【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

竜鳴躍

文字の大きさ
230 / 415
新章(アリスの結婚編)

最後の爆弾

しおりを挟む
ちくしょう! ちくしょう!!


なんで、俺の爆弾の他の爆弾があるんだ!!

もう少しで爆発するのに…!

観客が全部中にいなければ、大ごとにならないじゃないか…!!

脅しにならないじゃないか…!!!!!


このままじゃ計画は破綻する。


男は決意した。


立ち止まり、今、ともにいる美しい女を見た。


物凄く若いわけではないが、若さだけの女では到底かなわない、妙齢の美しい女を。


そうだ、この女をーーーー…。







「パンス様、劇場内の爆弾は14個、処理完了です。今、最後の1つを公爵が解除しています。」


組織の者たちの動きを、ティンカーが報告する。


ピーターは頷いて、『団長、アリス、部隊長。今、15個目の爆弾解除中だ。もうないとみるか?』
クリス、アリス、キャッツアイと通信した。


『…もしかしたらまだあるかもしれないけれど。建物の構造と解除した爆弾の威力からすると、残りが爆発したとしても大事には至らないかもしれない。』


『一般人の避難は完了した。』


『じゃあそろそろ頃合いだな。』







「じゃあそろそろ頃合いだな。」小さな声で呟く。目の前の男は、顔色を変えた。

今日は完全オフで、映画館に長物は持ってこれなかったから、帯刀はしていない。


けれど。


自分は腕力は確かにないけれど、それはあくまでも騎士としての基準。



クリスを人質にしようと考えていた男は、狼狽えた。

「…こっ、この!」


襲ってくるのを、手でいなし、後ろ手に捻り上げる。


「ぎ……!!」


「チェックメイト。」








クリスが男を連れて、ロビーに来た。

ピーターと組織の者は、あとをキャッツアイに任せて撤収し、キャッツアイとアイスがロビーにはいた。


「団長、館には俺たちだけです。オーナー、従業員、客は外に出して、遠くに隔離。地域住人の隔離と警報の発令も済んでいます。」

「さすがキャッツアイ、抜かりないね。アヴニールは?」


「彼は、念のために逃げ遅れがいないか観客席を確認中です。」


「了解。爆弾は解除できたんだね。」


「ああ、15個解除したぞ。」




「ふ…ふははははは!」男が笑う。そして、力を入れて、クリスの拘束を振り切り、逆にクリスの首元をしめるように拘束した。

「爆弾はまだある!!!」



「!!!」



男が、ジャケットの前をあけると、爆弾が体についていた。


「近寄るな!この女ごと爆発してやる!・・・・・なっ!」


構わず、アイスは近づき、男の手足の骨を折った。

「あがあああああああああああ!!!」


「大丈夫か、クリス。」

「心配いらないって言ってるのに、もう。でも、頼りになる旦那様、ありがとう。」



「…ふ、………ふくくく。 あと、1分…。」



脂汗を垂らしながら、うずくまる男の口から、漏れる。


キャッツアイは、はっとなった。





調べられなかった場所が一つある。






劇場の、観客席の真上。







屋根の上。







「アヴニール!!!!」



しおりを挟む
感想 106

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。

佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。

アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました

あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」 穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン 攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?   攻め:深海霧矢 受け:清水奏 前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。 ハピエンです。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。 自己判断で消しますので、悪しからず。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

過保護な義兄ふたりのお嫁さん

ユーリ
BL
念願だった三人での暮らしをスタートさせた板垣三兄弟。双子の義兄×義弟の歳の差ラブの日常は甘いのです。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

処理中です...