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世界樹の塔の地下
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聖女の塔のトレーニングルームに、フローラがいた。
「リアナ様に夏休みにも会えてうれしいです!」
今日も元気がいいフローラ。私もフローラが元気いっぱいだと楽しくなる。
最初に、断罪を避けたいなんて邪な理由で勇気を出して話しかけたけれど、今は本当に大事な友人だ。
「私も、フローラに会えて嬉しいわ」
そう言うと、ヒマワリのような明るい笑顔を見せてくれるフローラ。こんなの、どんな攻略対象者でも恋に落ちるに違いない。
まあ、中身が脳筋だけど。私個人的には、最近そこがいいんだと思っているんだけど。
「ところで、どこかに行くんですか?」
フローラが小首を傾げる。可愛い!
私に向けて、そんなヒロイン品質を発揮しなくてもいいのに。ライアス様にでも見せて差し上げて!
少しそんな風にもどかしく思ったのは胸に秘めておく。
「うん。地下を探しに」
「地下……ですか?」
なぜか、フローラの表情が暗くなる。どうしてだろう。
「何か……知っているとか?」
「むしろ、リアナ様は覚えていないんですか?」
私はまだ、忘れてしまっていることがあるらしい。まあ、いろいろな記憶やゲームの内容がごちゃまぜになっているせいで、かなり断片的になっている。
急に思い出して、「今更!?」と悶える夜も実は数知れないのだ。やり直しがきかないのが辛いところだ。
「だって、私の記憶の中では黒いドレスを着たリアナ様は、この塔の地下から現れたんですよ?」
「は?!」
自分の事なのかもしれないが、ゲーム画面を通してしか見ていないため初めて知った事実!
あれ、ラスボスリアナと戦うのって、世界樹の塔なんだっけ?そのあたりの記憶がなんだか霞かかっているんですけど。
「でも、私も実はここに入れるようになってからずっと地下の入り口を探しているんですけど、見つからないんですよね」
え?たまにウロウロしているなと思っていたけど、そんなもの探していたのフローラ?
「ここに地下への鍵があるのよ」
「おお!まさか王太子秘蔵アイテムですか?!」
「……なにそれ」
「ライアス様がたまに宝物庫から探し出してくるアイテムに私がつけた名前です」
なるほど。たしかに、宝物庫には竜の血石もあったから、入ってみれば攻略に必要なアイテムもたくさんあるのかもしれない。
でも、いくら王太子だからって、勝手に持ってきて陛下に怒られないのかしら?
「たぶん、陛下もリアナ様の事気にしているみたいだから大丈夫ですよ」
「……そういえば、この間ライアス様と武闘会から消えた後の展開は……?!」
「えっ?気づいたら騎士団訓練場にいたので、そのまま試合を続行しましたけど」
残念!どこまでもフローラは少年漫画のライバル設定のようだ。そこは、ライアス様と少女漫画のような二人の世界を作り上げてほしかった!
「ああ、でもライアス様は私のために試合を棄権したんですよね」
「そ、そうなのよ!」
もっと、ときめいて!アルバムの数を増やして!
「そこは、許せないですね。勝利を大事にしない人は」
あああ……そこ減点対象なの?!
ライアス様、なにやってるの。
「でも……。私が強くなれるのは、ライアス様のおかげなのは確かだから、すごく感謝してるんですよ」
フローラが少し照れたように私から目をそらして、その言葉をつぶやいた。
「調子に乗るからライアス様には秘密ですけど!」
すごくいい!なんだか、その将来に恋に発展しそうな青春がすごくいい!
もちろん、呪いをとくのは大事だけれど、私は世界樹の塔の引きこもりをやめた時から、人生を楽しむことも決意している。だから、こういうのもすごく大事なのだ。
「フローラが友達で良かったわ」
「リアナ様とこんな風に過ごせて、私、幸せです。ずっと一緒にいましょうね?」
そう、ありがたい申し出を現実にするためにも、呪いをとかなければならない。
今のフローラが、私はとても好きだ。
世界樹の呪いのせいで世界がやり直してしまったとして、今のフローラがいるという保証はどこにもないのだから。
私は、絶対に解決するのだと改めて心に誓った。
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