268 / 415
新章(アリスの結婚編)
花はまた咲く
しおりを挟む
翌朝、アイスに付き添われて、産婦人科に行った。
何も考えずにアイスに抱いてもらったけど、あいつは常習的に性を買っていたから、病気の検査をしないといけなかった。
もし、病気をうつされてたらどうしよう。
アイスにまでうつしたかもしれない。
情けなくて、悲しくて、また泣いていたら、アイスに濡れたタオルを押し付けられた。
やさしいおばあちゃん先生が出てきて、びっくりした。
駅であったおばあちゃん。
「忠告してくれたのに…。」
また泣いてしまって、アイスが体を支えてくれた。
「大丈夫、あなたは悪くありませんよ。」
そう言って、俺たちの検査をしてくれた。
「二人とも大丈夫ね。良かったわ。」
ホッとする。
「でも、これを見てちょうだい。」
おばあちゃん先生は、俺のお腹をめくって、クリームを塗ると、画面で見せてくれた。
「分かるわよね。胎嚢ができてるわ。」
体が固まる。
「先日の出来事で胎嚢は見えないわ。間違いなく、ご主人の子ですよ。」
尿検査の結果で、妊娠反応があったのだという。
「妊娠していれば、その期間に次の子を妊娠することはありません。だから、今回のことで妊娠する心配はありませんよ。」
でも。
でも……
体が震える。
「私は産んでほしいよ、クリス。」
「アイスの子じゃないって、思われたら?」
「私たちの子は強いと思うよ。」
「生まれたときから辛い思いをさせる。」
「クリスちゃん。あなた、他の被害者の人たちに会ってみない? ちょうど今日、集まりがあるのよ。」
コクリと頷いて、会議室みたいな場所へ通された。
「クリス、私は待ってるからね。」
アイスは別の場所で待ってるらしい。
部屋の中には、サークル状に配置された椅子に、10代から20代くらいの若くてきれいな女の子たちが座っていた。
性被害者だから、男性に恐怖があるらしく、俺を見てびっくりしていたけど、先生が俺の性別は男だけど、子宮もある人妻で、同じ被害者なのだと紹介してくれた。
「クリス。私は、レイプされて赤ちゃんができたの。時期から、夫の子だと分かってた。夫も産んでほしいって言ってくれたけど、私は堕胎した。赤ちゃんは生きていたのに。後から、夢で見るの。後悔したのよ。でも、取り返しは効かないの。」
あなたは、後悔しないように、よく考えて。
被害者のひとりが、俺にそう言ってくれた。
被害者同士にしか分からない傷がある。
俺は自分で餌になった結果だから、彼女たちとも違う。
俺にだって非はある。
でも、それでも、俺は穢れてないんだって。
「アイスさん。」
別室で待っていると、おばあちゃん先生が来た。
「ありがとうございます。クリスは立ち直るでしょうか。」
「時間はかかるかもしれませんが、大丈夫。あなたがちゃんと愛してあげれば、花はまた咲きますよ。」
アイスは深々と頭を下げた。
レッドキングダムでは、キャッツアイがストーリーを準備した。
レッドキングダムの将来の国母。
これまで数々のモンスターを討伐し、世界中に平和をもたらした騎士団長。
クリス=クレイソン公爵夫人は、若い頃、フルールの第一王子に一方的に好意を寄せられ、2度のストーカー被害にあっていた。
バイオレット=フルールの協力でストーカーは廃嫡され、幽閉先で死亡したが、それを逆恨みした王子の弟が、休暇中にたまたま捜査協力していた夫人を拉致。
夫の子を妊娠している夫人に、幻覚剤を投与して、公爵と誤認させ、復讐と称して身体を奪い、正気に戻った夫人は、悲しみにうちひしがれ、今は夫が支えている。
フルールの王族が、我が国の国母になる人を拉致し暴行した罪は、国をあげて訴える。
今まで私たちのために尽くしてくれた夫人を、今度は私たちが守ろう。
「これで、いかがですか?」
キャッツアイがアリスとミカエルに見せる。
「いいんじゃない?」
アリスは満足したように頷くと、まずは手始めとして、国から賠償と支援の打ち切りを、スノーフォレストも巻き込んで行おうと、考えていた。
何も考えずにアイスに抱いてもらったけど、あいつは常習的に性を買っていたから、病気の検査をしないといけなかった。
もし、病気をうつされてたらどうしよう。
アイスにまでうつしたかもしれない。
情けなくて、悲しくて、また泣いていたら、アイスに濡れたタオルを押し付けられた。
やさしいおばあちゃん先生が出てきて、びっくりした。
駅であったおばあちゃん。
「忠告してくれたのに…。」
また泣いてしまって、アイスが体を支えてくれた。
「大丈夫、あなたは悪くありませんよ。」
そう言って、俺たちの検査をしてくれた。
「二人とも大丈夫ね。良かったわ。」
ホッとする。
「でも、これを見てちょうだい。」
おばあちゃん先生は、俺のお腹をめくって、クリームを塗ると、画面で見せてくれた。
「分かるわよね。胎嚢ができてるわ。」
体が固まる。
「先日の出来事で胎嚢は見えないわ。間違いなく、ご主人の子ですよ。」
尿検査の結果で、妊娠反応があったのだという。
「妊娠していれば、その期間に次の子を妊娠することはありません。だから、今回のことで妊娠する心配はありませんよ。」
でも。
でも……
体が震える。
「私は産んでほしいよ、クリス。」
「アイスの子じゃないって、思われたら?」
「私たちの子は強いと思うよ。」
「生まれたときから辛い思いをさせる。」
「クリスちゃん。あなた、他の被害者の人たちに会ってみない? ちょうど今日、集まりがあるのよ。」
コクリと頷いて、会議室みたいな場所へ通された。
「クリス、私は待ってるからね。」
アイスは別の場所で待ってるらしい。
部屋の中には、サークル状に配置された椅子に、10代から20代くらいの若くてきれいな女の子たちが座っていた。
性被害者だから、男性に恐怖があるらしく、俺を見てびっくりしていたけど、先生が俺の性別は男だけど、子宮もある人妻で、同じ被害者なのだと紹介してくれた。
「クリス。私は、レイプされて赤ちゃんができたの。時期から、夫の子だと分かってた。夫も産んでほしいって言ってくれたけど、私は堕胎した。赤ちゃんは生きていたのに。後から、夢で見るの。後悔したのよ。でも、取り返しは効かないの。」
あなたは、後悔しないように、よく考えて。
被害者のひとりが、俺にそう言ってくれた。
被害者同士にしか分からない傷がある。
俺は自分で餌になった結果だから、彼女たちとも違う。
俺にだって非はある。
でも、それでも、俺は穢れてないんだって。
「アイスさん。」
別室で待っていると、おばあちゃん先生が来た。
「ありがとうございます。クリスは立ち直るでしょうか。」
「時間はかかるかもしれませんが、大丈夫。あなたがちゃんと愛してあげれば、花はまた咲きますよ。」
アイスは深々と頭を下げた。
レッドキングダムでは、キャッツアイがストーリーを準備した。
レッドキングダムの将来の国母。
これまで数々のモンスターを討伐し、世界中に平和をもたらした騎士団長。
クリス=クレイソン公爵夫人は、若い頃、フルールの第一王子に一方的に好意を寄せられ、2度のストーカー被害にあっていた。
バイオレット=フルールの協力でストーカーは廃嫡され、幽閉先で死亡したが、それを逆恨みした王子の弟が、休暇中にたまたま捜査協力していた夫人を拉致。
夫の子を妊娠している夫人に、幻覚剤を投与して、公爵と誤認させ、復讐と称して身体を奪い、正気に戻った夫人は、悲しみにうちひしがれ、今は夫が支えている。
フルールの王族が、我が国の国母になる人を拉致し暴行した罪は、国をあげて訴える。
今まで私たちのために尽くしてくれた夫人を、今度は私たちが守ろう。
「これで、いかがですか?」
キャッツアイがアリスとミカエルに見せる。
「いいんじゃない?」
アリスは満足したように頷くと、まずは手始めとして、国から賠償と支援の打ち切りを、スノーフォレストも巻き込んで行おうと、考えていた。
0
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【完結】伯爵家当主になりますので、お飾りの婚約者の僕は早く捨てて下さいね?
MEIKO
BL
【完結】伯爵家次男のマリンは、公爵家嫡男のミシェルの婚約者として一緒に過ごしているが実際はお飾りの存在だ。そんなマリンは池に落ちたショックで前世は日本人の男子で今この世界が小説の中なんだと気付いた。マズい!このままだとミシェルから婚約破棄されて路頭に迷う未来しか見えない!
僕はそこから前世の特技を活かしてお金を貯め、ミシェルに愛する人が現れるその日に備えだす。2年後、万全の備えと新たな朗報を得た僕は、もう婚約破棄してもらっていいんですけど?ってミシェルに告げる。なのに対象外のはずの僕に未練たらたらなのどうして?
※R対象話には『*』マーク付けます。
【完結】一生に一度だけでいいから、好きなひとに抱かれてみたい。
村松砂音(抹茶砂糖)
BL
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました!
ありがとうございました!!
いつも不機嫌そうな美形の騎士×特異体質の不憫な騎士見習い
<あらすじ>
魔力欠乏体質者との性行為は、死ぬほど気持ちがいい。そんな噂が流れている「魔力欠乏体質」であるリュカは、父の命令で第二王子を誘惑するために見習い騎士として騎士団に入る。
見習い騎士には、側仕えとして先輩騎士と宿舎で同室となり、身の回りの世話をするという規則があり、リュカは隊長を務めるアレックスの側仕えとなった。
いつも不機嫌そうな態度とちぐはぐなアレックスのやさしさに触れていくにつれて、アレックスに惹かれていくリュカ。
ある日、リュカの前に第二王子のウィルフリッドが現れ、衝撃の事実を告げてきて……。
親のいいなりで生きてきた不憫な青年が、恋をして、しあわせをもらう物語。
※性描写が多めの作品になっていますのでご注意ください。
└性描写が含まれる話のサブタイトルには※をつけています。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」さまで作成しました。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
完結|ひそかに片想いしていた公爵がテンセイとやらで突然甘くなった上、私が12回死んでいる隠しきゃらとは初耳ですが?
七角
BL
第12回BL大賞奨励賞をいただきました♡第二王子のユーリィは、美しい兄と違って国を統べる使命もなく、兄の婚約者・エドゥアルド公爵に十年間叶わぬ片想いをしている。
その公爵が今日、亡くなった。と思いきや、禁忌の蘇生魔法で悪魔的な美貌を復活させた上、ユーリィを抱き締め、「君は一年以内に死ぬが、私が守る」と囁いてー?
十二個もあるユーリィの「死亡ふらぐ」を壊していく中で、この世界が「びいえるげえむ」の舞台であり、公爵は「テンセイシャ」だと判明していく。
転生者と登場人物ゆえのすれ違い、ゲームで割り振られた役割と人格のギャップ、世界の強制力に知らず翻弄されるうち、ユーリィは知る。自分が最悪の「カクシきゃら」だと。そして公爵の中の"創真"が、ユーリィを救うため十二回死んでまでやり直していることを。
どんでん返しからの甘々ハピエンです。
出来損ないΩの猫獣人、スパダリαの愛に溺れる
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
旧題:オメガの猫獣人
「後1年、か……」
レオンの口から漏れたのは大きなため息だった。手の中には家族から送られてきた一通の手紙。家族とはもう8年近く顔を合わせていない。決して仲が悪いとかではない。むしろレオンは両親や兄弟を大事にしており、部屋にはいくつもの家族写真を置いているほど。けれど村の風習によって強制的に村を出された村人は『とあること』を成し遂げるか期限を過ぎるまでは村の敷地に足を踏み入れてはならないのである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる