【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

竜鳴躍

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本編

断罪

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「ぐええっ…!きさまっ」

このまま、抱かれてしまうのは嫌だ!


媚薬で考えがまとまらない頭で、俺は、両膝で伯爵のあそこをすりつぶした。

上着を羽織ってるだけのあり様だったが、伯爵が下半身を抑えてうめいている間に、なんとかベッドから滑り落ちるように降りる。


近くにあった結婚指輪を思わず握りしめ、サイドテーブルに腕を這わせて立ち上がる。


剣は隠されたようだ。

俺に剣を触らせないつもりらしい。

伯爵の剣も俺の剣も、武器になりそうなものはここに一切ない。


ふらつく体で壁伝いに逃げようとすると、後ろから、大きな手で首を絞められた。

「ぐ・・・っ。」


「抵抗されると燃えるではないか。そういうプレイがお望みかな?」

しまっ…

再び、ベッドに投げられる。

投げられる際に、サイドテーブルに足がぶつかり、テーブルが倒れる音が聞こえた。

背中を強打し、せき込む。
足がずきずきといたい。

意識がはっきりしていれば、痛覚を遮断できるけど。
今はそれもできない。

もしかしたら足は折れたかもしれない。


「生娘じゃあるまいし、もったいぶるでない。」


伯爵から顔をそむけた。


ぎゅっと、手の中の指輪を握りしめる。



「そこまでだ。ガナッシュ伯爵、貴様を夫人暴行の罪で現行犯逮捕する。」


「なっ」

伯爵の首に、剣があてられている。

ミカエルが、そこには立っていた。


何が起きてるか分からない伯爵を、即座にハデスがグルグル巻きにする。


そして、みんなの後ろには。


アイスがいた。



アイスが、俺に上着をかけて、抱きしめてくれる。
俺が、指輪を握っているのをみて、その手の上から握りしめてくれた。

「間に合ってよかった…。」


明らかに首を絞められた跡や、足にみんなが目を細める。


「ここまですることはないではないか! よくあることだろう!
 大体、お前ら無礼だぞ! 私は伯爵だ!!」

ガナッシュ伯爵が慌てふためいて、大騒ぎしている。


「そうですか、でもあなたが襲った人は公爵夫人なんですよね。ほら、あの方、分かりませんかね。」

ミカエルが顎で示した先には、厳しい目つきのアイス=クレイソン公爵。

「はっ!?」

「いいですか、クリスの指輪、見ましたよね。あなた。今、あの子持ってますもんね。
 んで、貴方は、この間王子の誕生日パーティーに出席してはいましたよね。
 公爵夫人を見ましたよね。」

「あ、ああ。美しいご婦人だった。だが、彼ではーーーーー。」

「そう、その時には気づかなかったかもしれません。でも、貴方は何回か任務で女装した彼を見てはいるはずです。そして、あのときパーティに現れた夫人と、同じ指輪を彼が持っている。そして、夫人の名前は?さあ、何でしたか?」

「クリスティーヌ…


そこまで言って、伯爵は気づいたらしい。


「そうです、貴方が実際に気づいていたかどうかは関係ない。気づいているべき、気づいたはずだ!という状況証拠さえあれば。なので、あなたは、公爵夫人を拉致して暴行しようとした不届者です。お達しを楽しみに牢屋にいてくださいね!余罪もいっぱいあるから楽しみだなぁ!」



ミカエルの指示で、伯爵は連行されていった。

たぶん、もう騎士団にはいられないだろう。


ミカエルとハデスは、アイスに俺を任せて、騎士団に戻っていった。



「週3で、がんばります…。家に帰りましょう。」

「うん…。」

アイスが、俺の服を整えてくれて、横抱きにされて、俺は家に帰った。



手配されていた医者の診断によると、
怪我の具合は、全治2週間だったが、過労が深刻ということで、
俺はしばらく騎士団を休むことになった。
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