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ヒロイン対王太子
しおりを挟むライアス様とフローラの準決勝が始まった。
「絶対、今日こそライアス様に勝ってみせます!」
「俺は誰よりも強くなる!もちろんお前にはこれからも負けない!フローラ!」
わあ、なんだか格ゲーの因縁のキャラクター対決みたいな場面だわ!萌える!!
「あの、リアナ様?」
「うん?マルクくんどうしたの?」
「あのお二人の関係は……」
おや?マルクくんもフローラのことが気になるのかしら。
「ライバル、または友達かしら?今のところはまだね」
「そう、ですか……」
マルクくんは、再び試合に集中し始めた。ライアス様には、悪いけど私は平等に恋の応援をするわ!ワクワクする!
――――ドオンッ
開始とともに凄い勢いで突っ込んだフローラ。真正面からそれを受け止めるライアス様。凄い、ライアス様あれを正面から受け止められちゃうの?!
(うわ、この戦いを毎日してたの?この人たち)
「ぐっ!相変わらず重い一撃だな」
そう呟いたライアス様の言葉は、私の耳にもはっきり届いた。
その直後、ライアス様の体が、金色の光に包まれる。
(この時期に、まさか最終奥義決めてしまうの?!)
「フローラ!お前にだけは永遠に負けない!」
フローラの体が、木の葉のように舞う。ライアス様は、どんなに作業を繰り返して武力だけ育てても一年生時点では決して到達しえない高みに達している。
「信じられない、どうしてここまで」
とても勝てそうにない。悪役令嬢転生チート、聖女チートを使った私さえも。
(うわー!でも、負けたくない!)
準決勝はライアス様の勝利で幕を閉じた。フローラは真剣に悔しがってる。あなた、さっきあんなに吹っ飛んでたよね?なんでケロッとしてるの?!なんでむしろ、勝った側のライアス様が満身創痍なの?!
色々ツッコミどころは満載だったが、二人の戦いは幕を閉じた。
――――次は私だ。
マルクくんの周りを色とりどりの小さな光が取り囲んでいる。うわ!精霊の祝福!!ここで既にその領域に?!もうラスボス倒せるんじゃ?あー、私だラスボス。
ギャラリーが先程の倍以上に膨れ上がっている。これは間違いなく、前髪をあげて伊達眼鏡を外したマルクくんのカッコ可愛さによるものだろう。
でも、私が負けず嫌いだったことを再認識した。ラスボスの名に恥じず、序盤で負けたりしたくない。
七色の光が私を包み込む。飛んできた風の刃も炎の矢も避けて避けて。
「チェックメイト」
模擬刀をマルクくんの首元に突きつける。
「参りました!さすが、師匠が師匠と仰ぐお方!」
ん?フローラ、私のことマルクくんにどう話しているの?
「僕もあなたの呪いを解くお手伝いがしたいです」
「えっ?!」
(いや、本当にどこまで話してるのフローラ?!)
「……これから先も、手合わせいただくために。その呪い、邪魔ですから?」
立ち上がったマルクくんが、少し低い声で内緒話のように私の耳元で囁く。周りのギャラリーから黄色い悲鳴が上がる。
「ねっ?」
ふあっ!小悪魔&天使マルクくんが降臨した?!
その台詞って『……これから先も、あなたのそばにいるために。他の人たち、邪魔ですから?』から『ねっ?』のコンボの派生じゃないですか?!
(……言い訳をさせてほしい。)
最高のお言葉一生の思い出にします!と言う気持ちと、どうして今、私にその台詞を言ったのか!という疑問がグルグルしてしまい、次の決勝で私はライアス様に瞬殺されてしまった。
「まだまだ修行が足りないわ」
騎士服の埃を払って私はそっとつぶやいた。
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