消えた幼なじみが騎士団長になっていた

氷雨そら

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異世界で幼なじみともう一度

愛剣とドラゴン


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


 フワリと淡い黄色のワンピースが風に靡くたび、通行人が振り返る。腰に下げた剣は、服装にはそぐわない。けれど不思議と違和感なく溶け込んでいた。

「レオン団長、この剣、綺麗にしてもらった上に、あんな値段で良かったのかな?安すぎない?」
「まあ、リリア以外には抜くこともできなかったみたいだから、良いんじゃないか?」

 綺麗に磨かれた剣は、まるで美術館の装飾品のように品が良く美しい。

「たぶんその刀身、ミスリルだな」
「え?」
「その色、それに軽い。ミスリルの特徴だ」
「じゃ、ますますお高いものなんじゃないの?」

 武器屋の店主に、リリアは気に入られてしまったようだ。正当な額を教えてほしいと言って聞かないリリアに、店主は言った。

『武器が人を選んだ時には、商売抜きで渡すことにしている。それが俺の矜持だ。』

 その意味は分からなかったが、リリアは確かにこの剣に呼ばれた気がした。

「そのうちリリアの装備を全部ミスリルで作ろう。十分あの店に貢献できるだろ?」
「はあ。それっていったいいくらするんだろうね?」
「いつかリリアと一緒に暮らす家と同じくらいの値段じゃないか?」
「へっ?!」
「いつかリリアと……」

(それ以上聞いたら、心臓が持たない!)

 そう思って、リリアは思わずレオン団長の口を塞いでしまった。その手はそのまま、レオン団長の大きな手に包み込まれてしまう。

「積極的だな?」

 レオン団長は、ニヤッと意地悪げに笑った。

(しまった、逆に恥ずかしい!)

 そのあとは、ランチに誘われてリリア好みの可愛いお皿に盛り付けられたパスタを食べたが、やはり動揺しすぎて味がわからなかった。


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 そのままレオン団長に手を引かれ、女子寮まで帰ってきたが道中の記憶はない。

(あれ?いつのまにか部屋に帰ってきてる?)

「そろそろ帰るよ。今日は楽しかった」
「うん、私も……」

 帰ってしまうとなると名残惜しい。つないだ手を離すことができないまま2人が見つめあっていると、ロンがテーブルの下から這い出てきた。

「本当に、お前たち落し子2人は仲が良いなぁ」

 どうやら闇の魔法で縛られていたのは、自力で抜け出したらしい。しかし、リリアを見るとモゾモゾしていた動きを止めた。

「ん?その剣……懐かしいな。なんでリリアが持っている?」
「どう言うこと?」
「それは、その昔出会った落とし子の持ち物だ」

(つまり、転生者の……剣?)

「ふーん。その剣に主として認められているのか。まあ、リリアなら当然と言えば当然かな?」
「あの、ロンには転生者の知り合いがいるの?」
「……遠い昔の話だ。少し世話になったが、もういない。そう、アイツも聖女と呼ばれていたな」

(やっぱり、転生者は他にもいるのね)

 そう思うリリアの横で、つないだ手に少し力を込めたレオン団長が表情を険しくする。

「それで、その聖女の行く末はどうなった?」
「利用されて騙されたよ。だから人間には関わりたくない」
「……それがわかれば十分だ。ほら、これ土産」
「うおっ。これは、パスタというやつでは?!」

 なんだかんだ言って、レオン団長はロンに甘い。そういうリリアも、実は可愛くて仕方ないのだが。
 バクバクと勢いよく食べるロンを見るレオン団長は、口元が緩んでいる。

(そういえば木下くんは犬派って言ってたな)

「たまに買ってきてやるから、リリアの魔力を貰うのはほどほどにしろよ?お前、ずるいぞ?」
「土産持ってくるならたまにはレオンもここに遊びに来てもいいぞ?魔力はもちろんもらうがな」
「お前本当に可愛くないな」

 ドラゴンと本気で口喧嘩しているレオン団長のことはあまり見ないことにした。
感想 8

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