を立つタリクくん。
俺は少し食べ物を持たせようと思ったが、隣のテーブルに座っていたサリアさんに止められた。
この街のスラムでは、たった一欠片のパンですら人が死ぬには十分な理由となるらしい。
ますます考えさせられてしまう。いったい何が自分にできるか――遠ざかるボロの服を着た獣人の少年の背を眺めていると、どうにも胸がざわつく。
獣耳幼女たちの頭を順番に撫でて心を落ち着かせつつ、ぼんやりと思案するのだった。
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