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聖騎士に手を引かれて
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放課後になると、ライアス様とフローラは二人でどこかへと消えていった。
「じゃ、行こうか。闘技場でいいかな」
「望むところです!」
ゲームであれば、悪役令嬢リアナが怒り狂う場面だ。もちろん私は怒ったりしない。寧ろ、二人の仲が熱い友情から、甘酸っぱい関係に進展していくことを世界樹に祈ってるくらいだ。
教室も王太子と平民の特待生がともに消えたのに、騒ぎの一つも起こっていない。たぶん、朝の出来事を見ていた生徒から、みんなに情報共有されていることと、二人が向かった場所が場所だからだろう。
でもそこは、王太子が公務の合間に探してくれた、お洒落なカフェに向かうべきではないのか。闘技場で作戦会議って何するの?
……そして、私はやはり周りから遠巻きにされて今日もボッチになった。周りを見渡すとなんかもうグループができてる!こういうのって、スタートダッシュ大事なんだよね。
「リアナ!一緒に帰ろう」
放課後でザワザワしていた教室が、一瞬で静まり返った。なぜかそこにはディオ様が立っている。ご尊顔が今日も眩しい!でも、ドラゴンの呪いの蔦は絡んだままなんですね?
後ろから兄も来ていたのに、ディオ様は強引に私の手を掴んで走り出した。
「あっディオ、お前!」
後ろから兄の少し怒った声が聞こえる。
今日はなんだか全力疾走してばかりだ。階段を降りる時、なぜか私は横抱きにされ、ディオ様はそのまま階段を一足跳びに飛び降りた。
――――スタンッ
私を抱き抱えたまま、軽やかに着地を決めるディオ様。結構やんちゃなことしますね。先生に見つかったら怒られちゃいますよ?
「ふふっ。これでやっと二人きりになれた」
外に出て、兄を撒いたのを確認するとディオ様が悪戯に成功した少年のような笑顔で笑いかけてくる。
そんな顔もできるんですか。なんでスチルないんですか!うっ、心臓止まりそうです。
「どうしたんですか急に……何か内密の相談でも?」
「……リアナと二人きりになりたいだけって言う理由じゃダメだった?」
思わず息を詰めてしまう。本当にディオ様は予想外のことばかり言ってくる。
それが、私が呪いを肩代わりした責任感からきているんだって分かってるつもりなのに、このままじゃ私、勘違いしてしまいそう。
「ダメ……だった?」
あ――――っ。なんだかディオ様の頭に、ペタンと倒れた可愛い犬耳の幻覚が見えます!ダメなはずないです。
(そう……そうなんです)
「ダメなはず、ないです」
私は思ったことがポンポンとは言えない。でも、何故かずっとディオ様にだけは気持ちを伝えることができていた。最近は兄にも言えるけど。
「本当にリアナは可愛らしい」
そんなふうに切なそうな顔して笑いながら見ないでください。ますます心臓が苦しくなってしまいます。
もっとちゃんと笑ってもらえるように、責任感を感じて辛い思いをディオ様がしないですむように、本気で呪いを解く方法を探そうと思います。
「ところでディオ様、そのドラゴンの呪い。そろそろ解除しませんか?」
「ああ、これ?いつでも解除できるんだけど、なんだか利用できそうな気がするからそのままにしてあるんだ。リアナが気になるなら速攻消滅させるけど?」
聖女の力を以てしても、流石に解除するのが大変そうな呪い。
速攻……消滅?聖騎士ってそんなに強いの?たぶんこの呪いの解除、ゲームだったら半日がかりの作業ゲームになるレベルだよ?!
私が実際やっても、それくらいはかかりそう。
それになんだか、黒い蔦は確かにディオ様に巻きついているのに、以前のように絡んではいないような気がする。
「…………ディオ様?その呪いの蔦なんだか」
なんだか、小ちゃなドラゴンぽい形になってきているように見えるんだけど。気のせい、だよね?気のせいだと誰か言って欲しい。
「リアナ。……気のせいだよ」
(私、まだ何も核心ついてないです!そんなの余計に疑わしいです)
でも、今のところこれが見える可能性があるのは、聖騎士と聖女だけだ。うん、聖女候補のフローラは、もし見えてもドラゴンと戦いたいって言いそうだ。
(なら、問題ないってことにしよう。そうしよう)
「ディオ様が大丈夫なら、私はそんなに気になりません」
まあ、貴族たちは多かれ少なかれ呪いの蔦を絡み付かせている。よほど命に関わらなければ、いちいち気にしていてはキリがない。
そういえば、ライアス様には何も絡んでいないな。王族ってやっぱり特別な存在なのだろうか。兄にも絡んでいないから、攻略対象者が特別なのだろうか。
そういえば、他の攻略者たちも学園内と神殿にいるはずだよね。神殿のあの方には、小さい頃すでにお世話になっているけれど。
「さ、遅くなるといけないから帰ろうか。フリードが迎えに来たよ」
遠くに兄の姿が見える。あ、全力で駆けてきた。兄も基礎体力向上したいのかな。今度、騎士団の訓練に誘ってみようか。
「はあはあ。一緒に迎えに行こうと言ってたのに。ディオの裏切り者」
「はは。たまには大目に見てよ」
いつのまにか二人にも友情が芽生えていたようだ。男子学生の爽やかな友情。今日はいいものを見た。
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