【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

竜鳴躍

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新章 溺愛編

妊娠6か月

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「心臓の音が聞こえる…。」


「もう…。」


安定期に入るまでは添い寝で我慢してくれたアイスは、俺のお腹に耳をつけて、毎晩、子どもの心音を聞きたいらしい。


「お医者様が男の子だって。」


「今度もクリスに似てるといいな。」


「俺はどっちでもいいけどな。でもアイス、俺はこの子で最後にするぞ? アイスが思っているより産むのって大変なんだから。それでも、どうしてもアイスがもっと子どもが欲しいって言うんだったら、次からはアイスに産んでもらうからな!」

「…それって、クリスが私に入れるってこと?………できるの?」


「さぁ? それが嫌だったら、もう少し家族計画に協力的になってもらえます?」

抱かれないとは言わないから、避妊しろ。



にっこり、意地悪をいうと。

協力してくれるって言ってくれた。

本当だね、信じるからね!

協力しなかったら本当に入れるから!

やろうと思えばできるんだから、多分。



あんまり激しいのはよくないから、口でしてあげて、素股でもしてあげた。

アイスは前に俺が女王の目を欺くためにミカエルと素股(やってるふり)をしたのが、よほど許せなかったらしくって、執拗にあのときのことを言われた。

大体、ミカエルが相手に名乗り出たのだって、他のやつだったら本当にヤられちゃいかねないからじゃん。
あんまり気にしてなかったんだけどなあって思いながら、嫉妬されるのも冥利に尽きるのかな、とか思って。


それで、甘々に優しく抱かれて。



幸せだなぁって思って、ぎゅって抱き合って眠った。



この子が生まれたら、家族が増える。

ジュリエッタは、年が近いけどやきもち焼かないかな。
赤ちゃん返りするって聞くけど。

でも、アリスがうまく手伝ってくれそうな気もする。


みんな、仲良しの兄弟になるといい。


こうして、子どもの成長を二人で見守って、おじいさんになって、たくさんの孫とかひ孫に囲まれて。

昔はこうだった―とか、こんなことがあったんだよって思い出しながら。

穏やかでも楽しい毎日が、この屋敷で重ねていけたらうれしい。











今のところ、お母さまの周りには何も問題がない。

今までのロメオ王子の発言を整理してみる。


いわれた時は雑談だと思ったが、もしかしたら、あれも未来視だったのかもしれない。


1 僕は将来、この国の王になる。

2 お母さまの今度の妊娠に関連して、事件が起こる。

3 回避のためには、ザオラルの力が必要になる。

4 お母さまを守ることができるのは、お父様ではなく、僕。

5 起こりえた未来は、故意に変え過ぎようとすると、跳ね返りが来る。(おそらく改変しても、同じ結果が違う時期にきてしまう)



今のマクシミリアン陛下の次は、その息子のディビッド王太子と決まっている。

元々、僕やお父様の王位継承権はその次だ。

僕の前にお父様がいる。だけど、お父様の年齢は陛下とあまり変わらない。

つまり、何かがあって、王太子の次がいない場合は、その次はお父様が辞退する形をとって、僕が継ぐことにはなりうるとは思う。


そして、きっとこの未来は変えられない未来だ。改変しても、同じ結末が待っている未来。

おそらく、王太子夫妻に子ができないか、技術を使ってできたとしても、娘だけか、若しくは王位が継げないくらいの弱い子しか生まれないのかもしれない。


僕としては御免こうむりたいが、不可避のものとして今は頭に置いといて、次だ。


ザオラルの力、ということは。怪我か毒か。

もうスタンピードも発生しないだろうし、お母さまがそれ以外で妊娠中とはいえ遅れをとるとは考えにくい。

とすると、毒の可能性が高い。


お母さまはお人よしだから、うっかり飲んでしまうのは、ありうる話。





うん、なんとなくわかったぞ。
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