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新章 溺愛編
化け物と化け物
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サザン将軍はやはり強い。
空気がピリピリする。
ああ、好きだなぁ。この感覚。
やっぱり自分は剣の真剣勝負が好きだ。
まだ育休中だけど、早く現場に復帰したい。
とはいっても、あまり世界に脅威のない今、もはやたいして歯ごたえはないのだけど。
速度の方は俺が上。
パワーはうんとあっちが上。
ああ、いいなあ。サザン将軍と戦うのは楽しいな。
定期的にこうやって手合わせしたいものだ。
決勝戦を、みなが固唾をのんで見守る。
二人の闘気に充てられて、心なしか風が強くなっている気がする。
将軍の剣撃を躱すお母さま。
しかし、躱した先で放った2本の刃は、将軍の大剣で受け止められ、はじかれる。
剣の風圧が観客席まで届き、観客席と闘技場を隔てるガードに切れ目が入った。
カウンター。
躱す。
これ、勝負はつくのだろうか。
お母さまを馬鹿にした3人が、茫然と戦いを見ている。
どうだ。すごいだろう? 僕のお母さまは。
隣に、ロメオ王子が寄って来た。
「将軍とあれほどの戦いができるとは、すごいな。公爵夫人は。」
王子は、自分の剣の師匠は将軍なのだ、と言った。
「ところで、妹の他にも君には妻が2人できる予定だとか。」
「気にしますか?」
「王族に妻が1人しかいないほうが珍しいだろう。それに、女の妻は妹だけだ。例えば、君が王位を継いだとして、王妃として1番手に来るのは妹になる。ほかの1人はあちらの綺麗な神獣君だし、もう一人は他国の王だろう。本人がいいというのだから、不満はないさ。」
「王位を継ぐ予定もつもりもありませんけどね。そのうち王太子に子どもができるでしょう。必要があればスノーフォレストの技術もあるし…。また、性別がどちらでも同性でも子ができるのだから、王が男子限定であるのもナンセンスかなと思いますよ。」
そのうち女系も継げるようになるんじゃないか、と続ける。
「甘いなぁ。その手の議論はなかなか進まないものだ。」
パリーン。
その時、金属の割れる音がして、お母さまと将軍の武器が折れた。
「これは引き分けだな。」
お母さまが物凄く悔しそうな顔をした。
表彰式のプレゼンターは、国王夫妻が出てきた。
そういえば、国王夫妻は、最初の出迎え以外はあまり姿を見なかったなぁ。
「おめでとう。」
褐色の肌に茶色の髪の筋骨隆々とした国王。
オレンジ色の髪で神秘的な雰囲気をした美しい王妃。
ローブのような服を着て、黄金のアクセサリーをつけるのは、この国の文化なのだろう。
「今日は大会の締めとしてパーティがありますので、楽しんでください。残念ながら、私たちはあまり参加はできないのですが…。滞在は、もうしばらくなさるのですよね?」
「ええ。せっかくですから。明日は夫がビーチで遊ぼうと。」
「まあ。でも海も危険ですから。気を付けてくださいね。」
「はい。」
…なんだろう、なんか違和感を感じる。
「ルージュのお母さまって綺麗だよね。」
神秘的な美しさは、自分のお母さまと違うタイプだと思った。
疲れてしまったザオラルは、すやすやと幼獣の姿で自分の腕に抱かれている。
膝にのせて撫でながら、ルージュを見ると、得意そうな顔をしていた。
「お母さまは、国の巫女なのですわ!」
「ああ、サウス王国は君たちと文化圏が違うからね。まじないとか、神託とか、まあ宗教と政治が密接になっている。実際、お母さまの予言は当たるし、確かになにか能力があるんだろうな。」
「将軍が発起人とはいえ、お父様もお母さまもこの大会にあまり関わっていなかったでしょう?二人には国のために神と対話する役目がありますから、あまり神殿をあけられませんの。」
なるほど、だからお茶会にはルージュだけで。将軍が代わりについてきたのか。
国が変われば変わるもんだな。
「そういえば、明日はどうするんだ?」
「明日はビーチで遊ぼうって、お父様が言ってる。」
「じゃあ、子ども4人だけで冒険しないか。丁度いいコースがあるんだ。ザオラルもいるし、紹介したい人がいる。」
紹介したい人って、なんだろう。
空気がピリピリする。
ああ、好きだなぁ。この感覚。
やっぱり自分は剣の真剣勝負が好きだ。
まだ育休中だけど、早く現場に復帰したい。
とはいっても、あまり世界に脅威のない今、もはやたいして歯ごたえはないのだけど。
速度の方は俺が上。
パワーはうんとあっちが上。
ああ、いいなあ。サザン将軍と戦うのは楽しいな。
定期的にこうやって手合わせしたいものだ。
決勝戦を、みなが固唾をのんで見守る。
二人の闘気に充てられて、心なしか風が強くなっている気がする。
将軍の剣撃を躱すお母さま。
しかし、躱した先で放った2本の刃は、将軍の大剣で受け止められ、はじかれる。
剣の風圧が観客席まで届き、観客席と闘技場を隔てるガードに切れ目が入った。
カウンター。
躱す。
これ、勝負はつくのだろうか。
お母さまを馬鹿にした3人が、茫然と戦いを見ている。
どうだ。すごいだろう? 僕のお母さまは。
隣に、ロメオ王子が寄って来た。
「将軍とあれほどの戦いができるとは、すごいな。公爵夫人は。」
王子は、自分の剣の師匠は将軍なのだ、と言った。
「ところで、妹の他にも君には妻が2人できる予定だとか。」
「気にしますか?」
「王族に妻が1人しかいないほうが珍しいだろう。それに、女の妻は妹だけだ。例えば、君が王位を継いだとして、王妃として1番手に来るのは妹になる。ほかの1人はあちらの綺麗な神獣君だし、もう一人は他国の王だろう。本人がいいというのだから、不満はないさ。」
「王位を継ぐ予定もつもりもありませんけどね。そのうち王太子に子どもができるでしょう。必要があればスノーフォレストの技術もあるし…。また、性別がどちらでも同性でも子ができるのだから、王が男子限定であるのもナンセンスかなと思いますよ。」
そのうち女系も継げるようになるんじゃないか、と続ける。
「甘いなぁ。その手の議論はなかなか進まないものだ。」
パリーン。
その時、金属の割れる音がして、お母さまと将軍の武器が折れた。
「これは引き分けだな。」
お母さまが物凄く悔しそうな顔をした。
表彰式のプレゼンターは、国王夫妻が出てきた。
そういえば、国王夫妻は、最初の出迎え以外はあまり姿を見なかったなぁ。
「おめでとう。」
褐色の肌に茶色の髪の筋骨隆々とした国王。
オレンジ色の髪で神秘的な雰囲気をした美しい王妃。
ローブのような服を着て、黄金のアクセサリーをつけるのは、この国の文化なのだろう。
「今日は大会の締めとしてパーティがありますので、楽しんでください。残念ながら、私たちはあまり参加はできないのですが…。滞在は、もうしばらくなさるのですよね?」
「ええ。せっかくですから。明日は夫がビーチで遊ぼうと。」
「まあ。でも海も危険ですから。気を付けてくださいね。」
「はい。」
…なんだろう、なんか違和感を感じる。
「ルージュのお母さまって綺麗だよね。」
神秘的な美しさは、自分のお母さまと違うタイプだと思った。
疲れてしまったザオラルは、すやすやと幼獣の姿で自分の腕に抱かれている。
膝にのせて撫でながら、ルージュを見ると、得意そうな顔をしていた。
「お母さまは、国の巫女なのですわ!」
「ああ、サウス王国は君たちと文化圏が違うからね。まじないとか、神託とか、まあ宗教と政治が密接になっている。実際、お母さまの予言は当たるし、確かになにか能力があるんだろうな。」
「将軍が発起人とはいえ、お父様もお母さまもこの大会にあまり関わっていなかったでしょう?二人には国のために神と対話する役目がありますから、あまり神殿をあけられませんの。」
なるほど、だからお茶会にはルージュだけで。将軍が代わりについてきたのか。
国が変われば変わるもんだな。
「そういえば、明日はどうするんだ?」
「明日はビーチで遊ぼうって、お父様が言ってる。」
「じゃあ、子ども4人だけで冒険しないか。丁度いいコースがあるんだ。ザオラルもいるし、紹介したい人がいる。」
紹介したい人って、なんだろう。
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