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異世界で幼なじみともう一度
飛竜討伐
✳︎ ✳︎ ✳︎
(レオン団長が強すぎる…?)
飛竜討伐当日。リリアは初めてレオン団長が戦うところを見た。
まずは一頭の飛竜に、何か黒い蔦のようなものが絡みつき落ちてきた。それはレオン隊長の魔法だった。その飛竜は直後、レオン団長に一撃で屠られた。
「闇魔法が得意なんだ。怖がるかなと思って言ってなかった」
「怖がりはしないけど、何だかすごいね?」
「はは。リリアにすごいって言われると、なんだか燃えるな」
そう言って笑うレオン隊長によって、次々と飛竜が落ちてくる。落ちてきた飛竜は複数で組んだ団員達に倒されていく。
「他の人に比べたらまだまだなの」
直前にリリアに謙遜していたパールも実はかなり強いようだ。また一頭にとどめを刺している。
(皆んな強い。それでもあの3人だけは別格だわ)
レオン団長の大きな剣は闇を纏って、一振りするごとに辺りに風が巻き起こるようだ。その剣の前に地に落ちた飛竜はなす術もない。しかも合間に魔法で飛竜を落としている。
アイリーンも軽い身のこなしで、どこにその力があるのか飛竜の翼を一撃で切り落とした。
「リリアー、見てくれたっ?」
アイリーンは、時々こちらに手を振ってくれるが、見咎めたルード副団長に怒られているようだ。
(真面目にやれとか言われてるんだわ。たしかに危ないから油断しないで欲しい…)
ルード副団長の剣は、2人に比べて平凡に見える。しかし、そう見えるのは、的確に急所を狙っているからなのだと見るものが見ればわかるだろう。
身体強化をかけると団員が戦うさまがよく見える。時々、飛竜がリリアの方に向かってくる。
(光魔法に魔獣が反応するというのは、本当のことなのね)
リリアが抜剣して応戦しようとすると、何故か周りの団員に全力で止められた。
その間にレオン団長にその飛竜達は倒されている。
(他の飛竜より念入りにとどめを刺されているのは気のせいだと思いたい)
✳︎ ✳︎ ✳︎
程なく飛竜の群れは全滅した。
レオン団長が、リリアの元に走ってくる。やはり全速力だ。
「怖くなかったか?怪我してないな?」
リリアの肩を掴んで、上から下まで真剣な表情で見てくるレオン団長。それよりもリリアは気になることがあった。
「あ、あの。こういう時って団長は何かすることがあるのでは?」
「その通りですよ。さすがリリア。さ、王国への連絡と騎士達への言葉をお願いします」
「いや、もしリリアが怪我でもしていたら…」
尚も食い下がる団長がリリアに叱られてルード副団長に引きずられて行く。
もはやそれは、騎士団の名物となりつつあり、皆んな驚くこともなく団長とリリアを交互に生暖かい目で見ている。
「居た堪れない…」
しかし最近、レオン団長は鬼団長と陰で呼ばれることはほとんどなくなったと聞いている。
✳︎ ✳︎ ✳︎
「完璧すぎてもダメなものなのよ」
アイリーンは飲んでいたアイスティーの氷をストローで回しながらつぶやいた。
「リリアが現れるまでは、ずっと人を寄せ付けない感じの完璧すぎる騎士団長だったから。絡むのもルードか私くらいだったわ」
黙ってしまったリリアに、悪戯っぽく笑ったアイリーンが覗き込む。
「私たちの関係、気になる?」
「それは、とても気になります」
「ふふ。正直な女の子は好きよ?」
アイリーンはリリアの目を見つめたまま、髪の毛を耳にかけた。その仕草さえ、妙に色っぽくてリリアは少し俯いてしまう。
「私たち3人は騎士学校の同期なの。あとは、団長から聞きなさい?」
妖艶な笑みを浮かべたままのアイリーンが、人差し指でリリアの唇に触れた。
「極秘事項だけど、どうしてもというなら、リリアにだけ、教えてあ、げ、る」
「ひゃっ。ち、近いです。アイリーン先輩?!だ、団長に聞きますから!」
何だかドキドキしてしまう。リリアは顔が赤くなっているのではと、両手で頬を挟み込んだ。
「あらそう?ざーんねん。ふふっ」
揶揄われたらしいとリリアが気づいたのは、しばらくあとだった。
✳︎ ✳︎ ✳︎
「リリア、なにぼーっとしてる。帰るぞ?」
「あれ?ルード副団長と行ったのでは?」
短くため息をついて、レオン団長が言う。
「はぁ。とっくに終わった。周りを振り切るのが大変だったが。……最近何故か騎士団の奴らがやたら絡んでくる」
「それは、良いことなのでは。振り切ってはいけないのでは」
レオン団長が目を細め少し唇の端を歪めた。
(これはいじけてしまった時の顔だわ。木下くんと同じ表情をするのね)
「悪いけど、揶揄われるのは慣れてるんだ。でもいちいち気にしていられない。ライバルが多いからな」
「ライバル……?」
リリアには意味がわからない。何か競争でもしてるのだろうか。
「わからなくて良いんだよ。リリアは、そのままでいてくれ。……俺だけのリリアで」
帰る間、何故かレオン団長はリリアのそばにピッタリくっついたが、生暖かい目を向けるばかりの団員は、誰も近づいては来なかった。
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