159 / 415
新章 溺愛編
お母さまも自重しない
しおりを挟む
「さぁ、いよいよ。俺の出番かぁー、頑張るぞー!」
大人の会場へ移動する。
ルージュ王女もロメオ王子もついてきてしまったので、大所帯。
選手の親族用の応援スペースに移動。
「ああ、クリス。その前に。」
「みゃあああ。ああ。」
ジュリエッタがむずがっている。
「ああ、この泣き方はおっぱいだな。ジュリエッタ、おいで。」
ベンチに腰掛けて、服の前を開くので、アイスが日傘で目隠ししてくれた。
「たくさん飲んでね、ジュリエッタ。」
とんとんして、ぎゅっとして。ジュリエッタはまたスヤスヤ寝てしまった。
「お母さま、頑張ってくるね。」
すったかたったったー、と選手集合場所へ走っていく。
「お母さまだいぶ、胸大きくなりましたよね。あれ、本当に元に戻るんでしょうか。」
「おっぱいの出がよくなるように、私が毎日揉みしだいて育てたからな! 意外とすぐ十分出るようになったから、乳母も雇わずに済んでよかったじゃないか。」
「…まあ、戻らなかったらお父様が怒られるんですね。」
「それはそうと、夫人はあれだけ胸が張ってて、戦えるのか? 産後3か月ほどだろう?」
ロメオが解せぬといった顔をしている。
「まあ、それは…クリスだから、大丈夫としか。」
赤ん坊に授乳をしていた美しい人が、選手として現れて、会場はどよめいた。
(男…? 女…??)
(甘い匂いがする…。おっぱいの匂い…。)
サザン将軍はニヤリとして、対戦カードを発表した。
クリスの初戦は、ウエスト公国の騎士団長。
「麗しい人よ、手加減はしませんぞ!」
「ハイ、手加減は不要です!!」
「始めっ!」
ウエスト公国の騎士団長の武器は、両方の先端に刃がついた長い槍。
合図と同時に、槍をしかけてのばしてくるのを跳んで避け、槍の棒の部分を踏んではね、そのままくるりと背後。
撃墜。
コンマ0.1秒。
「あぁ、さすがレッドキングダムの騎士団副団長。『神速』のクリス様だ。」
サザンが笑う。
それを聞いて、全員がざわついた。
あれが。
単騎でスタンピードに突っ込んで、神速で敵を蹴散らす。
辺境伯時代、数々の戦線で国の領地を拡げることに貢献した、かの「閃光のタクト」の孫息子。
斥候部隊長時代は美貌を活かして、男も女も誑し込む傾国の男。
王太子の側近でもある。
『神速のクリス』
もはやドラゴンの群れでさえ相手にならないと言われる男か。
「さすがだなぁ。」
「まだまだこれでも本調子じゃないんだよ。体重も戻りきらなくて、動きもいまいちキレが悪いし。握力が落ちたみたいで、剣を握るとき、余計な力が入っちゃうんだ。」
あれで????
そのあと、クリスは決勝でサザン将軍にあたるまで、よゆーで相手を倒していった。
ほぼすべて、0.1秒の世界。
大人の会場へ移動する。
ルージュ王女もロメオ王子もついてきてしまったので、大所帯。
選手の親族用の応援スペースに移動。
「ああ、クリス。その前に。」
「みゃあああ。ああ。」
ジュリエッタがむずがっている。
「ああ、この泣き方はおっぱいだな。ジュリエッタ、おいで。」
ベンチに腰掛けて、服の前を開くので、アイスが日傘で目隠ししてくれた。
「たくさん飲んでね、ジュリエッタ。」
とんとんして、ぎゅっとして。ジュリエッタはまたスヤスヤ寝てしまった。
「お母さま、頑張ってくるね。」
すったかたったったー、と選手集合場所へ走っていく。
「お母さまだいぶ、胸大きくなりましたよね。あれ、本当に元に戻るんでしょうか。」
「おっぱいの出がよくなるように、私が毎日揉みしだいて育てたからな! 意外とすぐ十分出るようになったから、乳母も雇わずに済んでよかったじゃないか。」
「…まあ、戻らなかったらお父様が怒られるんですね。」
「それはそうと、夫人はあれだけ胸が張ってて、戦えるのか? 産後3か月ほどだろう?」
ロメオが解せぬといった顔をしている。
「まあ、それは…クリスだから、大丈夫としか。」
赤ん坊に授乳をしていた美しい人が、選手として現れて、会場はどよめいた。
(男…? 女…??)
(甘い匂いがする…。おっぱいの匂い…。)
サザン将軍はニヤリとして、対戦カードを発表した。
クリスの初戦は、ウエスト公国の騎士団長。
「麗しい人よ、手加減はしませんぞ!」
「ハイ、手加減は不要です!!」
「始めっ!」
ウエスト公国の騎士団長の武器は、両方の先端に刃がついた長い槍。
合図と同時に、槍をしかけてのばしてくるのを跳んで避け、槍の棒の部分を踏んではね、そのままくるりと背後。
撃墜。
コンマ0.1秒。
「あぁ、さすがレッドキングダムの騎士団副団長。『神速』のクリス様だ。」
サザンが笑う。
それを聞いて、全員がざわついた。
あれが。
単騎でスタンピードに突っ込んで、神速で敵を蹴散らす。
辺境伯時代、数々の戦線で国の領地を拡げることに貢献した、かの「閃光のタクト」の孫息子。
斥候部隊長時代は美貌を活かして、男も女も誑し込む傾国の男。
王太子の側近でもある。
『神速のクリス』
もはやドラゴンの群れでさえ相手にならないと言われる男か。
「さすがだなぁ。」
「まだまだこれでも本調子じゃないんだよ。体重も戻りきらなくて、動きもいまいちキレが悪いし。握力が落ちたみたいで、剣を握るとき、余計な力が入っちゃうんだ。」
あれで????
そのあと、クリスは決勝でサザン将軍にあたるまで、よゆーで相手を倒していった。
ほぼすべて、0.1秒の世界。
0
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。
佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】
晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。
発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。
そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。
第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる