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新章 溺愛編
王の風格
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「始め!!」
審判の合図で2人、礼をして、剣を構えた。
隙がない。
お互いに捻じり寄りながら、相手の目を見据える。
殆ど同時に仕掛け、刃が重なる。
金属音を響かせ、捌きあう。
「その年で大したものだ。だがしかし、君は感情の制御を覚えた方がいい。」
まあ、子どもらしいといえば、そうだが。と、苦笑する。
「あいつらを懲らしめたことですか?」
「あのくらいのことは、君のご両親は今までも言われてきたはずだよ。でも、彼らはだからといって、報復などはしていない。」
生き方や行動で、眉をひそめた者たちを黙らせてきただろう。
「悪いやつをやっつけて、何が悪いんですかね…。」
「ああいうやり方は恨みを生む。負の感情は連鎖する。強者たるもの、大局をみろ。視野を広く持て。」
合わせる刃が、ずれて、アリスの剣が弾き飛ばされる。
優しく首に剣を当てて、勝敗はついた。
「…負けました。」
ロメオはニカッと笑って、アリスの頭を撫でた。
「いい男になれよ、義弟よ。」
観客席の方へ行く。
何故か、ロメオもついてきた。
「お母様、負けてしまいました。」
「立派だったよ! 次に向けて頑張ろう!」
お母さまは感動しているのか、若干、瞳が潤んでいる。
意外と泣き虫だからな。この人は。
「初めまして。ルージュの兄のロメオです。」
ついてきた王子が、お父様とお母さまに挨拶をした。
「ロメオ王子? さすが将来の王の風格だね。すごいよ。アリスに手ほどきも、ありがとう。」
後ろでジュリエッタを抱いているお父様は会釈だけしている。
「先立ちの務めですよ。……あ、その子が彼の妹の。」
ジュリエッタを見る。
「かわいいな。公爵夫人によく似て、絶世の美女になるだろうな。……将来、僕の妻にいただけないだろうか。」
一堂が固まる。
「駄目だだめ! まだ赤ちゃんなのに婚約なんて早すぎる!」
慌てるお父様。
「俺が絶世の美女とかは置いといて、まだ自分で決められないうちはだめっ。」
お母さまはちょいちょい、自分が女扱いされるのが許せないらしい。
「大体ですね、ロメオ王子は12歳でしょう? 3か月の赤ちゃんにプロポーズするなんて、さすがにロリータ趣味通り越してますよ。変態ですよ! 犯罪です。」
「おや、君のご両親も12歳離れているはずだが。僕が変態で犯罪者なら、君のお父様も同じだね。」
「…くっ。可愛い妹は渡しませんっ…。」
「僕だって可愛い妹を嫁にやるんだから、お互い様だと思うなぁ。」
ふふふ、と笑って。 彼は、「冗談ですよ。」と言った。
でも、絶対、半分くらいは本気だったと思う。
審判の合図で2人、礼をして、剣を構えた。
隙がない。
お互いに捻じり寄りながら、相手の目を見据える。
殆ど同時に仕掛け、刃が重なる。
金属音を響かせ、捌きあう。
「その年で大したものだ。だがしかし、君は感情の制御を覚えた方がいい。」
まあ、子どもらしいといえば、そうだが。と、苦笑する。
「あいつらを懲らしめたことですか?」
「あのくらいのことは、君のご両親は今までも言われてきたはずだよ。でも、彼らはだからといって、報復などはしていない。」
生き方や行動で、眉をひそめた者たちを黙らせてきただろう。
「悪いやつをやっつけて、何が悪いんですかね…。」
「ああいうやり方は恨みを生む。負の感情は連鎖する。強者たるもの、大局をみろ。視野を広く持て。」
合わせる刃が、ずれて、アリスの剣が弾き飛ばされる。
優しく首に剣を当てて、勝敗はついた。
「…負けました。」
ロメオはニカッと笑って、アリスの頭を撫でた。
「いい男になれよ、義弟よ。」
観客席の方へ行く。
何故か、ロメオもついてきた。
「お母様、負けてしまいました。」
「立派だったよ! 次に向けて頑張ろう!」
お母さまは感動しているのか、若干、瞳が潤んでいる。
意外と泣き虫だからな。この人は。
「初めまして。ルージュの兄のロメオです。」
ついてきた王子が、お父様とお母さまに挨拶をした。
「ロメオ王子? さすが将来の王の風格だね。すごいよ。アリスに手ほどきも、ありがとう。」
後ろでジュリエッタを抱いているお父様は会釈だけしている。
「先立ちの務めですよ。……あ、その子が彼の妹の。」
ジュリエッタを見る。
「かわいいな。公爵夫人によく似て、絶世の美女になるだろうな。……将来、僕の妻にいただけないだろうか。」
一堂が固まる。
「駄目だだめ! まだ赤ちゃんなのに婚約なんて早すぎる!」
慌てるお父様。
「俺が絶世の美女とかは置いといて、まだ自分で決められないうちはだめっ。」
お母さまはちょいちょい、自分が女扱いされるのが許せないらしい。
「大体ですね、ロメオ王子は12歳でしょう? 3か月の赤ちゃんにプロポーズするなんて、さすがにロリータ趣味通り越してますよ。変態ですよ! 犯罪です。」
「おや、君のご両親も12歳離れているはずだが。僕が変態で犯罪者なら、君のお父様も同じだね。」
「…くっ。可愛い妹は渡しませんっ…。」
「僕だって可愛い妹を嫁にやるんだから、お互い様だと思うなぁ。」
ふふふ、と笑って。 彼は、「冗談ですよ。」と言った。
でも、絶対、半分くらいは本気だったと思う。
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