【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

竜鳴躍

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本編

消えたアイス

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新婚旅行から帰ると、お互いにやらないといけないことが溜まっていた。


「じゃあ、行ってきます。アイスも気を付けて。」


軽くついばむようなキスをして、俺は騎士団に行く。
その間、アイスは領地の見回りに出ることになっていた。


俺がいない間、部隊を指揮しているミカエルは、一部を国に残して、隣国へ今偵察へ行っている。


「ミカエルの鷹がくれた伝令によると、北の隣国ーーースノーフォレストがきな臭いらしい。」
ハデスが、ミカエルからの伝令を伝えてくれた。

「きな臭いったって、元からあそこは怪しいだろ。昔あったスタンピードも、あの国の王族が亡命するからって陛下が呼び出されてたんだし。当時の外相も嚙んでたしな。」


「魔王が顕現するとか、女王と魔王が結婚するとか、なんとも突拍子もない噂もあるんだそうだ。」

「あそこの女王様なぁ…。」


確か、もう50近いとは思うんだけど、10代にしか見えないからなー。
あの若さは異常だし、魔王を召喚するとかモンスター側と結託して人間やめてましたーって言われても納得なんだよな。

「近隣諸国、国内も調べたけど大分膿はなくなって、北さえ落ちつけば、あとはモンスターくらいなんだけどな、気を付けるべきは。」


新しい情報きたら頼む。


そういって、俺は書類整理を始めた。


なるべく早く家に帰りたい。
アイスに会いたい。




でも。




その日、視察に行ったはずのアイスは家に帰らなくて。


探しに行くと、
一緒に同行したはずの御者と護衛は大けがを負って。
馬車も転覆した状態で、山で見つかった。


アイスはいなかった。









ここはどこだ。
目を覚ますと、知らない天井で、ベッドの上で目を覚ました。

牢屋、だとは思うが。
貴族用なのか、出入り口が檻になっている以外は、ゲストルームのような作りになっている。
ただし、窓はない。

私は確か、領地の視察に出たはずだ。

ああ、そしてその帰りに何者かに襲われてーーー。

私だけ、連れてこられたのか。



「気づいたかい?」


長い銀髪を後ろに束ね、ワイルドに前髪を後ろにすべて流し、右目に眼帯を付けた男。
眼帯さえなければ、かなりきれいな華のある顔をしている男が、部屋に入ってくる。

その後ろからついてきた細身の男に見覚えがあり、私はどこへ連れてこられたのか察した。


マシュー=スノーフォレスト。
スノーフォレストの女王の従弟で、以前亡命の噂があったフォレスト家の末の息子。

彼がいるということは、ここは…。

「君を連れてきてしまい、申し訳ない。私は、あの方に逆らえないのだ…。」

マシューが俯き、唇をかみしめながら震えている。


「私をどうする?」


「…信じられないかもしれないが、あの方は魔術に精通していて。君の中にいる『魔王』と婚姻するつもりだ。
つまり、君とだ。君は、女王の夫になるために連れてこられた…。」

「馬鹿な! 私には既に…。」


「お相手に手が出ないようにするだけでも、精いっぱいだったのだ! あの方は恐ろしい。逆らった親族も貴族もすべてあの方に殺された。…私の婚約者も。…君には申し訳ないが、女王に捕らえられた以上は、諦めてくれ。」


クリス!

「…まあ、思い出があればつらいだろうということで、すぐにではないそうだ。だから、俺が呼ばれた。」

すっと、眼帯男が近寄る。

「女王にとつげるように、俺がお前の記憶をきれいさっぱり消してやるよ?」


耳打ちされて、衝撃が走った。


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