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PK
しおりを挟む「ちっ…ならお前から殺してやる。」
どうやら標的が男女二人の冒険者から俺に変わった様だ。フードで顔を隠しているため表情はよく見えないがフードの奥から見える目は獲物を狙う目そのものだ。
だが俺が助太刀したことにより3対1になった。相手が高位の冒険者でなければそう簡単には負けないだろう。
「なんでこんなことするんですか!」
「こんなこと?たかがゲームだろ?それにPKは成功すると報酬でかいからな!」
話終わる前に冒険者は俺に向け剣を振りかざす。しかし素早さが俺の方が高いのか攻撃は全て見える。剣を躱し殺さない様に回し蹴りを食らわし距離を取る。
しかし俺の回し蹴りでは殆どダメージを与えられない。レベル自体は低いが冒険者から奪ったのか身につけている装備はかなり質の良いものだ。
「ねぇ!龍!PKってなに?」
「PKの名称だよ。倒した冒険者の金品を奪っていくんだ。盗賊の様なもんさ。」
「そんなのマナー違反じゃない!」
「まぁな。だがそれをこのゲームは出来ないようにはしていない。」
「そんな…」
そうだ。確かに女性冒険者の言う様にマナー違反かもしれない。しかしここはゲームの世界。PKも強くなるための1つの手段だ。GKMでのPKの立ち位置は分からないが俺はその様な行為はゲームの世界といえ許せない。
「くそ…お前の顔。しっかり覚えたからな。離脱」
「あ、待て!」
PK目当ての冒険者は離脱専用スキルを使用し俺たちの前から消え去ってしまう。3対1という状態を分が悪いと察したのだろう。
「最後の言葉…面倒ごとに巻き込まれなきゃ良いけど…」
PKを目的とした冒険者たちが集まってギルドを作るという話は颯斗から嫌という程聞かされてきた。だからこそその集団に狙われる身になってしまったらとてもめんどくさいことになるはずだ。
「助かったよ。俺の名前は龍。こいつは花凛だ。」
「よろしくね。助かったわ。」
男の冒険者は身長は中型。切れ長の目をしている。武器は弓を背中に背負っている。
女性の冒険者は身長は中型で痩せ型体型。顔はかなり整っていて誰もが羨む体型を持っている。武器は拳で露出の多い服装をしている。おそらく格闘家だろう。
「何事も無くて良かったです。じゃあ!」
「あ、ちょっと待ってくれ。お礼の1つくらいさせてくれないか?」
「そうよ。殺された挙句せっかく集めたもの取られちゃうところだったし。」
「いえいえ!お構いなく!急いでるんで!」
「じゃあフレンド登録だけでもしとこうよ!」
「申請しといたわよ!登録してよね。」
「今度登録しときますよ。」
「い・ま・し・な・さ・い!!」
「は、はい…」
なんだか無理やりフレンド登録させられてしまった。初フレンドは颯斗になると思っていたが思わぬところでフレンドができてしまった。
「無理やりごめんね。こいついつもこんな感じでさ。ほら、俺も登録しといてくれよ。」
「大丈夫ですよ。わかりました。」
「よし。龍、私達はもう上がりましょ。」
「そうだな。下見だけだったし、君はどこまで行くんだい?」
「俺はとりあえず5階層まで行ってみようかなと」
「あーじゃあボス挑戦か。まぁ、君くらい強ければ平気そうだね。」
「え?5階ってボスがいるんですか?」
「知らなかったのかい?確かあの階層は…」
「龍!ボス戦も楽しみの1つよ。言わない方がいいんじゃないかしら。」
確かにどんなボスかはわかっていたら対応できるが何も知らずに戦うからこそ楽しいのだ。5階層でボスが出るということがわかっただけで十分だ。
「そうだな。じゃあダンジョン攻略頑張ってくれ!またいつか恩を返すよ!」
「ありがとうございます!じゃあまた!」
龍と花凛は3階層へ向かい歩き始める。ダンジョンでは上の階へ向かう道へ行くと上階の好きな階へと移動できる。
また下の階へ向かう場合は行ったことのある階層まで下へ向かえるのだ。
「よし。じゃあ俺は4階層へ向かうか。」
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