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禁書庫の上司と同僚さん
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――リアナに兄が叱られているのと時を同じく
薄暗く狭い室内に、不相応なほど高く積み上げられた蔵書。
しかし、少しカビ臭いこの部屋にさらに不相応なのが、アイスブルーの髪をツインテールにした幼女だった。
扉を開ける音がすると、鮮やかな赤毛に緑がかった深い海のような瞳の青年が室内に入ってきた。
「久しぶりだね。卒業以来かな?仕事頑張ってる?首席卒業の同僚くん」
「お久しぶりです。ミルフェルト様。やはり、さっきの会話聞いておられたのですね?」
「まあ、リアナに関することはなんでも知っているよ。そういう契約だからね」
「妹ちゃんの許可取ってるんですか……まあ、妹ちゃんは知っていても気にしなさそうだったか」
幼女は、「まぁね?」とつぶやいてツインテールの毛先を細い指先でクルクルと弄んでいる。
幼い見た目とは裏腹に、その瞳は人の心の奥底を覗き込まれているような印象を人に与える。
「それにしても、何でボクのところに来たの?卒業以来じゃないか」
「だって、ミルフェルト様が、俺たちの一番上の上司じゃないですか。フリードを毎回焚き付けて最重要機密探らせてるのあなたですよね」
「ふふっ。それに同僚くんも参戦するって見解でいいのかな?」
赤毛の青年は、苦虫を噛み潰したような顔をした。だが、すでにその瞳には迷いは感じられない。
「フリードに頼まれましたから。それに、やっぱり妹ちゃんの境遇聞いてしまったら、放っておけないじゃないですか」
「キミ、本当にいい人だよね。ボクが知る限り、そういう人はたいがい長生きしないんだ」
「……ほんと、相変わらずそこ意地悪いなあんた!」
「ふふっ。失敬だな?キミのこと心配しているんだ。フリードと違う意味で危ういんだよキミ。そしてとても、ボク好みなんだよね?」
幼女は立ち上がり、赤毛の青年に近づく。
「ねえ、ボクと契約してリアナを守る盾になってよ?」
「妹ちゃんは守る。そしてお前との契約は断固拒否する!!」
「はぁ。残念だよ?それにしても、ボクにそんな口きくのって、長い歳月キミしかいない。だから、ボクはいつでも待ってるからね?」
去っていく同僚くんの背中に永い時を生きる幼女の指先から、紫の魔力が吸い込まれていく。
「ま、面白そうだから余裕があれば助けてあげる。死なないでボクを楽しませてね?」
新たな観察対象を手に入れて幼女は微笑んだ。
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