【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

新章（アリスの結婚編）

閑話 起こり得た未来の２人

母親の命と引き換えに生まれ、母の名と剣才を引き継いだ、顔も性格も生き写しの弟には、婚約者がいない。

王となった兄は、弟を不憫に思った。


近衛隊長として兄を守り、公爵家を継いだ美しい弟は、父親に束縛されている。


だが、兄は知っている。


斥候部隊長を経て、宰相に抜擢した幼馴染。

キャッツアイ=ブライト。


二人は深く愛し合っている。



城にいる間だけ、二人は逢瀬ができるのだ。

妻の墓前に張り付いている父親は、城までは来ないから。


一人っ子で後継ぎを設けなければならないキャッツアイは、やむなく他の相手と結婚し、昨年、長男が生まれている。

本当は、子宮を作って、自分が嫁ぎたかったろうに、弟はそれができない。



二人は不倫だ。


だが、気が付かないふりをして、時々二人っきりにしてやっている。







誰も来ない王宮の一室。

後ろ手に鍵をかけて、愛し合う。


本当はだめだと分かっているのに。　


「は、あっ、ああ、キャッツアイ先輩!」


「クリス…！」


性急に唇を求め合い、服が乱れていく。


みんなが自分を通して、母を見る。

誰も自分を見てくれない。

そんな中、先輩は自分を見てくれた。

本当は、嫁ぎたかった。


だけど、父を捨てられなかった。



双丘の間の奥深くに受け入れる。

「あ、あああ…。下さい。たくさん、あなたを」

「愛してる、クリス。」


子どもができることはない。


それでも、



すこしの間でも。



この人のものでいたい。