ワールドエンド

秋夜

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episode3 〜様々な能力者〜

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「案外素直に受け入れるんだな。無理やり引き入れたようなものなのに」
ようなものじゃなくて実際そうだろ
「まぁ契約書書いちゃったしもう引き返せないからね。」
まぁ無理に今敵を作るのは危険だしな。
「そうか。なら行くぞ」
何とかごまかせたっぽいな…ん?待てよ。今行くぞって言ったか?
「行くってどこに?」
「どこってアジトに決まってるだろ?仲間を紹介したい。」
仲間ってことは他にも能力者がいるかもしれないのか。
危険だがここで行かないという選択肢は俺にはないだろうな。
「今からか?そんなにアジトは近いのか?」
正直あまり行きたくないんだが…。
「近いっていうか狗瑠兎がいるからな。」
狗瑠兎がいる…ってことは狗瑠兎がさっきの移動の能力者ってわけか。
「俺家に来た時の能力か?」
狗瑠兎は静かにうなづいた。
「ってなことで狗瑠兎、頼めるか?」
すると狗瑠兎は満面の笑みで
「はい!もちろんです兄様!!」
とはっきりとした声で返事した。
俺と話すときもこれぐらい話してくれたらいいのにな。
「よしよし、ありがとな狗瑠兎」
その言葉と同時に流毅は狗瑠兎の頭を撫でた。
この姿見ると普通の兄弟なんだけどな。
「それじゃあ行くぞ」
その一言と同時に狗瑠兎は小さな魔法陣のようなものを地面にはり俺たちが入るくらいのサイズまで大きくした。
「兄様このくらいで大丈夫ですか?」
おそらく大きさのことを言っているのだろうな。
気のせいかもしれないがさっきより狗瑠兎が疲れているように見える。
「あぁ。そのくらいでいい、アジトへ運んでくれ」
すると地面が強い光を放った。
ま…眩しい!目を開いていることが難しかった。
「ついたぞ」
目を開くと見知らぬ屋敷の中だった。
「流毅?誰その子、新入り?」
女性だった。ここには女性も仲間にしているのか。
「あぁ、俺が仲間に率いた。」
率いたっていうか連れてこられてたが正しい気がするが…。
「流毅が?へぇ、珍しいこともあるんだね。」
珍しいのか。
「うるさいぞ歇霄(やよい)まぁこいつも俺らの仲間になったから仲良くしてやってくれ」
そういうと流毅は近くにある部屋に入っていった。
やっぱ流毅は誰にでもあの口調なのか。
「ごめんね!流毅はいつもあんな感じだから」
いつもなんだ…。
「えっと、じゃあみんな集めるから待っててね!」
そういうと歇霄は屋敷中にいる人をフロアに集めた。
「じゃあ順番に紹介してくね!私は歇霄、そこで本を読んでいる子が朱雨(しゅう)くん」
その子はすごく分厚い本を読みながら
「よろしく」
と一言言った。
なかなか無愛想なやつだな。
「私の後ろに隠れているのが歌乃(かの)。」
その子はニコッとした顔で手に持っていたメモを書き出し俺に見せてくれた。
よろしくお願いします…?何でわざわざ話ではなく筆談なんだ?
「あぁ歌乃は言葉が話せないんだ。」
言葉が話せない…?そうだったのか…。
「そうなのか。よろしくな歇霄、朱雨、歌乃。」
これで全部か?思ったより少ないな。そして無駄に広い。
「思ったより少ないんだな。それとも本当はもっといるのか?」
仲間ならこれぐらい聞いても大丈夫だろ。
「これで全員だ。能力者は…な?」
流毅が部屋の前の階段から俺に向けて歇霄の代わりに答えた。
「能力者は…か。つまり他にもいるんだな。」
やっぱり他にもいるのか。
「あぁ無能力者たちがいる。だが、そいつらは俺らが能力者だってことは知らない。」
つまり隠しながら能力者同士が作戦や安全を確保するための言わば安全地帯がここってわけか。
「知らないのによく世界を変えようなんて考えるな。」
おかしくないか。この世界は無能力者からすれば住みやすい世界のはず。
わざわざ住みにくい世界を変えようとするか?
「鋭いな、俺もそこが不可解だ。」
流毅にもわからないってことか。
「さて、そろそろ教えてくれないか?俺だけ全員に能力が知られてて、俺だけ知らないんのは不公平だと思うんだが。」
てか。教えてもらわないとこっちも対策も考えられんしな。
「そうだな、まぁ言葉で説明すんのも難しいから。実際に見ながら説明していく。」
わかりやすいな。その方が楽だしな。
「狗瑠兎はさっきやった通り移動能力」
あぁやっぱあれは能力なのか。
「俺の能力もさっきやった通りだが。」
さっきの絶対的な支配か。だけどあの時…。
「それがずっとひっかかっている。お前はさっき俺にミスがあったって言ったよな?それがどう考えてもわからない。」
俺がミス…?いつそんなミスしたんだろう。
「簡単なことだ。お前は俺にわずかでも気を許した。それだけだ。」
気を許した…?それがミス……?よくわからない。こいつ何を言ってるんだ。
「わからないのか?能力は発動条件、もしくはそれに伴っての反動、代償が必要だろ?」
……。言葉が出なかった。
「その反応を見た感じだと知らなかったんだな。」
……。
「まぁというわけで俺の能力は“わずかでも気を許した人間に対する支配”」
気を許した…人間……。
「つまり、一度でも気を許させないと効かないってわけだ。」
なっ…!?つまり俺はあいつに多少でも心を許したっていうのか…?心の隙を見せたって…。
「驚いているようだが、これは事実だ。受け入れろ。その証拠に…」
次の瞬間…フロアにいた全員の首元が赤く光り、突如黒い鍵のついた輪っかが現れた。
「こ…これはあの時の…!!」
流毅が俺に命令した時に俺の首についてたやつだ…間違いない。
「この首輪は俺の能力で支配している証しだ。もちろん取れない。」
取れない…?まじかよ、つまりここにいる全員あいつのテリトリーってわけか。
「流毅。やめろ。俺はこういうのが嫌いだって何回も言ってるだろ?」
朱雨は少し不機嫌な口調で流毅に言った。
「わかったわかった。悪かったって。」
流毅は嘲笑しながら指を鳴らすと首元の首輪は消えた。
あれ…?
自分の首を触ってみると首輪があるわけでもな手探りで探しても首輪の感覚はなかった。
「まっ、能力を使う時以外はこうして消すこともできる。俺には首輪が見えるけどな。」
流毅からすれば俺らは犬のように首輪がついている人間ってわけか。
悪趣味な能力だな。
「話を戻すが能力には発動条件、もしくはそれに伴っての反動、代償が必要なんだ。騎鴑、お前の能力は同等の物を考えないといけないのが発動条件。言わばそれが思いつかないとつかないという弱点にもなるんだ。」
なるほどな、確かにそれは間違いではない。
俺は日常的に使う簡単な交換でしか能力を使わなかったから不便なく使うことができていたのかもしれないな。
「狗瑠兎が反動型の能力だな。」
狗瑠兎?あぁ、あの移動能力か。
「反動型はどんな症状が出るんだ?」
反動型ってことは何か体に異変が起こるってことなのか。
「狗瑠兎は自分のはる範囲の中の人間を別の場所へ移動できる能力。自分の体力を使ってな。」
自分の体力を使って…。だからあの時、狗瑠兎は少し顔色が悪かったのか。
「兄様」
狗瑠兎が部屋から出てきた。
「おぉ狗瑠兎、起きたのか。もう大丈夫なのか?」
流毅も心配とかはするんだな。意外と優しいところもあるんだな。
「今回の移動は範囲も狭かったので体力をあまり使わずに済んだみたいです。」
確かに俺と流毅と狗瑠兎の3人分の範囲で済んだからな。
「そうか。なら良かった。もしあれだったらまだ休んでて大丈夫だぞ?」
これは兄だから優しいのか、それとも仲間には優しいのか。流毅はつかめないやつだな。
「いえ!もう大丈夫です。僕も早く兄様のお手伝いがしたいので!!」
狗瑠兎はお兄ちゃん子なのか。自分から率先して何かをしようとするなんて偉いな。
「ありがとな、狗瑠兎」
そういうと流毅は狗瑠兎の頭を撫でた。
「あーぁ、それくらいで私達にも接してくれたらいいのにな~」
確かにそのくらい優しく接すればもっといろんな奴がついてきてくれるだろうに。
「歇霄、聞こえてるぞ」
流毅は横目で歇霄の顔を見た。
「聞こえるように言ってるんだから当たり前でしょ!」
なんでそこで謎にドヤる…。歇霄ももしかして変わってるタイプか?
「まぁいい、話を戻すぞ。騎鴑が新しく俺らのチームに加わったんだから全員仲良くすること。あと自分の能力は嘘偽りなく、このメンバーに伝えること。いいな?」
つまり嘘は無しで信頼した関係を気づいていこうってことか。それはこっちにも都合がいいかもな。
「ってことで歇霄、朱雨、歌乃、騎鴑に能力を明かして仲間として迎え入れろ」
能力を明かせってそんな簡単に自分の能力を明かすか?
「私の能力は大雑把にいうなら予知能力。まぁ自分や自分の周りの人が危険な目にあう時に見える。その危険な目がいつ起きるかまでは詳しくわからないけど早くて30秒…っていったとこかな」
えぇ~!?言った~!!!普通に言ったぞこいつ…!?
「俺の能力はそうだな…上手く説明ができないが一言で言うなら演技だ。」
こいつら流毅のいうことならなんでも聞く気か!?って待てよ…?んっ…?
「演技…?」
演技ってことはなりきるってことか?意味がわからん…どういうことだ。
「まぁ口で言うよりやって見せた方が早そうだな。」
次の瞬間朱雨はまるで全ての力が抜けたかのように俯いた。
ん…?
「朱雨…?どうしたんだ?おい」
俺は朱雨に何が起こったのかわからなかった。
次の瞬間朱雨は急に目を開き、まるで瞬間移動したかのように早く俺の目の前まで飛んできた。
そして俺の顔を見てニヤっと笑って見せた。
その笑い方はさっきまでの朱雨を覆すかのように高く、まるで狂ったかのように笑い出した。
「獲物…見ぃ~けた。」
は!?何言ってんだこいつ。
朱雨は楽しそうにニコニコ笑いながら嬉しそうな声で俺にそう言ったのだ。
そして急に俺の首を片手で掴み、そのまま俺を持ち上げ、力を込め始めた。
うっ…くる…しい……
俺も正直何が起きているのかわからなかった。
いっ…き…が……。
「そこまでだ、朱雨。離せ。」
するとその笑った顔は変わらないまま朱雨は手を離した。
そして何故かわからないが朱雨は頭を抱えながら突然苦しみ出しまた力が抜けたかのように俯いた。
「す…すまない…。」
俺は呼吸がまだ整ってない状態で
「今…のは。」
これを言うのが精一杯だった。
「朱雨の能力はいろんなものになりきる能力。だがその能力が強力ゆえに自我を忘れてしまうことが多々ある。」
いや、多々あるなら使うなよ。
「今のは殺人鬼といったところか。」
いや普通に分析されても困るんだが。
「まぁいつも俺があぁやって制御している」
俺は呼吸が整ってきた。
「助かった。ありがとな。」
礼を言うのが正しいのかはわからないけど助けてもらったのは事実なため、俺は流毅に礼を言った。
「さて最後は歌乃だな。」
しまった一番筆談とか分かんないだろ。どうするんだよこいつ…。こいつも変な能力者とはだったらマジで俺死ぬかもしれないな。
すると俺は歌乃から一枚のメモを渡された。
“私の能力は相手の能力が見える能力です。”
いや、シンプル!まさかのここでシンプル!!わかりやすい。
ん?待てよ、
「歇霄と歌乃のデメリット派なんだ?」
ふと気になった。
「歇霄のデメリットはある意味トラウマ的なものだな、助けられなかったら死んだり怪我をするだろ?それが精神的なダメージのデメリットだ。歌乃の能力は片目しか使えない。隠されたり目が悪くなったりしたらただの人間と変わらなくなる。」
なるほどちゃんとデメリットもあるわけだ。
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