消えた幼なじみが騎士団長になっていた

氷雨そら

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異世界で幼なじみともう一度

お忍びデート


 ✳︎ ✳︎ ✳︎

 リリアは走りすぎて息が切れていた。最近、怪我とかして少し訓練ができなかったことも関係するかもしれない。

「すごい人に囲まれてびっくりした」
「まあ、リリアは今、王国で1番の有名人かもしれないわね」

 ある日アイリーンと街に出かけていたリリアは、あっという間にたくさんの人に囲まれてしまったのだった。

(これは握手会?)

 子どもたちからお年寄りまで、たくさんの人たちがリリアとの握手を求めてきて、なんとか逃れてきたがグッタリしてしまう。

 ✳︎ ✳︎ ✳︎

(しばらく、街に行くのはやめようかな)

 そう思っていた矢先、やっと訓練にも復帰し始めたレオン団長が、夕方いつもの帰り道で待っていた。

「リリア!」

 リリアを見つけると、嬉しそうに駆け寄ってくるレオン団長。もう、その走り方からは不調は感じられず思わずリリアも笑顔になった。

「レオン団長。なんだかここで会うの、すごく久しぶりですね」
「ここ最近目まぐるしかったから、すごい時がたったような気がするな」
「……もう、体は大丈夫なんですか」
「……まあ。元気だな」

(うん、なんだか今、聞き捨てならない間があった)

「……レオン団長?」
「本当に、大丈夫だから」

 レオン団長の肩からロンがピョコりと顔を出す。

「嘘つきレオン。お前まだまだ毎晩苦しそうだろ?リリアに嘘ついたらいけないってルードが言ってたぞ」

 レオン団長に張り付いていたロンが、少し怒ったようにリリアに告げ口する。

「……レオン団長?」
「いや、本当に体の調子はもういいんだ。ただ、夜になるとリリアが倒れていた時の夢ばかり見るから」

 リリアは、あんなことがあっても夜だけはよく眠れるのだ。七瀬の時だって、夜勤で不規則でも眠るのは得意だった。

 レオン団長はただでさえ眠りが浅いと言っていたのに、リリアはなんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

「あの……。私」
「リリアとデートしたい」
「えっ?」
「リリアと楽しいひと時を過ごしたら、少しは記憶が上書きされてよく眠れそうな気がする」

 リリアとしては喜んで受けたいお誘いだが、この2人が街に出たら、また大騒ぎになりそうな気がする。

「この間の騒ぎ、アイリーンから聞いた。でも、ほらいいことしてあげる」

 レオン団長が、リリアの頭を軽く2回、ポンポンと叩いた。

「えっ?」

 気がつくと目の前のレオン団長の髪と瞳が、茶色になっている。

「リリアも、同じ色になってる。これなら誰にも俺たちだってわからない」
「え?!どうやったの?」
「ん、この間の夢に閉じ込められた魔法。あれをアレンジして他の人に他の見た目に見えるようにした」

 わかるようでわからない。たぶん、レオン団長にしかできない、今回もチートで片付けておくのが良さそうだ。

「今から街に遊びに行こう?」
「レオン団長?」
「その名前じゃバレるよ。俺はリアって呼ぶから、レオって呼んで?」

 それだけ言うと返事も待たず、レオン団長はリリアの手を引いて走り出した。


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