【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

新章（アリスの結婚編）

俺の王子様

「うん、だれもいないな。よかった。」


自分もロビーに行って、みんなと合流しよう。


アヴニールが独り言を言った瞬間。



上の方で物凄い音がして。



屋根の木材やガラス、照明などが一斉に落ちてくる。




「うわあああ！」



逃げられない…！！！







「アヴニール！！！」



爆破されなかった、飛び出た梁にワイヤーをひっかけて、ヒーローのように。




「先輩…！！！」


「アヴニール、よかった。」





キャッツアイは、アヴニールを片手で抱きかかえる。


彼がいた場所には、落ちてきた屋根の破片や機材が、煙を立てて爆音とともに落ち、積み重なっている。



スクリーンは映画が流れ、エンドロール間近。



スパイの主人公がヒロインの窮地を救い、抱きしめているシーン。


「やっぱり、あの主人公、先輩に似ていますね。」




俺の王子様みたい。







ワイヤーで宙に逃れ、スクリーンをバックにアヴニールを抱きしめる。










犯人は、騎士団が連行し、とんだデートになってしまったな、とキャッツアイは思った。

でも、アヴニールとの距離は縮まった気がする。



「お前のこと、認めてやらないでもない。」



彼の父にも、ようやくそう言ってもらえた。













「はぁ、うちの家族は事件に巻き込まれる確率が高いな。」


でも、すべて無事で何より。


「お疲れ様、アリス。」


「今日は、ザオラル様に癒してもらってくださいね。」


ザオラル様は発情期がまだ続いているようですし。私は見てます！



平和が一番。

けれど、絶対的な平穏はない。


ひとつ、ひとつ。みんなで守っていく。

僕も僕のやれること。やるべきことを。



「早く子どもをたくさん作ることも、僕のやるべきことかな？」


妻たちの頬に交互にキス。