消えた幼なじみが騎士団長になっていた

氷雨そら

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異世界で幼なじみともう一度

癒し手王宮仕様になる


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(オーナーはマダムシシリーというらしい)

 リリアは、今現在もみくちゃにされながら、そんなことをぼんやりと考えていた。

 時間を待つ間、レオン団長に連れられて行った可愛い店で、イチゴのような果物がたくさんのった、甘さも香りも見た目まで100点満点のケーキを食べたリリアは幸せな気持ちで店に戻った。

 しかし、店に入るとそこにはお仕着せを着た女性が5人も控えていて、そこからリリアはああでもない、こうでもないと髪の毛をまとめては解かれ、解かれてはまたまとめられた。

「悪い。俺も正装の騎士服に着替えてくる。ここに迎えに来るから待っていて」

 そう言って薄情にもレオン団長は消えてしまった。

「誰が見ても立派な淑女にして差し上げます!」
「え……ほどほどでいいです」
「何をおっしゃいます!こんなに磨きがいがあるお嬢様はめったにおられないのに」

 その後の2時間。やはりリリアはなぜかリリアを飾り立てることに燃えてしまっているマダムシシリーと5人にもみくちゃにされ続けた。


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(これは……いわゆる詐欺と言うやつなのではないだろうか)

 鏡に映る女性は、ブロンドの髪に青い瞳。どこからみてもお伽噺のお姫様だった。

 薄く化粧まで施され、少し巻いて結ってある髪の毛にはピーコックブルーの髪飾り。ドレスとおそろいの薄い水色のリボンがかわいらしい。

「待たせたなリリ、ア」

 騎士の正装に身を包んだレオン団長が、呆然とこちらを見ている。
 そのままピタリと動かずに、1分近くたってしまった。室内に沈黙が流れるが、2人を見守るマダムシシリーと残りの5人の視線は生暖かい。

「……はっ?なにこれ。自分で選んでおいてなんだけど可愛すぎないか?こんなの一目で王宮中の人間が恋に落ちるんじゃないのか?」
「マダムシシリーさんには本当に素敵にしていただいたけど、さすがにほめすぎだよ」
「いや、ダメだ。このまま俺とこの国を出よう。大丈夫、国外でも幸せにする」
「ふふ。相変わらず大げさだよ…。レオン団長と並んだら私なんてきっと霞んじゃう」

 木下くんも、七瀬が可愛い恰好をすると大げさなほどにほめてくれた。

 ほかの人に聞かれたらきっと笑われるからやめてほしいのだけど。

「やっぱり、騎士服にしてもらえばよかったか。しかしリリアに恥をかかせるわけにも……」

 なぜか少し暗い目になってまだまだ呟いているレオン団長にリリアは声をかけた。

「もちろんエスコートしてくれるんだよね?王宮に行くときに騎士さまにエスコートしてもらえるなんて女の子の永遠のあこがれだよ?」
「えっ。本当に?もちろんその夢を叶えさせてください」
「あはは。どうしちゃったの」

 なぜか、七瀬に対しても木下くんは時々敬語になっていた。そんな木下くんのことを、七瀬はとても可愛いと思っていたのは大事な思い出で秘密だ。

 急に真顔になったレオン団長が、リリアに手を差しのべてくる。

「エスコートさせて頂く栄誉を賜り光栄です。リリア嬢」
「ありがとう。私の騎士」

 お互いのノリの良さに思わずあの頃のように笑い合った後、レオン団長が口を開いた。

「それから一つお願いがあるんだけど」
「え?なに……?」

 以前渡した魔石のペンダントを見える位置につけていてほしい。それがレオン団長のお願いだった。
 
 リリアが頷いてペンダントを胸に下げると、ピーコックブルーの魔石と刺繍はまるでドレスとお揃いで仕立てたかのように見えた。
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